父と8歳息子の東南アジア&アフリカ旅行~アンボセリとキリマンジャーロ③~Vol.12

AM 5:30

キャンプのスタッフがドアをノックする。

今日はアンボセリ国立公園で人生初めてのサファリだ。

昨夜の猿の運動会のせいで寝不足で眠たく、身体も重かったが、声を出し気合でベッドから起き上がる。

気温は寒く厚手のパーカーを着込んだ。

10℃くらいだろうか。

本当はゆっくり休んでから出発したかったが、肉食動物は早朝に狩りをするため見られる確率が高いという理由でこの時間になった。

昨夜の夕食はスープ・肉・ライス・サラダとシンプルな料理だったが美味しかった。

朝はパン・オムレツ・ソーセージなどのアメリカンブレックファーストで、しっかり腹ごしらえをして出発。

キャンプから国立公園までは40分ほどだったと記憶しているが、最後の国立公園までの一本道がとんでもない悪路だった。

大きな道を曲がり国立公園までもうすぐかという所で、「ここからはフル・マッサージ・ロードだ!しかも無料だぜ!」とTomが叫んだ。

聞いた時はその言葉の意味が分からなかったが、ものの数秒後に知らされる事となる。

未舗装の道に入ったとたん、ひどい衝撃音と車の震えが始まった。
窓から下の道を見ると大きな石や穴が無数にある。

音と震えはこのせいだ。

ガタガタ、ゴトゴト、バリバリとも聞こえる音が止まらない。

全身が震える。いかんせんマッサージとは程遠く、これは拷問である。

息子は体重が軽いのでピョンピョンと尻が浮いてしまい、頭を窓にぶつけそうになっていたのでしっかり掴まらせる。

さらに意図的か自然になのかは分からないが、道はスノボのハーフパイプの様に変形している。

Tomが穴や石を避けようと右に左にハンドルを切っていくので、当然自分の身体も右に左に傾き、壁を走っている様な感覚にとらわれる。

そして当然のことながらスピードを出す。

マリオカートでこんなコースあったな・・・。

そんな事を考えながら、ゲート入口まで20分ほどその状態が続いた。

早くもくたびれてしまった。
帰りもこの道を通らねばと思うと眩暈がしてくる。

乗り物に強い息子もさすがにへばっていた。

アンボセリ国立公園 ゲート

ともあれ国立公園のゲートに到着。

ゲートにて入園料 USD80 (18歳以下は半額) を払う。クレジットカードは使えたが通信機の電波状態が悪く時間がかかった。USDのキャッシュは持っていたが、これから何があるか分からないので出来るだけ現金はキープしておきたい。

国立公園といってもゲート(門)があるだけで、その横は人も動物も通れる。実際に動物とマサイ族達は自由に行き来している。

ゲート付近ではマサイ族が木彫りの人形やアクセサリーなどを売っていた。

土産物売り場でどこでも売っていそうな物で、格別関心をひかない。
しかし一生懸命営業してくるのを見ると、おそらくここで買う客もいるのだろう。

国立公園の中に入る。まだ早朝なので他の車の数も少ない。

シマウマの向こうにキリマンジャロが見える。
早朝だからなのか昨日よりは綺麗に見えた。

早朝のキリマンジャーロ

ちなみにキリマンジャロの山頂と登山口はタンザニアにあるが、眺めはケニアからの方が美しい。Tomも「タンザニアの奴らは残念だな!山はあいつらの物だが、この素晴らしい眺めはケニアからしか眺められない」と誇りに語っていた。

ケニアの人達はタンザニアにあんまり良い印象を持っていないのだろうか。

良く分からないがそうなのかもしれない。
どこだって隣国同士は仲が良くない。

本当は国立保護区内にある雰囲気の良いロッジに泊まって、明け方にコーヒーを飲みながらデッキからキリマンジャロを眺める。。そんな贅沢な滞在を夢みていたが、とても僕には払える金額ではなかった。

もし払えたとしても、小さい息子にそんな贅沢はさせたくないし。そもそも綺麗に見える季節じゃないし。そう自分を説得してキリマンジャロを恨めしく見つめる。

アンボセリ国立公園と言えば、アフリカゾウの楽園と呼ばれており多くの群れが生息している。たくさんのゾウを見る事ができた。
今春に産まれた小象たちも間近で見られて、とてもかわいかった。

アフリカゾウの行進

ゾウは足の筋肉がしなやかなため、歩いても大きな足音がしない。
ドスン、ドスンと歩いてくるイメージがあるが、実際にほとんど音はしないため注意しないと間近に迫っているのに気づかない事があるようだ。

さらに走っていると沢山の車が止まっている場所に遭遇。
10台以上は止まっている。

渋滞


獲物を探すチーター

チーターだ!

丘の上に座り数十メートル離れたガゼルを狙っていたようだが、結局諦めて移動して行った。悠然と草原を歩く姿がカッコよかった。

草食動物に生まれると、当たり前だが生まれてから死ぬまで一生自分が食べられないように警戒して生き続けなくてはいけない。気が休まらない一生で大変だなあ、と思う。

一方、肉食動物は狩りが出来なければ飢え死にしてしまう。
しかし草食動物は比較的労せずとも食べ物は見つける事が出来る。

自分だったらどちらの生活が良いんだろう。

やっぱり寝る時くらいは安心して休みたいから肉食動物かな。。

力不足で狩りが出来なければ、死あるのみ。
というのも男らしくてカッコよい。

でも、草食動物でその辺にある草を適当に食べながら、奥さんと子供とのんびり暮らすのも幸せかもなあ。。

野生動物の生きる目的は、ただ動物として本能に従い生きること。食事をして、寝て、子孫を作り土に還る。

人間は生きる事について色々と考える。夢は?自分の本当にやりたい事は何か?今の生き方で悔いはないか? とか。最近は書店ではそんな本ばかり目につく。

人間は疲れるなあ。

ここで言うと動物たちから文句を言われそうだけど。

Tomは10台以上車がひしめく中で、絶妙なハンドルワークで見やすい場所を確保してくれた。その後も次から次へと車が立ち止まり人間がシャッターを切るので、チーターもさすがに「何見てんだよ」という感じでこちらを軽く威嚇していた。

湿地帯では、珍しい陸に上がったカバの食事シーンも撮影成功。

珍しい陸上でのカバ

Tomはすれ違う他の車のドライバーに顔なじみが多く、車を止めては声を掛けて動物のいる場所の情報交換をしていた。皆そうしているようだが、そのお陰で効率よく動物を見られた気がする。

もう少し見たかったが、今日戻るナイロビ到着が夜になるのは避けたい。

昼頃、キャンプへ戻ることにした。

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