見出し画像

ツリーハウス体験会の中で

ツリーハウス体験会が開催されています。あと3日間の開催で参加者の意見を聞く機会が終了となります。ツリーハウスだけをみるのでなくこどもの遊ぶ場を直接見て、こどもからも大人からもなにを期待するのかをヒアリングするチャンスとなります。


建物を建てる以前から練馬区という行政がこうした取り組みを実施することはチャレンジングなことだと思っていました。
ツリーハウスというものをどうとらえるか?森のなかの静かな環境の中で気持ちを落ち着け安らかな時間を過ごす場所と考えるのか?
隣接するこどもの森の延長線上でこどもたちの遊ぶ空間の中で自然環境の知識や体力を育む場所と考えるのか?
人によってツリーハウスをイメージするものが違っているでしょう。これは練馬区のこどもの森の担当所管はみどり推進課であり、運営がプレイタンクというNPO組織であることから後者であることではないかと考えるのが自然なのかと思います。
そこで今回のツリーハウスは木のそばでこどもの遊ぶツールの趣向が優先されたと思います。
ただこどもの冒険遊びのツールとしてのツリーハウスを考えると行政としては安全であることが大前提となるところですが建築物でもなく遊具でもない、いわゆる安全性の担保されないものを試験的とはいえやってみる英断は非常に価値のあるものではないかと思う。他自治体でも取り組みたい希望はあるらしいがこどもの冒険遊びに対して素地ができていないため、議論途中で分解してしまうことが多いそうです。練馬区には冒険遊び場としてこどもの森を運営してきたプレイタンクがノウハウを持ち、プレイリーダーという職種の大人がこどもたちの遊びを親とは別の視点で見て付かず離れずの距離でしっかりと管理してこどもの心を把握している土壌は非常に大きく貢献していると思う。
ツリーハウス体験会の企画段階でこのツリーハウスを足場に使う単管でやろうとしていたプランがあったそうだが、本当にそれで良かったのだろうか?単管を繋ぐ箇所には必ず凹凸の出る金具を使い、引っ掛かり、はさまり、つまずき、想像する以上のことをするこどもたちのケガが容易に思い浮かぶ素材でツリーハウスという自然環境に親和性を持つイメージとはかけ離れてしまう。これを提供することは馴染まないのではないか?予算の問題であるならばやらないほうが良かったということにならないか?プレイリーダーたちともこどもたちの安全と遊びの趣向、父兄の期待、近隣住民の受けなど意見をきかせてもらった。金属のツリーハウス。遊んでいいよと言えばこどもたちはそれなりに遊ぶでしょう。しかし「ツリーハウス体験会」を題してこどもの遊び場を提供するのは安全面では危険性が高く、想像する遊びを達成するためのハードルとなる事象が容易に想像できることは避けるべきだと思っていた。幸い、経験値のあるプレイリーダーの意見やこのイベントへの子どもたちがなにを期待するのかを聞けた。プレイリーダーとて万能ではないが子供達と身近に接し、その期待を毎日のように肌で感じている方の意見は貴重だった。

こうしたプレイリーダーの役割はさまざまで人によってこどもの心をつかむ方法は千差万別だがしっかりとこどもの気持ちを汲み、保護者の意見も理解して遊ぶ空間を提供していることが今回のツリーハウス体験会を試験的に実施できた大きな要因だと思える。


残りあと3日間のツリーハウス体験会ですが、作った私にお世辞かもしれないが「もったいない」「壊さないで」と言ってくれる人がいるのは非常に嬉しい。ただ公共の場所に建築物でも遊具でもないものを残して置くわけにはいかない。私自身もあのツリーハウスを残すなら同じような形のものを平面上、木を囲むように三角形に並べてそれぞれ繋ぎ、木の枝をまたいで行き来できるような形に地域の中学生や工業高校の学生さんたちとできればさらにまた楽しめるのではないかと思ったりするが、残念ながら中高生にこうした体験会ヘの参加はない。工業科の先生などが木構造の実験などに活用提案があれば価値はでてくるかもしれないが、それは自治体でなければ決断できないことで儚い夢となるでしょう。

現在の公園やこどもの遊び場にインクルーシブなものが求められる一方、こどもたちの体力低下が報じられる。多様性を認め誰もが同じ遊具で安全に楽しめるものを追及してきたことからこうした状況を生み出したのでしょう。しかしこどもたちは成長しさらなる刺激を求め続けていくのは自然なことではないでしょうか?一方、ケガによる責任の追及は非常に厳しく追及される。このギャップを埋めていくことは行政だけではむつかしいことです。それこそ「ケガと弁当、手前持ち」の意識がなければムリなことです。
ケガを未然に防ぐにはやらなければ良い。しかしやらなければ体力もチャレンジする意欲も抑えられてしまう。

こうした課題の解決にプレイリーダーが一助となるのではないかと思っている。こどものやってみたい気持ちを最大限活かしつつ、見守る、自信に繋げる。そんなこどもの成長に寄り添い見守る子どもたちと同じ目線でいられる大人でもない、子供でもない、近くなく、遠くない子どもとの関係を持つ彼らに学校ではなく、家庭でもないこどもの心身の成長をより健やかなものにする一助となる活躍を期待したい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?