📗雲の上の世界〜お兄さん達は修行中〜
相変わらず僕は、ママの胸の中で眠ってる。
だってやることもないし、すっごく眠たい。
ママの胸の中で顔を横に向けて、ポヤーっとしていると、向こうのほうから、ここで言うと大学生くらい。
青年くらいの男性たちがグループで歩いてきた。10人くらいかな。
ピンク色をしただだっ広い世界の向こうから、歩いてくるんだ。
みんなもママとパパみたいに白いキトンを身に纏って楽しそうに、穏やかにおしゃべりしながら歩いてる。
先頭の真ん中にいる人は、金色の髪に首くらいまでの長さ。
手には何か物を持っている。
キューピッドの矢か、
アポロンの竪琴か。
僕はお兄さんのところまで走って駆け寄って行ったんだ。
「お兄さんたち何してるの?」
小さい僕にお兄さんたちは、微笑ましいというような顔で僕に優しく話してくれたんだ。
「今、帰りなんだよ」
と、手に持っている物をあげる。
練習でもしてたのかな?
「いいな。お兄さんたちはやることがあって。僕、つまらないんだ。おもちゃもないし何もない。楽しいことない?」
そしたら、お兄さんたちは教えてくれたんだ。
「あっちの方にね、ここに似てるけど、でもちょっと違う色々ある世界があるよ」とパパの仕事場とは反対側、左を指している。
木より斜め向こう。
「ホント!僕行ってみるね!」
でも、お兄さんたちは勢いよく行こうとする僕を止めたんだ。
「君一人じゃ危ないよ?誰か大人と行くといい」
「じゃあ、お兄さんたち!一緒に行こうよ!」
「ごめんね。僕たちはこれからやらないといけないことがあって、一緒には行けないんだ」
「そっか‥」
僕はちょっとガッカリしたんだ。
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