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音楽は出会った時が新譜



タイトルは、茂木欣一さん(フィッシュマンズ/東京スカパラダイスオーケストラ)が
何かのインタビューで答えていらして
心にグッときてメモしておいた言葉。

音楽や作品が生み出された時ではなく、
出会った時がその人にとって、一番新しい。

ようやく、観に行けたよ。
映画【fishmans】

毎度、毎度の言い訳で
なかなかスケジュールの調整が難しく、
午後休を思い切って取って。

行けてよかった、スクリーンでサトちゃん
(あえて呼ばせて下さい、大先輩)
観れてよかったな。


私がまだ目も耳も聴こえていなかった頃、
既に彼らはメジャーデビューをしていて。

そしてVo.佐藤伸治は、
私が物心ついた時にはもう
この世にいなかった。

正直。
直近にSuchmosのベーシストHSUさんの訃報があり、混乱と絶望を繰り返していて
(つい先日、このnoteにも風くんのライブでSTAYTUNEが..と記したばかりで、今月はサチモスばかり聴いていた)

これ以上若き才能がなくなる瞬間に立ち会うのは無理だなと、絶望した。

はやたくんいなくなっちゃって
どうするのよ、活動を休止してるだけで、解散したわけじゃないじゃないのに。
なんでなんでなんで。

なんて、また思ったりしてしまっていて。

天才はなぜかいつも駆け足で。
凡人はいつも置いてけぼりだよ。


生まれも、地元も近くてね
そんな非凡な才を持ってさ
いつか会える日に、胸張って言える事を
私は手に入れられるのだろうか。

私もHSUさんもつい先日まで、
フィッシュマンズのサトちゃんが
〝静かな場所に行きたい〟と思った年齢に追いつこうとしていた。

HSUさんは追いつかない選択をしたし、
今日も生きている私はサトちゃんのようには
何も生み出せていない。

やっぱり天才はいつも、駆け足だ。


映画の話はネタバレになるので。
個人的なフィッシュマンズと私の出会いを
思い出しながら、書いてみる。



———サトちゃんがこの世を去って10年経たない頃、私はとある大学のジャズ研にいた。


まわりが王道のジャズを演るバンドを組む中、
サークル内でも毛色の違う「スカ」をやっていこうというコンセプトでこっそり立ち上がったバンドがあり。

そのメンバーが次期入学生から楽器経験者を探していて、当時、mixi(なつかしい)でたまたま声をかけられた私は誘導されるがままジャズ研に入部した。


とはいえ、ジャズにはほとんど触れずスカだけやるジャズ研部員となり

tenor sax、alto sax、trombone、trumpet(私)、piano、guitar、base、drums、percussionの9人編成のバンドに18才の時に加入。


活動していたのは3年あまりかな。
就活があったり、他のバンドと兼任しているメンバーもいたので入れ替わり立ち替わりメンバーは変わったがみんな音楽が大好きだった。

映画に出てきた渋谷La.mamaやリキッド、
数々のライブハウスに一番出入りしていたのもこの頃だろう。(もちろん客として)


バンドは楽曲は耳コピで覚え、時にはステージに立った。学祭よりライブハウスで演る方が高揚感があり、高円寺のライブハウスは未だにステージからの景色を覚えている。

そう。私たちは東京スカパラダイスオーケストラに憧れていた。

一応ジャズ研なのでジャズの曲をスカのリズムにアレンジする事が多かったが
やっぱりスカパラの楽曲はメンバーみんな好きで当時、何曲か演ったと思う。

(あとはサケロックかな。インスト系では避けては通れない道でよく聴いていた。)


バンド練習は夜9時過ぎに吉祥寺のスタジオに集まって、中央線の始発まで。
いわゆる深夜練が日常だった。
(今では考えられない)


その吉祥寺のスタジオで最も発したであろう言葉が「fishmans」だ。

語れる事はほとんどないが、とにかくフィッシュマンズと発したのはあのスタジオだろう。


あぁ、もっとフィッシュマンズっぽく行きたいよね、フィッシュマンズくらいスローなグルーヴでさ、なんて。

まぁでも〝フィッシュマンズみたいに〟
って言うのは今聞いても無謀な話だった。

その答えは映画にたっぷり答えがある。


その時点ではフィッシュマンズの
再始動と言われる活動がちらほらある形で
全盛期の音楽シーンを体感していたわけでも、
サトちゃんの歌声を生で聴いたわけでもない。

それでも私は、フィッシュマンズの音楽に出会えた。サトちゃんに出会えた。


それは茂木さんを中心に、
柏原さん、小嶋さん、ハカセさん、サポートメンバーのみなさんがフィッシュマンズを続けてくれたから、私たちはフィッシュマンズの音楽に自然に出会えた。感謝してもしきれない。

サトちゃん不在の時間が
残された者たちを強くした事には
埋まらない大きな穴を感じつつも

生きていくって、こういう事なのかもなと感じる。


茂木さんに関してもスカパラの方が断然観ているけど、やっぱりフィッシュマンズは特別だと思う。
茂木さんが歌うワケを改めてまざまざと見せつけられたかな。
(とはいえスカパラも相変わらず好きです。)


時は流れても、音楽は止まない。
音楽が止まない限りフィッシュマンズは終わらない。


どうにしたって、
昨年からの推しの不在により
これからの自分の生き方を
終わりへ向けての走り方を
模索する日々で。

サトちゃんが言っていた
生活するための時間軸と
頭の中に流れている時間軸は違うっていうのが
私にとってもここ一年は顕著で。

頭の中の時間軸に引っ張られると
生活が成り立たなくなるし、
あえて、仕事やこなさないと行けない予定を詰めて、詰めてなんとかやり過ごす日々だけど

すっきりと晴れた心はもう訪れないから
いろんなもの抱えながら、
生きていくしかないよね。

映画や音楽、作品は残り続けるし
いつまでも届くと感じたよ。

今日生まれた赤ちゃんにも、
私の推しの作品は届く日が来る。
だから伝え続けよう。

(結局推しの話になってしまった)
(フィッシュマンズ、最高!)

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