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007 4Kレストア 第二弾を観てきた話

007 60周年記念4Kレストア上映、第二弾がスタート!
もちろん第二弾もコンプリートを目指し、初日から映画館に通った。
今回も感想をまとめてみようと思う。(ネタバレあり)

リビング・デイライツ

第二弾、1作目は4代目ボンド、ティモシーダルトン主演『リビング・デイライツ』。
この作品は5年以上前にBS-TBSの特集で見た記憶が微かに。確か吹替で、大塚芳忠さんだったような。
ロジャームーアの時代はかなりコメディテイストが強めだったが、このあたりからシリアスな作風になってきている。ダニエルクレイグのような泥臭さもありつつ、ユーモアも交えたようなバランスの取れた作風。
ボンドガール(マリアム・ダボ)がめちゃくちゃ可愛い。そんな彼女はチェロ奏者だが、ボンドと逃亡する際、大切なチェロをアストンマーティン・V8に積み込むシーンがある。チェロって結構大きいので、シートを倒しつつ無理やり押し込むのだがその際にボンドが放つセリフ「今度はバイオリンを習え」が好きすぎる。思わず吹き出しそうだった笑
マネーペーニー(キャロライン・ブリス)も好み。メガネがセクシー。
ボンドカーやガジェットのギミックも多彩で、まさに男の子が大好きなやつである。私の中のボンド映画ベスト10に入るだろう。

NO TIME TO DIE

2本目は『NO TIME TO DIE』 を鑑賞。ボンド映画で僕が唯一泣いた作品。劇場で見るのは4度目だが、今回も目に涙が滲んだ。
ダニエルクレイグのボンドはシリアス路線で、過去作に比べ人間味が溢れている。「カジノロワイヤル」や「慰めの報酬」では冒頭のガンバレルシークエンスがなく(カジノロワイヤルでは少し変わった見た目のものがあるが)、Qやマネーペニーも登場しない。スカイフォールでようやく登場し、徐々にアイコニックなボンドレガシーを取り戻して行った。今作では前作「スペクター」のボンドガールであるマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)が続投。おそらく史上初であろう。コミカルな一面も復活し、今までのダニエルボンド作品よりはクスッと笑えるシーンが多い。
また、これはすべてのダニエル版ボンドに言えることだが、一貫してストーリーが地続きで、深い部分で繋がっている。
冒頭マドレーヌと引退生活を楽しむボンドが描かれるが、作品の"起"の部分にはカジノロワイヤルのボンドガールであるヴェスパー・リンドが関わっている。別の作品のように見せかけて、一貫した軸のあるストーリーはダニエルボンドシリーズの魅力だろう。
先ほど言及した冒頭のシーンだが、ヴェスパーの墓が爆破するシーンでは初見だと多くの人がビクッと驚くと思う。ヴェスパーに思いを寄せ、「Forgive me」と許しを乞うボンド。感傷に浸っていると突然ドーン!!!
こんなもんはどんなホラー映画よりも恐ろしい。今日も私の前の席の方がビクッとしていた(笑)。
爆破に巻き込まれた影響でキーンと耳鳴りがし、音が聞こえづらくなる。最初に見た時は自分の鼓膜が破れたのかと錯覚したほど見事な演出だ。そして敵が迫る最中徐々に音が元に戻っていく演出。臨場感がとんでもない。何回見てもこの演出には驚かされる。
アストンマーティンDB5のカーアクションも堪らない。静寂の中ライフルでボコボコに撃たれるシーンも堪らなく好きだ。あそこまで撃たれても防弾性能をキープしているボンドカー、Qは天才か?
そしてマドレーヌとボンドは別れを誓い、オープニングのNO TIME TO DIE(ビリー・アイリッシュ)が流れる。ダニエルボンドの主題歌は暗い曲が多い。
それから五年後、黒人女性のノーミ(ラシャーナ・リンチ)という00エージェントがボンドの前に現れる。しかもそれが007。彼女の「永久欠番だと思った?」というセリフが最高である。ボンド以外の007が登場するのはこれまた史上初であろう。さらに今作からボンドガールではなくボンドウーマンと公式が呼ぶようになり時代へ配慮が感じられる。
そして何よりもマドレーヌとボンドの間に生まれた娘、マチルドが無茶苦茶かわいい。パパになったボンドもほんの少し描かれた。ダニエルクレイグはパパが似合うなぁ。
最後には愛するマドレーヌとマチルドの為に自らを犠牲にし、全てを終わらせる。ボンドが死ぬのもおそらく初めてだろう。いや待てよ、007は二度死ぬ?
そんな初めて尽くしの今作、再び劇場で見られてよかった。
もっと色々書きたいのだが、これ以上書いていると終わりがないのでこの辺にしておく。

SKY FALL

3本目は『SKY FALL』。ダニエル版007の中でも屈指の名作。また、ボンドの過去について語られる作品でもある。この作品はジュディ・デンチが演じるMを物語の中心に置いている。
ボンドは冒頭の任務で橋から落下。公式上殉職したものとされる。当然死んでいるはずもなく。酒と薬物に浸り、死を満喫。このやさぐれたボンドが堪らない。MI6が爆破されたことにより、ボンドはロンドンに戻る。M宅に勝手に入り、酒を飲みながらMの帰りを待ち、復帰の報告をする。復帰のため、さまざまなテストを受けるのだが、酒漬けで死んでいたお陰で鈍ってしまったボンドを見られるのも人間臭くていい。ボンドだって完璧じゃない。そんなふうに思わせてくれる。
00部門は過去のもの。政府からの風当たりが強くなり、公聴会で00部門の存在意義が問われる。「我々は見えない敵と戦っている」「ご自身は安全だと?」と反論するM、直後にシルヴァによる襲撃。駆けつけたボンドに救われる。こんなにも早いフラグ回収があって良いのだろうか(笑)
公用車を捨て、DB5でSKYFALLというボンドの故郷に向かう。ここの静けさと山々に囲まれた雰囲気が、田舎出身の私には刺さる。(山はCGで足しているらしいが笑)
そしてこの作品でゴールデンアイからM役として作品を支えたジュディが作品を去ることとなった。ボンドの涙はMの死を嘆く涙でもあり、別れを惜しむダニエルの涙でもあるのだろう。
ダニエル版では終始シリアス路線だが、マカオのカジノで敵がコモドドラゴンに食べられた際に「circle of life」とボンドが言う。つまり食物連鎖。こうしたブラックジョーク的なセリフをいう落ち着いたボンドになってくるのもこの作品からである。新しいボンド像とレガシーの融合が感じられる作品である。
こうして新たなM(レイフ・ファインズ)を筆頭に、Q(ベン・ウィショー)、イヴ・マネーペニー(ナオミ・ハリス)と新生MI6の物語が始まるのであった。

ドクター・ノオ

全てはここから始まった。エンターテイメントの始祖とも言えるだろう。ショーンコネリー、渋かっこいい。全てのおじさんの憧れの存在である。私が好きなシーンはドアに髪の毛を貼り付け、バッグに粉をふりかけるシーン。さりげないシーンだがあれがスパイ映画たらしめていると言えるだろうう。冷やしていた酒を捨て、引き出しから新しいの出すのもスタイリッシュでかっこいい。ベレッタを愛用しているボンドに対し、ワルサーを使えとMがいうのだが、その後の場面でワルサーを使っていないのが面白い。
とても古い作品だが、4Kレストア恐るべし。かなり綺麗になっていた。
改めて見ると、ダニエルクレイグはショーンコネリーのテイストを残しつつ、新しいボンドを作り上げたということの意味がよく分かった。
全ての祖はショーンコネリー。彼がボンドでボンドといえばショーンコネリー。おそらくこれは不変の事実だが、もはやボンドは概念なのだ。ロジャームーアが演じても、ピアースブロスナンが演じてもそれはボンドという概念。その根底にはショーンコネリーがいるということである。だから僕はどのボンドも好きだし、魅力があると思う。

サンダーボール作戦

シリーズ4作目、サンダーボール作戦。おそらく初見だと思われる。冒頭、ショーンコネリーが登場してまず最初に「こんなに茶髪だった?」と思った。ドクターノオのショーンコネリーを見た後だと髪色がかなり明るく感じられた。そんなことはどうでもよくて、この作品かなりスパイ映画だなと思った。ストーリーの流れや展開が結構リアル志向だと思った。水中のシーンも多く、若干地味な絵が続く。そして今作では敵の女を抱きまくるボンド。敵と分かっていながらスペクターさえも抱いてしまう。
Qのおもちゃも色々と登場し、ボンドがQの話を聞いていないのはお決まりである(笑)
後の作品でそれほど乱用されてはいないが、とりあえず核ミサイルを出しておけば盛り上がるのはこの手の映画では通説。
さて、4Kレストア10作目ということで、何がボンドをボンドたらしめるのか、考察しながら今回は観てみた。いったいボンドの格好良さとはなんなのか。やはり滲み出る余裕さだと思う。今作でも、敵の侵入を察知し、部屋から出ようとするところで入り口付近に置いてある葡萄を一粒頂戴する。緊張感高まるシーンのはずが、呆れるほど余裕なのがボンドなのである。また、ジョークのセンスも欠かせない。声を出して笑うほどのお笑いではないが、クスッとしてしまうジョークをことあるごとに呟くのがジェームズボンドという男である。今作のお気に入りのセリフは「左太腿にほくろがある」「やっぱりあった」というスケベ親父な一面を見せるセリフだ。なんのことかわからない人は一度本作を観てみてほしい。

今回の4Kレストアを機会に改めてシリーズを振り返る機会に恵まれたことを嬉しく思う。過去の名作を劇場で再び観られる日が来るとは思ってもいなかった。第一弾も含めて10本の中で私の一本を選ぶとしたら、「 SKYFALL」だろうか。やはり私の中でボンドと言えばどうしても世代的にダニエル・クレイグになってしまう。
そして忘れてはいけないボンドウーマン(ガール)。10本の中で私が選ぶベストボンドウーマンは「リビングデイライツ」のマリアム・ダボ。
最後に私が選ぶベスト主題歌は「私を愛したスパイ」の「Nobody Does It Better」。
7代目ボンドは果たして誰なのだろうか。色々な情報を踏まえると、アーロン・テイラー=ジョンソンがWalther PPKを握ることになるのではないだろうか。

4Kレストアはかなり綺麗に蘇っていた。是非とも4K Ultra HD Blu-rayでコレクションボックスが発売されますように。





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