ユー・アー・ノット・アローン 「私」の中のマイケル・ジャクソン

エピローグ

「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」


 映画「フォレスト・ガンプ」の有名な台詞。まさに、そんな3ヶ月間であった。それまで何となくマイケルが好きなだけだった私は、一冊の本との出会いを切欠に自分の世界を広げる事が出来た。


 しかしそれは、自分一人だけでは成し遂げられなかった事だ。イベントも、ダンパも、情報を教えてくれる人、企画する人、スタッフ、パフォーマー、様々な人の想いが力になり、一つの形を創っていく。皆それぞれ、マイケルを愛している人達だ。一人の愛が皆の愛になり、その愛が私の心を揺さぶったのかもしれない。マイケルを愛している限り、私は、私達は独りぼっちではないのだ。


 何ヵ月か前、尾藤さんは私にこう話してくれた。


「マイケルは僕にとって、自分の人生の一部だと思います。同化しちゃいたいぐらい大好きで、でもいざ、やってみたらとんでもなく大変で、無茶な事ということが分かってきて…でも、その過程で色んな事を経験して学べたので、結果として良かったなと。そして、形はどうあれ、やっぱりマイケルが大好きなんですよ。そういう夢中になれる対象を見付けられて幸せだなあと、今は思ってます。」


 今もマイケルとしてステージに立つ尾藤さんの、マイケルへの揺るぎない愛。インパーソネーターのパフォーマンスという形で、私はマイケルが遺してくれたものを観れた。彼らはマイケルという太陽の力を借りて輝く月だ。真っ暗な闇夜を薄く照らすその姿は、哀しくも美しい。そして、熱を帯びて傷ついた世界の一日の終わりを優しく癒してくれるのだ。


 私の中のマイケル・ジャクソンは、永遠に続く愛の象徴だ。


 Fin.

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