出張回想録Vol.8
サウジの朝は早い、、
昼休みが長いので、朝が早いサウジ。
ミーティングは8時amからのスタート!
そして1年振りに彼との再会。。
いくら日本で公私を共にした仲といえども、この地アブハでは紛れもない王族の長で有り、幾つもの事業を手掛ける大実業家。
まずはじめにM商社の皆さまが最大級の敬意を払いご挨拶、そして私も皆さまに続き日本から持参した彼より頼まれた(秘)ギフトを手渡し丁寧に挨拶をすると、彼は周りに気づかれないよう軽く私にウインクで応対。(決して怪しい関係ではありません!)
出稼ぎパワー炸裂
取引先メンバーは、彼と幹部4名の強者揃い。特に管理担当部長のソマリア人が強敵。とにかくめちゃくちゃズル賢い。サウジには多くの優秀な出稼ぎソマリ人が働いており、M商社スタッフのソマリ人もそのひとりです。ソマリアは東アフリカの「アフリカの角」と呼ばれる国。軍事的にも、とても大事な角地の国。1991年に政権崩壊以降、長きに渡り無政府状態が続き中央政府の統治が及ばない地区もあり現在でも日本外務省では、レベル4の退避勧告が発出している国で、かなりヤバい国です。この当時は内戦の煙がほんのり立始めた頃でした。公用語がソマリア語とアラビア語、宗教がスンニ派のイスラム教なのでアラブ諸国に多く出稼ぎ者がいます。
血の混じり合いが人類進歩の方程式
余談ですが、ソマリアはアラビア半島と近く昔から人の往来が多くアラブ系の人々との混血がとても多い土地で、知る人が知る絶世のエキゾチック美人の産地として有名な国です。
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午前中は腹の探り合いミーティング〜長い昼休み後の商談バトルを終えて、ホテルでの長い長い会食へ突入。余り娯楽が無いサウジではとにかく皆さんおしゃべりとシーシャ(専門店で吸う水たばこ)が大好き。ノンアルコールのサウジシャンパンを舐めながら、延々とお金儲けの話とか他国の情勢についての雑談。下手に意見や質問とかをすると、そこから枝葉が伸び違う話へとドンドン進展するので、にこにこ・ふむふむ対応がベスト!
フブズとの出会い
終わりなき会食が終わり皆さまとお別れし、ロビーの深々とした革張りのソファーに座りマッタリとM商社ソマリ人スタッフとアラビアコーヒーを飲みながらソマリ美人の恋愛談義をしていると、そこに小脇に大きなフブズ(ピタパン似の丸いパン)を何枚も抱えたダンディなアラブ人がソマリ人スタッフに近寄ってきました。
何とビックリ、サウジでの現地ライバル会社の社長でした。私は面識が無かったのですがソマリ人スタッフから紹介され、一緒にアラビアコーヒーと彼のフブズをいただくことになりました。
フブズはサウジでは一般的に野菜などの食材を詰めて食べるパンなのですが、ホテルの近くにとても有名な美味しいお店があることを聞きつけて、わざわざ車で買いに行ったとのことでした。
グルメなライバル会社社長推しのフブズをひと口食べると、これが絶品!たぶん年季の入った巨大な専用釜で作られたこのフブズ、焼きたての焦げたところがとても香ばしくて、もうどうにも止まらない!あちこちの国で、ピタパン・ナン・チャパティ・ロティ・パラータ等の類似のこの手のパンを食べましたが、後にも先にもアブハで食べたフブズに勝るものはなかったです。
「パンは神の恵みの象徴」イスラム教の教えに納得。
ライバル会社はサウジ首都リヤドに本社を構えて、当社の約2倍近くの商品を日本メーカーから仕入れ手広くサウジ内で商売をしており、この社長も王族系のやり手社長のひとりで、本日リヤドから仕事でアブハに来て、たまたま滞在が我々のホテルと同じだったようでした。
当社取引先・大親分の彼よりは、このライバル会社社長のことは幾度となく聞いていましたが、彼曰く「とてもイケすかないキザ野郎!」と言ってましたが、今回初めて話をしてみると、彼よりも数段紳士でインターナショナルなモラルとマナーとマインドの3Mを備えたとても魅力的な方でした。彼がライバル心を燃やし嫌うのが何となく理解できました。そんなかんなで、とても楽しいおしゃべりをしながら絶品フブズを3人で5枚平らげ、日本での再会を約束し部屋に戻ったのは、日付が変わる頃でした。
アブハ2日目
翌日は、商社とメーカーチームの二手に別れて、朝から別行動。
商社チームは彼との当社とは異なる商売のミーティング。
私は取引先の営業部長と一緒にアブハから車で、イエメンよりに2時間程離れた山岳地帯にいるVIPのお客様への表敬訪問。このお客様は彼の親族にあたる同じく王族の末裔。年齢は15歳のヤング王子。「とてもプライドが高いので、くれぐれも慎重に」と車中でアドバイスを受けていましたが、お会いしますと好奇心旺盛なナイスガイでした。でも当たり前ですが上から目線の会話。当社の様々なロゴ入りグッズ一式手渡すと興味津々、可愛い。そして当社商品について使用者の皆さまと聞き取り調査をしていると、王子よりランチのご招待。山岳の田園が見える丘の麓で大きなテントを広げて、15歳の王子とお付きの皆さまとのランチdéピクニック。
子山羊の丸焼き
お料理は、“子山羊のお頭付き丸焼き”
お米・野菜・ヨーグルト等を引き詰めた金の大皿に子山羊がドーンと丸焼きで乗っかり、ゲストが顔の位置に着座し、まつ毛の残る子山羊と目と目を合わせながら、全員で楽しく子山羊の肉・内蔵を食べるこの地での歓迎の宴。そしてゲストは優先的に子山羊の目玉を食べるのが歓迎の儀式と王子から言われ、NOと言えない日本人のプライドを掛けゴチになりました。ゼラチン状でコラーゲンたっぷりの少しスモークされた目玉をそっと口に運ぶと、中心がコリっとした感じで味は殆ど無くグミのようなぶるんとした食感でした。
続いて王子が教材ぽい世界地図を広げ「お前はどこから来たのか?」と聞かれたので、日本を指差そうとすると衝撃!なんと、サウジがど真ん中のこの地図には、我が日本国が見当たりません。アジアの小国日本は大国サウジの地方都市では、メイドインジャパンの製品は知れども、何処にあるかなど、どうでもいいことなのでしょう!
仕方ないので王子には笑顔で「この辺り」と中国の端っこを指差しました。
つづく、、、、、、、、