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さくらが咲いたら

3月も暮れ。忙しなく過ぎる毎日は、塩むすびみたいにシンプルなものだなぁ。
まるで散る花びらのように思える毎日を、私はどれくらい大切にできているんだろう。
苗字ではなく名前で呼ばれること自体が少ない日常。ふと、小学校の入学式のことを思い出した。薄ピンクのジャケットに、薄ピンクとグレーのチェックのスカートを履いて、白タイツに黒いバレエシューズを履かされ、前髪につけた髪留めはフワフワのファーが付いてた。あの頃にはまだ色展開が少なかったランドセル。特殊な色で5万円くらいしたランドセルを背負い、新たな日々の幕開けに心を躍らせていた幼き私。記念写真を撮る時、私を挟むようにして両端に立った両親の顔をなぜかまだ覚えている。

言葉の意味など、全然知りもしなかったあの頃に、私はなにを思い、うまく言葉にできないもどかしさを何にぶつけていたんだろうか。

たしかに私がここまで歳を重ねてきたけど、あの子はあそこにいて、今の私もここにいて、明日の私は明日にいるだろう。

あの雲に君を重ねると
どんな顔をするんだろう
できればマヌケな顔がいいな
あさっての方向向いて、「幸せ」とか言ってみたいな

渚にて幻/indigo la End

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