成城学園中学2024年度国語第2回(大問二)とってもわかりやすい中学入試過去問の解説
中学受験国語の成功の極意は、
①できるだけたくさんの過去問を解いて、
②正解の理由をよく理解して、
③何度も読み返して復習することです。
間違えた問題は、本文の正解の理由になる部分に色をつけると効果的です。色鉛筆で問題ごとに色を変えてみてください。
※この解説は保護者の方が声に出して読んでいただけると、生徒さんの理解が格段に深くなります。
早稲田大学教育学部の園池公毅先生の『植物の形には意味がある』より出題です。
本文中で紹介されている「奇想天外」という植物がこちらです。
もう一つ、落葉樹林の中で咲くカタクリなどについてはこちら。
植物の生存競争の戦略のお話です。国語の読解問題を解くことは、理科の勉強にもなりますね。
問一第1段落の書き出しの部分に、植物の茎について「高校の生物の教科書を見ると、茎の役割として葉と根の間で水や栄養をやり取りすると書いてあるものがあります。」と書かれています。
問二「話はむしろ逆で」とは何と何が逆なのでしょうか?「茎の役割として葉と根の間で水や栄養をやり取りする」に対して「茎が途中にあるからこそ、そこを通して水や栄養をやり取りしなくてはならないのです」が逆なのですね。
茎があるために、根で吸収された水や肥料分を葉に届けるには茎を通さなければならず、同じように葉で作られたデンプンを植物の体全体に運ぶためには糖に変えて茎を通さなければいけないということです。
問三1ページの後半に「葉を高い位置に保持して他の植物よりも有利な立場に立つためにこそ、茎はあるのです。」と茎の存在意義が書かれています。
他の植物よりも多くの光を葉に当てるために、茎をのばしてできるだけ高い位置に葉を広げようとする訳です。
問四ⅠとⅡは、茎を持つ植物の方が茎を持たない植物よりも上に伸びることができます。
ⅢとⅣは、茎を持たない植物は上から差し込む光を遮られてしまうので成長しにくくなります。その結果その場所には茎を持つ植物が繫栄するのです。
問五茎がある理由として「他の植物との光をめぐる競争にあるという仮説」を立てています。茎のない奇想天外は「あたり一帯は砂漠で、ほとんど他に植物は生えていませんから、上を他の植物に覆われるということはあり得ません。」タンポポは「何らかの理由で他の植物が上空を覆うことのない、開けた環境に見られます。」つまり、他の植物との光をめぐる競争がない場所に生えています。
問六aの後ろを見ると、「奇想天外は茎がなくてもよいのでしょうか?」と質問の形になっているので「なぜ」が入ります。
b植物に茎がある理由について前後で言い換えています。
c茎を持たない植物は、砂漠や草原など背の高い植物が生えていない場所にあることが多いのですが、「世の中には、林に生える植物のなかにも茎をもたないものがあります。」と反対の内容が書いてあります。
問七線④の直前に「このような植物は、落葉樹が葉を茂らせる前の早春に葉を出して光合成をして花を咲かせ、上空が葉で覆われる頃にはもう葉を枯らして休眠に入る」と書いてあります。
「突貫工事」とは「本当なら何日もかかる工事の日数を縮めて、短い期間で一気に工事を終わらせること」です。
問八線⑤の前の部分を見てください。「工事か何かがあって、生えている草が根こそぎなくなった状況を考えてみましょう。そのような場合、光は十分に当たりますし、土の中には栄養分もあるでしょうから、土の中に埋まっていた種子が発芽して、あるいは残された根から、いっせいに茎が伸び始めます。」と書いてあります。
何も生えていない同じ条件のところで、植物たちがいっせいに茎をのばす競争を始めるのですね。
問九「軍配」とは戦国時代に武将が指揮をするのに使っていた団扇のような道具です。今ではお相撲の行事さんが手に持っています。「軍配を上げる」とは、試合や競争で勝利の判定を下すことです。
問十3ページの最後の3段落をまとめます。「短期間で環境が大きく変わるような場所では、一年草が有利になるはずです。」「一方で、同じ環境が安定して続く場所では、最終的には樹木のほうが有利になる場合も多いでしょう。」と書いてあります。一年草は「短期間に早く成長できる」ので環境の変わりやすい場所で有利になり、樹木は「一年一年少しずつ背を伸ばして」高くなるので、同じ環境の続く場所で有利になるのですね。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
これからも頑張ってわかりやすい解説を書いていきます。
受験生の皆さんも問題の文章を繰り返し読んで読解力を身につけてください。
合格をお祈りします!
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