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妄想Zippar路線:柏駅~柏の葉キャンパス駅間を結ぶ

HSP勢で内向型人間のオタクがお送りする「オタ語り」。

今回のテーマは、話題の新交通システム「Zippar」。
まだ実用化には至っていませんが、新しいタイプの公共交通としての期待が高まっており、個人的にも注目しているところがあり、今回「Zippar」が私の地元に"実装"されたという妄想をしてみようというものです。

なお、開発を手掛ける「Zip Infrastructure」社の代表取締役でもある、《須知高匡》氏は、noteでも開発に関する記事を発表されたりしておられますので、ご参考にしていただければ。


ローテクの逆襲

"自走式ロープウェイ"である「Zippar」は、現在は導入に向けて本格的な準備を行っている段階でありますが、国土交通省の審議会にも取り上げられるなど、運用がかなり現実味を帯びていると思っています。

開発元の「Zip Infrastructure」社の本社が存在した(現在は福島県に移転)神奈川県秦野市では、テスト走行が繰り返され、また導入に関しても具体的なルートが策定されています。

「新交通システム」とは書きましたが、「Zippar」の基本的な仕組みは、従来のロープウェイ技術を元に考えられています。

ただし、そこに新しい技術を織り交ぜつつ、独自の進化を遂げているところがポイントです。

従来の「ロープウェイ」という基礎的な部分だけを見ると、確かに「ローテク」ではあるのですが、既存のインフラをうまく活用して、リノベーションしていくという手法は、まるで古民家を新しく再生してカフェに仕上げるような、「古くて新しい」センスを持った交通システムと言えるでしょう。

いたずらに最新の機能を搭載した次世代モビリティーは、莫大なコストを負担することにもなり、大都市ならともかく、人口が減少し続ける地方都市では「割に合わない」投資になりかねません。

しかし、今回紹介する「Zippar」は、まさに「身の丈に合った」交通システムであり、後述しますが、様々なメリットによって現在の交通状況を改善する可能性を秘めています。

妄想路線!

私の生活圏は、千葉県の北西部のいわゆる「東葛地域」。
("チーバくん"の目のあたり)
その中でも国道が交差し、県内でも1日の乗降客数がTOP3に入る「柏駅」が存在する「柏市」は交通の要衝とも言えます。

そんな柏市も他の地方都市の例にもれず、モータリゼーションの影響で郊外のショッピングモールに客足が分散し、従来商業の中心であった「柏駅」周辺の賑わいは徐々に薄れつつあります。

また、「つくばエクスプレス」の開業で新たに建設された「柏の葉キャンパス駅」の台頭で、周辺人口が子育て世代を中心に増加しています。

しかし、この「柏駅」と「柏の葉キャンパス駅」を鉄道で行き来するには、東武線を使って乗換をすることになるため、公共交通機関を使用する場合、現在は事実上路線バスでの移動が唯一の選択肢といっていいでしょう。

野田線を使って大回り移動するのはさすがに時間・運賃の面でもおすすめできません…

そこで、私は、この「柏駅」と「柏の葉キャンパス駅」を、「Zippar」で結ぶことが出来れば、周辺住民にとってもプラスの効果が期待できると思ったわけで、妄想路線を考えるに至ったのでして。

地方都市でこそ、Zipparは輝く

実は、柏市もこの二つの駅間の総合交通計画について、様々な計画を整理しています。

既に2015年の柏市の資料では、柏駅⇔柏の葉キャンパス駅の間の交通機関についてLRTの導入が検討された形跡がみられます。

ただし、道路事情やコストの面から、「厳しい」と判断されており、バス路線の強化に舵を切っていることがわかります。

「柏市総合交通計画の今後の推進について」より引用

しかし、現行のバス路線での移動は、日中の時間帯では、場合によっては1時間に2本と少なく、最速でも23分、渋滞を加味すると30分近くかかることもあります。

東武バスの時刻表。平日9時台と10時台は2本のみ。

「Zippar」の導入を検討している秦野市は、人口16万人。(2024年現在)
その倍以上の人口を抱える柏市ですから、やはり現状の公共交通は貧弱であると言わざるを得ません。

Zipparのように「フットワークの軽い」新たな公共交通であれば、コストを抑えつつ、バスよりも多くの輸送人員を担うことが可能です。

また、Zipparのバスに対する強みと言えば、やはり、「渋滞知らず」という定時制運行と、近年深刻になっている運転手不足にも対応できる「自動運転」です。

「令和 4 年度次世代交通システム Zippar」- 秦野市役所の資料より引用

既にZipparの計画線は秦野市で具体的な計画が進んでいますが、おおよそ4~5kmの距離を結んでおり、柏駅⇔柏の葉キャンパス駅の間も4km弱と、Zipparが想定する距離とも合致します。

自走式ロープウェイの場合、あまり距離が長いとその強みが生かせないため、5km程度の距離が比較的導入しやすい間隔ではないかと思います。

直線距離では3.8km

自走式ロープウェイの最高速度は約35kmで、30kmで計算し、途中駅の停車を加味するとしても、15分以下で2駅間を移動できるとすれば、バス移動の半分の時間に短縮することも可能です。

また、Zipparのもうひとつの利点として、「設計の自由度」が挙げられます。
従来のモノレールなどでは、どうしても直線的な配置になってしまいますが、こちらは曲線なども可能なため、中間地点をより柔軟に指定することができます。

私が設定した妄想路線の場合、中間地点に「柏厚生総合病院」「柏自動車教習所」といった施設があり、自家用車を持たない学生や高齢者などのニーズにも対応できます。

柏駅⇔柏厚生総合病院間は1.5km

また、終点とした柏の葉キャンパス駅から将来的に1km延伸して「県立柏の葉公園」まで運行するルートを整備しても、総延長は5kmほどで収まるため、予算が許すなら個人的には柏の葉公園までのアクセスもZipparでカバーできると嬉しいと思っています。

延伸して柏の葉公園に乗り入れれば総延長はちょうど5km

「新しいのりもの」にはみんなわくわくする

70年ぶりの新規路線開業で話題を集めた、「宇都宮ライトレール」は、当初は懐疑的な見方もありましたが、いざふたを開けてみると、乗降客数は好調に推移しています。

横浜の「AIR CABIN」も、その新しさからか、利用者数は堅調です。
コロナ禍というアクシデントはありつつも、そこから回復途上にある現在は、横浜の新しい顔としてすっかり市民に定着した感もあります。

Zipparという「自走式ロープウェイ」についても、多くの人が稼働当初は物珍しさを感じて各地から乗りに来る、という現象が起こりうると予想しています。

もちろん、そこから持続して長い期間運営できるかどうかは未知数ですが、ニーズ予測と効率的な運用がしっかりできれば、人口減少社会にあっても、十分採算が取れると見込めるルートは数多くあると思います。

秦野市以外でも、沖縄県豊見城市や石狩市などの自治体がZipparの導入を検討しており、今後もそうした自治体は増えていくものと予想しています。

「クルマ」に依存しない選択肢を

私自身、自動車運転免許を所有していないため、どこに行くにも公共交通機関が欠かせません。

もちろん、若い頃はレンタサイクルや徒歩を使って野外アートを見に行ったりもしましたが、年齢を重ねるにつれ、なかなか腰が重くなります。

人口が減少していると言われつつも、物流のひっ迫などで渋滞はなかなか減らず、また高齢化が進むにつれ、認知機能の低下による事故のニュースは後を絶ちません。

残念ながら、「クルマファースト」の現代は、様々な問題を抱えています。
例えば、横断歩道では車の一時停止は"義務"のはずですが、実際には止まってくれない。実に8割が道交法違反というのが現状です。

やはり、「自家用車」を持っている人ばかりが優先される世の中ではなく、学生や高齢者、免許を持たない人たちが、様々な場所に移動できてこそ、社会の活性化は進んでいくはずです。

モータリゼーションの結果、地方都市は同じようなモールが乱立し、代わり映えのない景色が広がってしまい、結果として衰退を招いています。

しかし、「駅」が中心になると、「そこにしかないもの」が生まれやすくなります。
現に、熱海が復活し、蔵の街川越の商店街には人が溢れ、北陸新幹線が開業した金沢の近江町市場は活気に満ちています。

「公共」というものがしぼんでいく日本社会と比較して、公共交通機関を軸にした街づくりを進める欧州では、日本ほど地方都市が疲弊していないという点から見ても、「クルマ」中心の街づくりというものを考え直すべきだと、私は思っています。

「個性」を出していこう!

日本はどうも、「横並び社会」というところがあり、変わったことをやろうとすると叩かれるという残念な風潮が目立ちます。

ベンチャー企業や、「チャレンジする人」があまり歓迎されない社会では、なかなかこの閉塞感というのは打破できないと思います。

欧州では、町中にトラム(路面電車)が走っているところをよく見かけます。
環境意識が高く、また古い建物を大事にするヨーロッパでは、やはり「持続可能性」を重視する傾向が日本よりも強いと感じます。

これから先、自治体が魅力を出していくには、やはり「横並び」ではない、「個性」を際立たせる思い切った施策が必要になってくる。

そうした中で、「Zippar」のような、新しい交通システムを考える若い世代の人たちを、私は応援していきたいと思います。

政治のニュースを見ても、企業の不祥事のニュースなどでも、日本の意思決定を担う人たちというのは、年配のおじさんばかり。

「出る杭は打たれる」と言いますが、むしろ、「杭」を出しまくって、「Zippar」を支える「杭」のような新しいチャレンジをもっと見てみたいと願う私なのでした。

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