レイヤー分けツール、反AIに焼かれる
2024年12月5日、「抹茶もなか」氏が、1枚絵を自動で複数レイヤーに分割するツール(名称未定)の完成を報告。
初期から言われている事だが、画像生成AIには、「元々画像生成AIを使いこなせる人間が後から手描きを併用する」事は比較的容易だが、「元々手描きでやって来た人間が後からAIアシストを導入する」事がわりと難しいという問題があり、そのギャップを埋めるソフトウェアの開発が期待されていた。
本ソフトウェアもその1つで、「与えられた線画に対してAIが段階的にレイヤーを切りながら色を塗っていく」という構造になっている。つまりこれは手描きイラストレータが新たにAIアシストを得るためのツールであって、既にAIを使いこなしている人間が使うようなツールではないのだが、反AIはそのコンテキストが読み取れず、なぜか「AI絵師が手描き偽装のために使うツール」だと勘違いし、開発者を攻撃し始めた。
本来のターゲットである「AIアシストを導入したいと思っている手描きイラストレータ」の背中に、元々ターゲットではない無関係な反AIが銃を突きつけ、「使うなよ?」と脅す結果となっている。
元々オタク業界ではプログラマの地位が低く、イラストレータだけが神の如き別格の扱いを受けていたが、その「イラストレータ以外はどうでもいい」という特権意識が、ここに来て顕在化している。反AIのヘイトスピーカー化が進んだ結果、ラッダイト運動を通り越して機械だけでなくそれを開発した技術者も殺すべきという技術ヘイトが形成され、Adobe、Microsoft、Apple、Googleといった巨大IT企業が次々とAIを開発・公開していくなか、それに全く抵抗できないフラストレーションが、殴れば言う事を聞きそうな個人開発者に向かっている。
信じがたい事だが、デジタルペイントツールにべったり依存し、Undoやレイヤーがなければ1枚の絵を完成させる事もできないような世代が、今さら反テクノロジーなのである。