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5タイプ才能アナリスト・じんの〜解体新書〜

■はじめに

今の時代に生きる、大勢の人たちはこんなことで悩んでいます。


✅もっとモチベーション高く仕事したい
✅もっとストレスなく生きたい
✅もっと自信を持ちたい
✅人間関係良くしたい


あなたもそうじゃありませんか?
これらの悩みを細分化していくと次の2つが主な原因として浮かび上がってきます。

▶︎①モチベーションが続かない

→自分の強みを活かして/いい人間関係を構築して/もっと稼げる作戦を立てて……「やろう!」と決めてもその時だけで意欲がどんどん萎んで動けなくなっていく。

▶︎②計画通りに動けない

→入念に計画を立てたり、アイデアは良くてもいざ実行に移す段になると動けない。


そしてこの2つの問題点は「あること」が原因になっています。それは"自分を知らない"こと。このツイートを見てください。


その問題点を解決するために、僕は古くから皇帝たちが使ってきた占いではない特別な"2割の皇帝学・5タイプ才能診断"という2000年の歴史がエビデンスの「自分を知る」手法を使い、個人から企業単位まで、多くのクライアントさんたちの心や体にとどまらず個人ビジネスから会社組織の問題を解決してきました。


会社から個人まで、目標の達成を妨げる悩みや問題を解決するには東洋の古代哲学であり「本当の自分を知る」ツールである"5タイプ才能診断"がまさに専門領域なんですが、問題点が一つ。

誰も知らないんです!

5タイプ才能診断でみんなが悩んでいる問題を解決できることが!……これが現状なので、なんとかあなただけでも興味を持って欲しい。それがTwitterで情報発信を始めた理由でもあります。

■第1章・現在の自己紹介


さて、なんでいつも、そんなにメンタルやタイプのことしゃべってんの?そもそも誰やねん?というツッコミのセリフが聞こえて来そうなので、このnoteで自己紹介させていただきますね。


改めまして、こんにちは。48時間鑑定師こと5タイプ才能診断アナリスト・神野洋太です。
まず、このツイートを見てください。



一応、背景をお話しすると私は20年以上"クチコミ100%の鍼灸師"として活動してまして、鍼灸院経営18年目を迎えます。


✅良いものをよりよく!
✅旅立つ時が一番元気!
✅ホンモノを提供する!


をコンセプトにチューンアップ&メンテナンス重視の高単価×高リピートの治療経営スタイルです。


いつも心掛けていることををいうと「体も人生も巡ると良くなる」という信念のもと、体や人生のメンテナンス&チューンアップ、問題解決をさせて頂いています。少し詳しくご紹介すると、


私は普段、タイプという人間一人一人が持っている東洋版のDNAを用いて自分の命が元々培ってきたものを見直して、再発見する「自分を知る」という考え方をビジネスや人生に用いる

「2割の皇帝学・5タイプ才能診断アナライズ」という皇帝の決断メソッドで経営者さんの悩みや会社組織の課題の最適解を探るお手伝いをしています。


先ほどもちょっと触れましたが、私が情報発信する理由は皇帝に愛された特別な2割の5タイプ才能診断を通じて自分を知ってもらうことから始め


5タイプ才能診断の視点であなたのだけの強みを活かし、人間関係をよくしたり、お金を稼いだり、満足できる人生を歩み方についてお伝えしていきたいと思っているからです。


なぜ、そんなことをしたいかというと、実際ぼくがこれを知っていたにも関わらず、実践できていなかったために、日本への帰国後、5年以上にわたり極めて自分を生かしていないお金の稼げない時期を過ごしてしまったからです。


あんなしんどい思いや、苦しい体験はぼく以外しなくていいと心の底から思いますし、その後の心からやりたいことをやって、それを評価してくれる人たちと仕事をして気持ちのよい報酬をもらう生活の素晴らしさ。


自分の夢のために、協力したい人のために、自分の強みを活かし、自分の望む人生や仕事、ビジネス歩むための基礎の基礎である、知識や言葉の共有をしたいなぁ…と思っていたのが筆をとるきっかけになりました。

■マインドだけじゃダメだった現実

▶︎挫折したマインドの専門家



さて、実は今は誰にも言っていない、本当にここだけの話なんですが、僕は過去にマインドセットのDVDをリリースし、マインドセットの専門家として活動していた時期があります。

文字通りクライアントさんのマインドをセットし直して成功に導くという活動です(神野洋太 マインドブロック←で検索して見てください、出てきますからww)。

こちらのツイートを見てください。


もちろんうまくいく例もあり、マインドってやっぱり大事だなぁ……と思うことはもちろんありました。しかし、その活動の経験からあることがわかったんです。

それはいくらモチベを高めたり、ストレス管理したり、人間関係良くしたり、いくら緻密に戦略プランを練ったとしてもダメだったということ。要は定着しなかったんですね。

ぶっちゃけその人に合ったマインドをセットしないとまったく前には進まないことが分かった^_^んです。


もっと言うと、自分を知らずにセットしたマインドは飾りで終わればいいのですが、一度セットしてしまったら最後。

なかなか外れないどころか意識的、無意識的に実害が出続ける……ドラクエで言うと"のろいのゆびわ"みたいに実に厄介な物になってしまう可能性が恐ろしく高いのです。


これが僕のマインドセットの専門家を辞めた理由であると同時に「自分を知る」ことの大切さを改めて思い知るきっかけにもなった事件でした。

元マインドセットの専門家の立場から言っても、現役の鍼灸師の経験から言っても、ほとんどのメンタルの問題だけでなく、体の問題もみんな「自分を知らないこと」。

すべての原因はそこから起こっているのです。


上の例でいくと「自分を知らなかった」ばかりに自分に合ったマインドをセットできず、モチベーションの維持や管理ができなかったり、計画通りに動くための手順が作成できず、逆に混乱してしまっていたりしたってことです。

そして、今までうまくいったことを思い返してみると、全部とっていいくらい、「自分を知って動いた」からこそうまくいっていたことに思い当たりました。


あなたが自分を知り強みをもっと活かすにも。もっと稼ぐにも。もっと早く目標を達成するにも。もっといい人間関係を構築するにも。

これら問題の原因を解決するためには「自分を知る」という根本的な部分からの解決が必要です。その目的でというツールを使うとまさに最強なわけです。

■5タイプ才能診断は"命の学問"

▶︎いい仕事には相互理解が大切

「じゃあ2割の皇帝学を学べばいいんだな!」と、ここから5タイプ才能診断のお話に入っていくんだと思うんですが、ぼくが中国で伝授されたのは特別な学問。
占いみたいな気楽なモノじゃありません。

5タイプ才能診断は聞く人の人生を変えるような力を持っている別名"命の学問"とまで言われています。なので、ちょっと聴き方に特徴があるんです。


それはTwitterでぼくが発信している情報が気になった...…とか、ぼくとたまたま会って話した……とかそういう"出会い"・"ご縁"ですね。

もし、それがあったら、すべてこの2割の皇帝学・5タイプ才能診断の話を聞くべきタイミングがあなたの下にやってきているってことなんです。


その証拠にぼくはクライアントさんと平均5年以上のおつきあいになることが多いですが、そのほとんどの方が「まさか自分が鍼なんてすると思わなかった」とか「あのタイミングでしか話を聴けなかった」とおっしゃってくれているからです。


実際、ぼくは25歳で独立してから今に至るまで、"クチコミ100%の鍼師"としてほぼ1回も広告なしのクチコミだけで仕事をしてきました。鍼をするにしろ、タイプを分析するにしろ、2割の皇帝学・5タイプ才能診断の話をするのには変わりありません。

そんな経営スタイルなので新規のクライアントさんがドバーッと入ってくるって感じではなく、選ばれた人のみがやってくる感じになります。


この"選ばれた"ってところが大事で、何に選ばれているかというと、もちろんぼくが選んでいるのでもなく、"話を聞くべきタイミング"に選ばられているようなのです。

開業してかれこれ18、19年目に入るくらいですが、自分のクライアントさんがこの話を聞くべきタイミングにのみ現れることをぼくは長年の経験で知っています。


これからたくさんお話をしていくことになると思うんですが、2割の皇帝学・5タイプ才能診断は別名"命の学問"と言われるくらいの力を秘めているので、出会い方が重要なのは当たりなのかもしれません。


そして、この話をする時は必ずお互いをよく理解していないとダメです。なぜなら、5タイプ才能診断は"命の学問"です。その意味は"お互いの命をやり取りする"っていう意味。

そのためにお互いのことを知るのがとても大事なんですね。なので鍼でも分析でも初めのヒアリングがとても長いので有名です(笑)


いいビジネス、いい仕事の基本は相互理解からの情報共有なのは万国共通でしたし、自己開示すると読む人も心を開きやすくなってくれるかもしれません。

ってことで、このnoteではまず、2割の皇帝学・5タイプ才能診断を学ぶ前の「自分を知る」準備段階として、ぼくの方から自分について自己開示していきますね。


このnoteがきっかけになってぼくの話す5タイプ才能診断に興味を持ってくれる機会が増えたら嬉しいです。ではお話ししていきましょう。


それではまず、僕のライフワークである2割の皇帝学との出会い、そしてぼくが身をもって5タイプ才能診断の効果を体の芯から体感した中国武者修行でのエピソードを紹介させていただこうと思います。長いですが、ぜひお付き合いお願いします。

■第2章・皇帝学との出会い&中国武者修行編

▶︎神野少年、陰陽五行との出会う



まず、僕と陰陽五行の出会いについて話しをさせてください。
このツイートを見てください。


さて、父はTHE・昭和の男、午前さまも徹夜もドンと来いのモーレツサラリーマンの鑑みたいな人でした。当時6歳の神野少年、父が大切にしている蔵書が収められている書棚の前で寝転んで遊ぶのが大好きでした。


ある日、お昼ご飯を食べ終わり、いつものように背の高い家具に囲まれた静かな部屋の書棚の前でゴロゴロ遊んでいた神野少年の目に一際目立つ一冊の黄色い表紙の本が飛び込んできました。


その書棚は平均的な大人の身長(160cm)くらいあるものでした。各棚には役割分担がなされていて、1番上から順に必要な本、好きな本、そうでもない本……と父の好みの順で並んでいます。

1番下の棚は忘れられた本が入ってることが多く、いわゆるどうでもいい本が入っている棚でした。


彼の目線の先にあるのは書棚の最下層に位置するどうでもいい"三軍図書"、おそらく若き日の父が昇進試験のために上司から「これ読んでおくように」

と渡されたとおぼしき、まるで読まれた痕跡のない書籍たちが寂しくその余生を送るスペース。


「なんじゃこりゃ?」


埃を被った三軍図書の中の光る一冊、引っ張り出してパラパラしてみました。すぐに目が止まった一枚の挿絵。それをみた瞬間、本に引き込まれてしまいました。

そのまま夕方に「ごはんよ〜!」と、母親に声をかけられるまで帰ってこれないほどタイムスリップしてしまったのです。


その挿絵は中国の春秋戦国時代の戦国七雄(強い国)が書かれていた当時の中国大陸の勢力地図でした。その本の名は「韓非子(かんぴし)」。

紀元前250年頃に書かれたと言ういわゆる「兵法書」という本で、兵法書というジャンルがこの世にあることを初めて知った瞬間でした。


韓非子という本の挿絵の地図に一撃で心を射抜かれてしまった神野少年、それからというもの書棚の前に陣取っては一心不乱に兵法書を読み耽ります。


有名どころの「孫氏」「三国志」「十八史略」から始まりマニアックな「戦国策」「呉子」「六韜三略」まで一気に読み漁りました。

そして、歴史好き少年の例にもれなくKOEIの歴史ゲームにどハマりしました(特にナポレオンと大航海時代⛵️)


書棚にあった書籍ではもちろん飽き足らず、小学校の図書室で探し、あまりに頻繁に出没し過ぎて図書室の先生に「おかしい子?」と疑われた神野少年。


目的を告げると「図書館に行ったらもっとイイのあるかも」と言われ、手紙を書いてもらい図書館まで押しかけて持ち出し不可のホコリを被ったなんかデカい本を見せてもらって満足気な神野少年。


このどこから来てるのかわからない熱意と行動力のおかげで、中学生が終わる頃までには立派な歴史マニアが1人出来上がっていました。


そして、これらの読み漁った兵法書の文脈の合間に現れるのが陰陽五行という心惹かれる不思議な漢字四文字。これにもモチロン興味を引かれ、調べてみると「この世のすべてをこれで分析できる」中国古代の哲学。


兵法書や中国の歴史の裏側、根底に流れる価値観というか考え方、それこそが2割の皇帝学の考え方を表した陰陽五行でした。この陰陽五行に対する情熱はやがて本場・中国に渡って学ぶという行動の源動力となります。

この占いでよく知られる「陰陽五行(いんようごぎょう)」は2割の皇帝学の入り口でした。

今考えると、幼いこの時からもう「中国に渡る!」と決めていたのかもしれません。(母親は「この子のアタマ大丈夫かしら」と 本気で心配していたそうです (そう思われていたのを最近知って、けっこうショックでした(笑))。


これが神野少年と陰陽五行の初めての出会いでした。

②そして時は流れ、武者修行へ旅立つ。

▶︎神野青年、中国に降り立つ



幼い頃からの夢が叶い、中国に単身渡った神野青年、もう22歳。ついに明日から待ちに待った本格的な中医鍼灸の病院研修、中国武者修行、開始の日。目指す場所は「天津中医学院第一附属医院」略して"一附院"。


この日のために1年前から福建省は厦門(アモイ)大学にまで行って語学研修をして中国語の準備してきたと言っても言い過ぎでないくらい。


やる気満々に3Fの留学生事務所に到着し、バン!と立て付けの悪い扉を開け、朝ごはんを食べたばかりでやる気のない事務員さんに配属先を訪ねると「どこでもいいよ」とどうでもいいと言わんばかりの素気のない返事。


おかしい。1年間の大陸暮らしで磨かれた直感が語りかける。こんな時は考えるよりも大体直感が正しい。自分の直感だけが中国で生き残る唯一の武器になる。が、この後、半年以上直感はお休みしていることになる。


入学前パンフレットや入学カンファレンスでは「知識豊富で優しい教授陣」「各国から集まりし熱意あふれる仲間」「最新の設備」「多彩な研修プログラム」「なんと通訳付き」ありとあらゆる良いことを教えてくれた。


しかし、その直感は事務員さんの「白衣買いに行って!」の一言でかき消された。そうだった。事前説明会では鍼灸学研修の外国人は白衣を買うんだった。「400元(1元=1.7円当時=約7000円)必要」と聞いていた。


そこで3Fの事務所から2Fの購買室に移動して白衣を買うと「40元」と言われた。あれ?400元じゃ……とまごついてると「買うの?買わないの⁉︎」とせっつかれる。

不本意ながらも言われるがまま40元払う神野青年。ついに"研修用白衣"を手に入れた!!


ま新しい白衣に袖を通すと胸には「第一付属医院」の文字が輝く。「研修するためにはこの白衣を着なければならないのです」と自慢げだった事前説明会のおばちゃんを思い出しなんだか誇らしげになる。


ちなみに、おばちゃんが持っていたのが400元の"外国人専用"白衣。そして神野青年が手に入れたのは40元の"中国人用"白衣。なんと10倍。

そういや、北京の紫禁城にも外国人用チケット売り場があったな……。この白衣の値段のちがいで入口のちがいに気づくべきだったぞ、神野青年!


さあて、白衣を手に入れ1Fに移動。いよいよ冒険の始まりだ。意気揚々と人が行きかい混雑する広いホールに突入、場内の案内板を発見、研修先の病室を決める作業に入る。「さて、どこに行こうかな……」案内板を見上げたがこれが絶望の始まりだった。


研修生は事務所のおばちゃんがいう通り、自分で所属先を決めるのだが、この巨大な東洋医学の総合病院には外来鍼灸治療室がなんと1室から36室まであるではないか!


こんな中から自分にあった研修先を決めろって無理やんか!案内ないんか!と案内板を見上げながら、さすがに心の中で毒づきに毒づいた。そして、もちろんここには優しい通訳も、志を共にする仲間もいない。そこに神野青年が気づくことはなかった。


不覚にも自分の人生を左右する研修先の選定で暗礁に乗り上げてしまった神野青年。どうした神野青年⁉︎まだ研修の場にすら立っていないぞ!しかし、目の前には1~36室と書かれた案内板が無情にも無限とも思われる選択肢を広げている。正直言って"ピンチ"いや"大ピンチ"だ。


なぜなら出国前のおじいちゃんの法事に集まった一族の前で「中国行ってくるわ!」と見栄を切ってしまい、退路を断たった神野青年には失敗の選択肢なかったからだ。


しかも研修開始時間は午前8時。現在7:30。開始時間まで残り時間あと30分。焦る神野青年。ここでの選択が鍼灸師人生を決めると言っても言い過ぎではない。迷っている時間はない。神野青年、ここで目をつぶった。


自分の心に問いかける。「どうするよ?」これこそ2割の陰陽五行の真髄「自分の声を聴く」直感を意図的に引き出す方法が炸裂。幼少から中国の歴史に親しみ、その根に流れる陰陽五行のエッセンスに触れていたのがよかった。


この極限状態で 神野青年の心は一つの答えを出す。それは「どの国でもNo.1が一番強いんちゃう?」というシンプルな答え。そう、本質はいつ、いかなる時、どんな場所でもシンプルなもの。


そうと決まれば「一番に行こう!」「一番がイチバン強いはず!」とダッシュで案内の矢印に従って走った。そして角を曲がって目に飛び込んできた"鍼灸第1室"という扉をバン!と開けて腹の底から声を出した。


「今日からお世話になる日本人研修生、神野洋太です!」


その瞬間、神野青年の中国武者修行、戦いの幕は切って落とされたのだった。

③武者修行初日、更なるピンチが襲いかかる。

▶︎"ウソ"だった事前説明会


やっとのことでNO.1の鍼灸室にたどり着いた神野青年。ここから本当の戦いが始まるんだ!と勢いつけて診察室のドアを開けると、診療前のブリーフィング的に輪になった白衣の人たち7,8人と目が合った。


ここで負けじと「今日からお世話になります研修生です!!」と精一杯の声を出すと真ん中に座っていた明らかに1番偉いであろうオーラ(オラ感)が出ている人がいた。

ずんぐりむっくり、怒り肩、パンチパーマの通称、"マシマシ先生"が輪の中に加われと言わんばかりに「クイッ」と輪の切れ目をアゴで指した。


一附院は創設者のナントカって学長さんが有名な治療法を開発したかなんかで中国全土から鍼灸師(中国ではお医者さん)が集まってくる鍼灸の全国教育センターになっている。


1998年当時の中医鍼灸の外来診療システムは主任医師(責任者)1名を中心に10人以内の勉強しに来た研修医たちが1ユニットとして運営される。まあ、簡単に言うと「お金を払いながら働いてる」感じ。


「あんた日本人かい?」かろうじて聞き取れる方言強め、ダミ声、早口のマシマシ中国語で鋭い眼光を向けてきたマシマシ先生の興味アリ、なにか言いたげ、好奇心のマシマシな視線。

それとは裏腹に、ギラリと自分に集まった研修医たちの視線を肌に感じて一瞬にして悟った。


ここにいるのは全員ライバル。マシマシ先生に教えてもらうためにはまずこのライバルたちをかき分け、押しのけ実力を認めてもらう必要がある。


これから熱い想いを持った仲間たちと優しい先生の下、充実した通訳付きの教育が施される。……わきゃない。

そんなお花畑なことを思い出せるわけもないまま、初日から多くのライバルが中国全土から集まった戦場に掘り込まれた神野青年。


優しい先生、協力し合う仲間、なんなら通訳付き。。。事前説明会でアナウンスされていた恵まれた学習環境。そんなものここには無かった。自分の存在価値と学習環境は自分の腕と度胸で手に入れるしかない


午前診療の事前ブリーフィングの輪の中に突然加わった神野青年。不安と期待の入り混じった面持ちで、夢の中国武者修行の戦列に加わった。


研修1日目。まずはこのライバルたちをねじ伏せて自分の実力を知らしめてやる必要があるな。ああ、世間知らずの22歳の鍼灸学生。

そんな神野青年でも心は日本代表。それくらいはわかる。鍼灸中国武者修行は周りとの戦いからスタートした。


鍼灸研修は基本の病状学習などは各自に任せされているので、先生の施術を見て盗み、不明点を質問していくスタイル。例外的に時間の空いた時に先生の特別レクチャーがある場合はあるが、基本、そのスタイルで進む。


技術の習得には近くで先生の施術を見るのがいいのだが、そのためには先生に鍼を手渡す治療カートを押す役につき、目の前で見るのが一番いい。

研修中はこのカートの人の後ろに研修医たちがぞろぞろついていくので、スタッフ間の序列も一番らしい。


まだ研修期間の浅いと思しき気弱そうなお兄さんスタッフにそれとなく事情を聞くと、どうやら、このカート押しの役目を仰せ付かると治療室スタッフにも一目置かれる"権力者"な存在になれるらしい。ふむふむ。なるほど。まずはこの"カート押し"の役目を狙うことにする。


ベッドの間を鍼を刺して回る先生のあとを治療カートが追いかけて、そのまた後ろを研修医たちが追いかけていくのがこの治療室のあるある風景。多い時で10数名が鈴なりで移動するので患者さんからは「民族大移動」とよく笑われていた。


この民族大移動の列の最後尾、序列の末端の末端から神野青年の武者修行が始まった。目指すは押す人を皆ドヤ顔にするみんなの憧れ、先頭を走るあの治療カート。どうにかしてあのポジションに立って先生の治療を目の前で盗んでやるんだ。


目の前に列なす同僚たちを蹴落としてでもいいから前に行ってやる。こちとら人生かかっとんじゃい。そんな想いで割り振られた雑務をこなしつつ虎視眈々と列の先頭、治療カートを狙っていた。


そこに鍼を刺すために先生登場!「それっ」とばかりに列に突入した。しかし神野青年がみんなを出し抜いて列に突入しようとした時にはもう列は完成していた。


当然、最後尾。そこから無理に追い抜こうものならお尻でブロックされてしまう鉄壁の守備。この全スタッフの猛烈スタートダッシュと並んだ後の強固な防御。


治療カートは、はるか彼方。先生なんて冗談じゃない。


結果、この激烈な列争いに神野青年は初日で計10回以上挑んだが、ことごとく跳ね返され最後の方なんてもう精も根も尽き果てKO寸前に追い込まれてしまった。


当初のヤル気はどこへやら。「これが毎日続くとしたらちょっと厳しいな……」と少し心折りかけられたが、しかし。そこは抜け目ない神野青年。明日につながる希望の光も見出していた。


研修途中から自分の精神的限界を超えフラフラになりながらも気づいたのがことが一つある。そう、ドンケツ神野青年の目の前にいつもいるのは、あの気弱そうなお兄さんスタッフだったのだ。

「この人は簡単に抜けそうやな」まずはこのお兄ちゃんを血祭りにあげてやろう……と早速ターゲットをセット。


入ったばかりの時に自分を助けてくれた恩人とも言えるお兄さんスタッフを踏み台に明日への活力を得ようとニヤニヤする神野青年。

研修初日で人としての道を立派に踏み外そうとした神野狼青年。お天道様は万国共通やね。そんな外道な神野青年を更なる非情がおそった。


1日の終わりのブリーフィングで治療室の全スタッフが集まり先生のお話を承るのだが、その日はお別れ会らしく、輪の中心で先生が……前途を祝して……的なことを言ってるので耳を傾ける。


紹介され一歩前に出たのは今しがた神野青年のターゲットに(勝手に)指名された、あの気弱なお兄さん先生ではないか!


留学生あるあるだが自分の生き死にに関係するような事柄、例えばこんな時の聴く力は体のどこにこんな力しまってあったん?と思うくらいハゲタカが〇肉を見つけるくらいハンパなくあがる。


それによるとお兄さんは今日で研修期間を終え、帰国するらしい。


ん?帰国?中国人じゃなかったのか?何?シンガポール?シンガポール人だったのか?え?半年間ありがとうございました?半年間いて列の一番後ろにしかいけなかったんか?ん?ってことは、それにすら負けてた自分はいったい……


あまりのショックにそれ以降のお兄さんの言葉なんて頭に入るわけもなく、その場に膝から崩れそうになったラオウのように気合で踏んばることしかできなかった。このままじゃ拳を天に突き上げ真っ白になる日もそう遠くはない。


マイナスとプラスでいうと、完全にマイナス。マイナスの中のマイナス。この状態のことを陰中陰(いんちゅうのいん)というのだが、まさに真っ暗の来た道、お先真っ暗、前途真っ暗。最高に真っ暗な真っ暗のマシマシ3段活用。


そこにトドメを刺すようにお兄さんの最後まで小声なスピーチが終わるか終わらないかのうちに、先生のマシマシ中国語が

「じゃ、明日も9時からよろしくね!」

とパラパラと上がったまばらな拍手と神野青年の微かに残っていた希望の火をかき消すように静かな病室に響き渡った。

※コラム・鍼灸研修の1日の流れ※

研修の1日の流れを説明しておくと…


7時…宿舎を出て自転車で出勤。朝ごはんは道端の露店や病院の売店で済ます。
7:30…スタッフ集合、ベットメイク、器具の用意など診療前の準備を整える。
8時…先生ご出勤、その日の対応症状の説明、スタッフ間役割分担の打ち合せ。
9時…診療開始、先生の治療を見学しながら鍼を抜いたり患者家族の誘導
13時…午前の診療終了、さっと後片付け、解散、お昼ご飯
14時…午後診療開始、基本的には午前診療と同じ
17時…診療終了、診療のフィードバック、後片付け、掃除、施錠して解散。


研修医は基本、午前のみ、午後のみ、全日と様々な学び(働き?)方が許されており、基本各自、自分にとって都合のよい学習計画を自分で立てていく。中国人、外国人ともに同じく、お金を払って働くシステムであるのは間違いない。


鍼灸第1室にはベッドが診察用ベッド1台、治療用ベッド8台の計9台あり、4時間の午前診療で7~8回転、午後診療で4~5回転させ、一日約100人ほどを治療していく。


神野青年は1年ほど全日研修に入り、あと3年は午前診療で学びました。なんで1年だけ全日だったかって?又それは時間のある時に。

④陰から陽へ。どん底から這い出てきた時、すごい力が湧いてくる。

▶︎人生のピンチを救ってくれた、炎のメッセージ



「まずい。非常にまずい」


夢にまで見た陰陽五行と鍼灸の本場、中国での武者修行初日。始まった時の高揚感とは裏腹に、終わった時にはどん底まで突き落とされていた。幼い頃から抱いてきた想いもあっけなく、完膚なきまでに叩きのめされた22歳の神野青年。


圧倒的な敗北。人生で初めての屈辱的大敗。身も心もボロボロになりながら、どうやって帰ってきたかもわからないままベッドにうずくまった。


脳裏にあるのは異国の地で自分の無力さをイヤと言うほど思い知らされた覆しようのない現実。「マジでヤバいマジでヤバいマジでヤバい」これしか頭に浮かんでこない。


こういう時こそ冷静になって状況を分析し解決策を導き出す。それが陰陽五行アナリストのウデの見せ所。だが、この時若干20代前半のまだまだヒヨッコの神野青年。絶望の淵から飛び降りたいかのごとくドンドン追い詰められていく。


半年間も列の後ろから遠くで動くマシマシ先生のマシマシな背中を見るしかないのか。あの気弱なお兄ちゃんと同じく半年という砂金のように貴重な時間を無駄に費やしてしまうのか。


そう考えただけで、認めたくないけど涙が目に染みて目を開けられなくなる。


親戚一同の前で「俺は中国に行ってくる!」とミエを切ってしまった以上、そう簡単にも帰れまい。オカンは「引くも勇気よ」と言ってくれていたけれど、ここで負けては一生負け癖がついた負け犬人生確定だ。


「でも、どうしようもない。。。」


神野青年、武者修行初日で完全に暗礁に乗り上げてしまいました。ここで寝れずに一晩悩んでいたらおそらく終わっていただろう。しかし、そこは生まれ持っての性分か、天性の図ぶとさか。


悩みながらも体の疲労が大きかったことが幸いしたのか、いつも以上にぐっすり眠ってしまった神野青年。翌日の朝は自分でも意外なほどスッキリと目が覚めた。


ここで怖気付いてはなんの武者修行や!と言わんばかりに跳ね起き、身支度をささっと整え、必要以上に早い時間に外に出て、自転車にまたがってみた。まだ空もまだ薄暗く少し肌寒い。こんな時は大好きな温かい麺をすすれば何かいいアイデアでも出るだろう。


そんな狙いもあってか朝も白みかけて来た中、いつも朝食を食べるお気に入りの道ばた"ほったて小屋麺"を朝ごはんに食べることにした。


「いつもの一つ」

なじみのオヤジに声をかけ、薄暗い小屋の中のこれまたお気に入りの場所に転がる、お風呂椅子のような小さいプラスチックの椅子をひっくり返して座ると目の前に、シュンシュンと麺茹で鍋を沸かすドラム缶。


「今日はどうするんかな、オレ……」


その中の練炭の炎を遠い目で見つめていると、自分を信じた直感の狙い通りか、狭い古屋の中で練炭を燃やし過ぎて酸素が少なくなったか、ユラユラ揺れる炎の向こうからある声が半分意識が遠のきながら、かすかに耳に滑り込んできた。


「引け。引いて見るんだ、ヨータ👀」


自分か自分の中にいるマスター・ヨータか誰かは知らないが、とにかくそんな声がハッキリと耳元で聞こえた。まさに炎のメッセージ。


「そうだ。あんな猛ダッシュをかまされようがお尻で跳ね返されようが、あの中国人たちだって同じ人間じゃないか。自分だって、ただ日本っていう違う国から来ただけで、同じ人間であることにまちがいはない。何かやりようや手立てはあるはずだ。そうだ。同じ人間なら倒せるはずだ。オレはもっとやれる。もっとやれるんだ……」


「はい、蘭州牛肉麺🍜!!!」


せっかくひとり精神世界でマシマシに盛り上がってたのに。途中で現実の世界にハッと引き戻す、朝も早くから元気な麺屋のオヤジの声。しかし、そのいつも空気を読まない場ちがいに大きいオヤジの声が神野青年を冷静に、かつ現実に引き戻したことは確実だ。


「引こう。今日は1日何もせず観察しよう」


先ほど、炎の向こうから届いた声と自分との不思議な会話をひとりブツブツと反芻しながら、後に仲良くなった中国人研修医全員に「そんなもん食べてたら胃に穴開くから今すぐやめなさい!」と猛反対されることになる"ほったて小屋麺"。

その30年後に日本に逆輸入され、大人気を博すことになる「蘭州拉麺」。

今はまだ無名の、その熱く澄んだスープをムリしてすすった瞬間、今日の一日の舌のヤケドと取るべき作戦がひとり満場一致で決まった。

⑤武者修行2日目、神野青年、亀になる。

▶︎神野青年、陰陽(プラスとマイナス)に目覚める

「おはようございます!」


体はフラフラだが気持ちはヤル気で満ちている。そう、何もしない気マンマンだ。自分に「何ができるか?」と考えていると不安で不安で仕方なくなるが、そんな時は「何もしないぞ!」と決めることをオススメする。

なぜなら不思議と自信と元気で自分が満たされていくからだ。

この時の神野青年がまさにその状態。ブリーフィングで何を言われようが、目の前で猛ダッシュをかまされようが、お尻で壁を作られようが、なーんも気にならない。やることは後ろから見てる、ただそれだけ。泰然自若とはこのことか。


もし何か言われてもわからないフリをすればいい。外国人はそういう時、とっても便利。ニコッとして「🥴」って顔をすれば、額に手を当てて「アイヤー」と言われるだけ。公安(警察)に交通ルール違反で捕まった時もこの技で切り抜けられる。ノロマでグズなダメ外国人をよそおうのだ。


2日目の研修が始まった。


しかし、神野青年は動かない。割り振られた仕事もしない。何もしない。だって、アホでダメな外国人なんだもん。昨日までは恐ろしかった白い目でジロリとにらまれても何も怖くない。心に固く誓った時の日本人の強さを思い知るがよい。


小言を言われようが、白い目で見られようが自分でも驚くくらいビクともせず、ただ後ろからジッと観察する。すると"陰極まれば陽と転ず"とあるように、陰陽(プラスとマイナス)な法則性が生きてることに気づいた。


「なるほど、そういうことか」


午前診療半日が過ぎ、午後診療の途中あたりでなぜ自分が昨日、あんなにコテンパンにのされてしまったか。その理由が朧げながらわかってきた。


どうやら彼らは仕事に熱心ではないらしい。特に先生のいない時のベットメイクやら什器の補充やらの雑務なんて関心はないと言っていい。患者さんに呼ばれても、家族に何か聞かれても一向に動こうとはしない。


彼らが動く時はそう、先生がきた時だけ。正確にいうと先生が来そうな雰囲気が漂い始めた時だけだ。初診の患者さんとその家族でごった返す診察室の向こうのわずかな気の動きを察知して、その気を感じるともうお尻が浮いている。


まさに陰から陽に動く時の振れ幅が大きければ大きいほど、発生する力も大きくなる。まさに陰陽の法則通り。さすがは中国人。もうDNAに陰陽が染み付いていると見える。


鍼の診察時には病気の気配を察知するために対象者の挙動や仕草、彼らがまとう陰と陽の気をジッと観察し感じる"看"という診察術があるのだが、こちらが引き=陰(マイナス)、彼らの動き=陽(プラス)を"看"していたおかげで、いろいろ見えてきた。これもまさに陰(マイナス)と陽(プラス)。


さらに分析を進めると、特に有用な情報が二つ見えてきた。


一つは自分が優れていた点。もう一つは自分が負けていた点。

優れていた点は、通常雑務の真面目さ。通常時でも何でも頑張るのは日本人の勤労の美徳。いつでも100%の力を出そうとする勤勉な日本人ならではの長所だ。これは陰陽でいうと"陰"だ。


そして負けていたのは先生が来た時に出す瞬発力。勝負どころで力をパッと出す能力、いわゆる"要領のよさ"。彼らはその要領のよさがハンパない。日本人が120%出すとしたら、彼らは150%出してくる。これは陰陽(プラスとマイナス)でいう"陽(プラス)"


なぜ彼らが150%の力を出せるかというと、まったく雑務をしてないからだ。彼らは先生に「やっときなさいよ」と言われたことを、ほぼしない。

雑務を極力控えることによって、セコいけど確実に使われるはずのパワーは自然と一瞬の爆発力に回される。それがあの猛烈なダッシュ力と高い防御力を生み出していたのだ。


まとめると何もない陰(マイナス)の普通の時にせっせと働いて力を浪費していて、有事の際に陽(プラス)の力を120%しか出せない自分は、何もない時に力をセーブして陰(マイナス)の気をチャージして、動くべき時に150%超の陽(プラス)の力で動いてくる彼ら。

その差30%。その30%にコテンパンにのされていたということになる。


あえて日本人の言葉でいうところの"ズルさ"みたいなものか。ひょっとしたら今の日本と中国の差はそこにしかないんじゃないか?と思うくらいの要領のよさ、省エネ感覚。

日本人と中国人の民族性に根ざしているとも言える、90年代、日本がコテンパンにやられ、今まさに自分が勝てなかった理由がハッキリとわかった瞬間だった。


「だったら上回ればいい。」


なに、単純なことだ。相手が要領の良さというエコと省エネで攻めてくるのなら、こちらもエコをエゴで上回わればいいだけのこと。

自分を知って相手を知れば百戦必勝。それは孫子の時代から明白なこと、しかもその古事成語はここ中国で生まれたものだ。郷にいれば郷に従え、彼らのやり方でそっくりお返しすればいい。


徹底的な"看"によって、この陰陽(プラスとマイナス)の法則性に目覚めてしまった以上、もう怖いものはない。スーパーマリオでいう"スター"をとった無双状態。

陰陽(プラスとマイナス)わかってスター状態☯️明日、その通りに動くだけだ。昨日の夜とはうって変わってワクワクともつかない、何とも言えない不思議な高揚感で眠りについた。

⑥武者修行3日目、神野青年、ついに逆襲のシャアと化す。

▶︎神野青年、華麗なる一撃



3日目の研修が始まった。彼らは完全に油断している。前日の引きに引いてサボりまくったのがよく効いているようだ。彼らは完全に神野青年のことを何にもわかってないダメ外国人だと思い込んでいる。


1日にして、こちらを見る目が嘲笑、侮りを含んだ眼になっているのがよくわかる。国はちがえど鍼師の世界も職人の世界。学びの場も戦場だ。ライバルは1人でも脱落する方がいい。

「こいつはもう完全アンパイ」少なくとも半年間を棒に振った気弱なシンガポールお兄ちゃんよりも組みしやすいダメ日本人だと思われている。


それでいいさ。逆にそうでなきゃいけない。うけた恩は倍で返し、やられたことは3倍で返す。これ神野家の家訓。そんな目で見れるのも今のうち。見ていてください、お父さん、お母さん。

これからボクはこの人たちに目にモノ見せてやります。心の日本刀をパチパチ鳴らしたい衝動を抑えきれなくて隠したくても隠しきれない。


戦いの幕は開いた。午前診療前のブリーフィングも終わり、各自が持ち場にバラバラと散っていく。落ちこぼれのダメ外国人・神野青年は完全にノーマーク。彼らの視野から完全に消えるのに成功していた。


集中すべきは診察室の向こうの動き。割り振られた仕事なんてお構いなし。ここは動かないのがミソ。静かな診察室がザワつくまさに一瞬の陰(マイナス)から陽(プラス)の気配。ただ陰から陽の動き、その一点に神経を研ぎ澄まし集中する。


陰(マイナス)から陽(プラス)の波の起こり始めを捉える速さこそがスピード。一雫すら動かない静けさから、波のような動きを起こす陰から陽のその振り幅が生み出す力こそがパワー。今はもう、この世を支配する陰陽の法則に身を任せるしかないのだ。


狙うはあの先頭を走る治療カート。もう何回も先生に鍼を手渡すイメージはできている。後はあの取っ手を握るポジションを手に入れるだけ。ここでやらなきゃ後はない。

ドラえもんでいう、のび太がジャイアンを後ろからポカリ!する時、日本史で言うなら本能寺の変の織田信長と明智光秀の奇襲と一緒。沈めるなら一撃で沈めろ。いわゆる背水の陣。失敗はできない。


キタ!それは唐突に起こった。診察室の向こうでわずかに感じた陰から陽の動き。日本人・じんの青年22歳。ホンキの本気を見せるのは今!ここしかない!周りの誰も動いていない!

横目で診察室で起こったわかりやすいザワめきと周りの動きを確かめて踏み出した一歩。それを見て周りのライバルたちも慌てて動き始めるが、全員スローモーションに見える。自分が完全に先手を取った!


何の迷いもなく一目散で治療カートにカットインし、取っ手を掴むと同時に研修のポールポジションを取る。陰から陽へ。最後尾から最前列へ。ドンケツから頂点へ。日陰から日なたへ。完全な下剋上。。。


その迷いのない一連の動きを目の当たりにしたスタッフたちは呆気に取られていた。動くはずのないものが動いた時の恐怖。現れるはずのものが目の前に現れた時の驚き。それは噛むはずのないシーズーに噛みつかれた時の驚愕。


そこにいる誰もが状況が理解できないでいた。自分たちの権力の象徴である治療カートを一昨日来たばかりのダメ外国人が握っているのだから。彼らの目からは侮りや嘲笑は消えて、ただ驚きと唖然とで見開かれているだけだった。


そこにズカズカとずんぐりむっくり、怒り肩、パンチパーマのマシマシ先生が入ってきたわけだが、先生だけが全スタッフが呆気に取られ動きを止めている瞬間に立ち会った。

カートを手にし、背を丸めカッと周囲を威嚇するネコ科動物のような、異国の青年を見た先生だけが、いつもとはちがう光景に「オっ」とちがう目。その次にはニヤッと「アンタ、できるんかい?」というイタズラっ子ぽい眼光を向けてきた。


その眼光に応えるようにじんの青年もできる限りのニヤッを返したが、その瞬間、後ろから"ドガッ"という衝撃を脚に感じた。

結構な痛さで後ろを振り返ると、今まで治療カートを押していた元・頂点1位のおじちゃんスタッフが蹴りをかましてカートの取っ手に手を伸ばしてきていた。


そうだった、そうだった。ここがゴールじゃなくて、ここからがじんの青年のスタートだった。その蹴りと痛みで逆に目が覚めた。感謝。伸ばしてきた手をほぼ反射で払い、体でブロック!!!


これは北京のマクドナルドで編み出した絶対に割り込まれない"注文の呼吸"が役立った。これを知らずに40分以上、注文できなかった北京の王府井のマクドナルド。この呼吸を会得するのにどれだけかかったか。

どれだけ割り込まれても、冨岡義勇の水の呼吸奥義"凪"ばりに鉄壁にガードできる。ありがとう北京のマクドナルド。おじさん、あんたなんかにゃ負けないぜ。こちとら1年以上前からこの日のために準備してるんだい。


その後も彼に後ろからグイグイ押されても体を預けてブロックしたり、後ろから掴まれたら振り払ったり。見事、1回カートを守り抜き、先生の施術のワザを目の前で見ることができた。

こりゃすごい。これが本場のホンモンの技術か。こんないい場所、もう何人たりとも譲ることはできない。。


そう心に誓ったじんの青年、その日1日、完全に彼らの動きを上回り治療カートを手にすることに成功する。


理屈は簡単。やらない時は力は出さない。やるときは180%力を出す。陰(マイナス)にいる時は陰(マイナス)に。陽(プラス)に出たときは陽(プラス)に。ただそれだけ。

単純な理屈。しかもこっちは陰陽の法則を完全に味方につけた。相手が150%でくるなら180%でいけばいい。負ける理由なんてどこにもないし、あるわけがないのだ。


いろんな人に数多の妨害を受けつつも、すべて受け止めブロックしながら事前イメトレ通りに先生に鍼を渡し、お灸を手渡し、治療カート役を見事、一日やり仰せたのだった。

⑦マシマシ先生の思いがけない一言

▶︎全てはここから始まった

1日の終わり、午後診療後のブリーフィングは一種、異様な雰囲気だった。

まちがいなく、自分をよく思っているスタッフはいないだろうことがよくわかるドンヨリかつピリピリとした雰囲気。これが全部自分のしたことの結果だと思うと何だか悪いなぁと思ってしまいそうになる。


いや、そんなことはない。自分は仲良くなりにきたわけじゃないんだ。そうだ、これでいいんだ。これで……と自分の夢の実現と達成のプロセスとのギャップに葛藤して思わず下を向きそうになっていると


「アンタたち、気合足りないんじゃない?」


「怒られるんじゃないか???」そんな雰囲気に下を向きそうになっていたじんの青年も驚いてバッと顔を上げてしまうようなマシマシ先生のマシマシ中国語がドンピリな雰囲気をブチ抜いた。


中国人はメンツを失うことを極端に嫌う。日本でいうみんなの前で恥をかかされることと同じ意味だが、参加3日目の外国人に治療カートを取られる事態に直面したスタッフたち。それだけでも忌むべき事態だが、しかもそれが過去に因縁のある日本人ときたらなおさらだ。


「こんな3日目の新人、しかも日本人がこんな頑張ってんだ、アンタたちまだまだだよ!」


とラピュタのドーラ婆さんか、千と千尋の湯ばあば様かと思うほどのダミ声で繰り出された、まさかの中国人スタッフたちへの叱責。

まさかの展開にこの日2度目の呆気に取られる中国人スタッフたち。今回はもれなくじんの青年も仲間入り。そしてマシマシ先生、呆気に取られるじんの青年に向かって鋭い眼光を放って、また驚きの一言を放つ。


「アンタも油断するんじゃないよ、明日からもがんばるんだよ」


鳩がコルトパイソン357のマグナム弾をくらったようなマシマシ先生からの思いがけない、驚き、喜びのマシマシ中国語でのマシマシ叱咤激励に度肝を抜かれたじんの青年。あの場に出くわした先生の「オっ」からの「ニヤッ」は、たまたま出たのではなく、ぜんぶ、わかっていたモノだったんだ。


周りの呆気に取られた表情とはかけ離れた納得の表情をする元・ダメ外国人を見るマシマシ先生の目はニヤッとしたままだった。このニヤッが弟子を見る愛情だったのに気づくのにはもう半年以上かかる。


このマシマシ先生こそがまだ中途半端だったじんの青年に中医鍼の基礎を叩き込み、2割の皇帝学の存在に道をつけることになる中医鍼師・陰陽五行アナリスト神野洋太の生みの親、のちの鍼灸の師匠、閻莉(イェン・リー)老師、その人だったのである。

心身ともにやり切った充実感と全力をふり絞った疲労感と目標とする師になり得る先生に出会えた期待感を感じながら、情報量マシマシでまたもやフラフラになり、寄り道することなく宿舎にたどり着いた神野青年。


気絶して翌朝になる前に明日の準備をするため白衣を広げた時、背中に2,3靴の裏の跡がついていたのには流石にびっくりした。気づかなかったけど蹴られていたのか?(笑)


背中の傷は武士の勲章。これも頑張った証だと、何か誇らしくもあり、ありがたくもあった。

………。

どうでしたか?じんの青年、修行の日々。

2割の皇帝学では"すべての偶然は必然である"はこの世の法則の一つと教えられるが、後から考えると、事務所から好きなところへ行け!と言われて「No.1がNo.1やろ!」と偶然飛び込んだ鍼灸第一室の主、閻老師に巡り会えたのも偶然を装った必然であったとぼくは信じています。


この出会いは自分にとって"原点"であり"源型"。辛いことがあったらこの日に戻って自分を取り戻すくらい大切な日。まさに皇帝学の力を自分の体で思い知った日です。



この出会いこそが自分が鍼と陰陽五行を志した実際の証となる出来事でした。

じんの青年が45歳になるまで迎えた数多くのピンチを。そしてこれから迎えるであろう(大きくないことを祈る)ピンチを乗り越えていく力を与えてくれることになるのだが、その話は3日3晩じゃ収まらないのでまたの機会に。

■これからやりたいこと

いかがでしたか?じんの少年の陰陽五行との出会い、そしてじんの
青年の中国武者修行の始まり。皆さんにも今のお仕事や活動の原点となる場面や、出来事、想いがあると思います。お会いしたら、ぜひそのお話聞かせてくださいね。


では今までじんの少年、じんの青年と過去の話をしてきたので、これからの未来のお話として、ちょっと野望?いえ、未来のお話をさせて頂きます。ぼくがこれからやりたいことは主に以下の3つです。


✅①本物の皇帝学を広めたい
✅②師匠との約束を果たす
✅③自分の皇帝になってほしい
✅④陰陽五行を学ぶ場と機会を作る


この4つです。

①本物の皇帝学を広めたい

▶︎いいケーキ屋を目指せ



今までのお話でちょいちょい出てきましたが、帝王学(陰陽五行)には2つあります。一つは皇帝など支配者層が統治法として使っていた"皇帝学(2割の陰陽五行)"。もう一つが民衆が四柱推命や風水術などの占いとして使っていた"帝王学(8割の陰陽五行)"の二つ。


今、帝王学や陰陽五行と言われているのは8割の陰陽五行。なぜなら2割の皇帝学(陰陽五行)は統治法として使われていたので歴史の裏に隠されてきたからです。内容の割合で言うと、2割が80%で、8割が20%くらいの分量です。

わかりやすいところで言うとケーキのスポンジとデコレーションの割合です。ケーキで言うと、スポンジが80%、表面のデコレーションが20%くらいでしょうか。いくらデコレーションが綺麗だからと言ってスポンジがなければケーキとして成り立ちません。

流行りですたれるフニャフニャの見栄え重視のデコ店ではなく、長い年月愛されるのは生地のしっかりしっとりした質のいいスポンジを焼けるウデのいい老舗です。


陰陽五行もこれと同じ。見た目が華美で派手な五行メインの8割もよいですが、ぼくが知ってほしいのは、やはり"命の物理学"である陰陽メインの、2割の皇帝学(陰陽五行)の方なんです。

②師匠たちとの約束を果たしたい

▶︎2割を伝える"龍の口"になる

そして忘れていけないのは、ぼくに自分たちの知識と経験を伝えてくれたマシマシ先生はじめ3人の師匠たちとの約束。帰国のまぎわに師匠たちから託された言葉があります。それは「龍の口になりなさい」と言う約束。先人たちから伝わった知恵を伝え続ける人になりなさいという意味です。


2割の世界では、伝える人を"龍"、伝えることを"炎"と例えます。この場合、龍の胴体は先人たち1人1人で作られています。自分が師匠から伝えられたことを自分の経験と知識とそこから抽出した一番搾りのエッセンスを次の世代に伝える。そうすることで自分は伝える龍の口から内に入って龍となる。


それを繰り返していくごとに胴が長くなり、立派な一条の龍になる。伝える人と伝える内容が多ければ多いほど、長ければ長いほど、その学問は立派な龍になる。そんな願いのある言葉です。


思えばぼくの師匠たちも自分たちの師匠たちから伝えられたものに自分のエッセンスを加え、ぼくに託してくれたわけです。その師匠たちもその師匠から、そのまた師匠たちもそのまた師匠たちから受け継いだものにエッセンスを加え次代に伝える。


そして自分たちもまた龍に還っていく……それが私たち2割の皇帝学を伝える者としての使命であり天命だと教えられました。なので私も見事な炎を吹く"龍の口"にならなくちゃいけないんです。

どうか末長くお付き合い頂き、師匠との約束遂行に協力してください。お願いしますm(_ _)m

③自分という国の皇帝になってほしい

▶︎「人の医たるな、国の医たれ」

上医は国を治し、中医は民を治し、下医は人を治す」修行も終わりに差しかかる頃に師匠に授かった言葉です。これはウデのいい鍼使いは人が治せるのは当たり前、あわよくば民衆、いや国をも治せる医者になりなさい。という古代の教え。


この言葉は2割の皇帝学の最重要キーワードの一つ"治"という言葉を端的に表した言葉です。


この"治"という言葉、これからたくさん出てくると思いますが、全部は各自バラバラな流れで出来ている体の生命力、組織の生産性、運気の運勢。そのバラバラな流れを大きな一つの目標に気づかせ、そこに向かって動き出す力の量の総和("流れ"や"勢い")を作り出す行為とされています。


問題となっている"つまり"を見つけ出し、現状を加味し、予後を予測してから調整する場所を絞って適切な手段を講じ組織の持てる力を最大化する。と言うシステム論が"治"と言う言葉の本質。


2割の皇帝学で「自分を知る」ことにより、鍼で自分の中に流れる気や血液、リンパの流れや思考、感情の流れを束にするように。

認識や運気の微細な流れを手繰り寄せ、それを一本の太い流れに束ね直して、自分のポテンシャルを最大化する。それはあたかも自分国という国の皇帝になり、自分の生産性を高めることと同じです。


この2割の皇帝学の知識を学び実践することにより、自分だけの人生を自分のペースで生きていける「自分国・皇帝」になれます。皇帝の道は肯定の道。ぼくは2割の皇帝学・5タイプ才能診断と「自分を知る」を通じて、そんな力強い人が溢れる世界を作っていきたいです。

④ 「5タイプ才能診断・知恵の書(Tips版)」リリース!

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皇帝学・5タイプ才能診断を学ぶ場と機会を作りたい

陰陽五行のセミナーや勉強会を過去に開いて一番よく言われるのは「"2割"の陰陽五行はどこで学べるんですか?」「本屋に言ったらどこのコーナーにおいてますか?」答えは学べないし、置いてません

本屋に置いてない理由、それは明確。

そもそも、人口の8割が使っていた8割。人口の2割が使っていた2割。現代で商品を売るのなら人数の多い8割向けの商品が置かれるはずですし、売れやすい本が置かれます。なので書店に並ぶのは8割の帝王学の本で、2割の皇帝学の本はどこにも並ぶところがないのです。


しかし、ぼくの話を聞いた人はみんな「2割はどこで学べるんですか?」や「いい内容が書いてある皇帝学の本はどこに行ったら買えますか?」と聞きます。

その度に「う〜〜〜ん」と唸ってしまう自分がいたんですが、、、そうか、閃きました!

書けばいいんだ!ぼくが本を書けばいいんだ。そうか、ぼくがひらけばいいんだ!ってことで手始めに2割の皇帝学を学べる本、書きました。

と言うわけで皇帝学・5タイプ才能診断、Tipsでリリースしました!こちらのTips、有料になりますが中身も盛り沢山で濃い内容になります。

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早いといいことあるかも。

■さいごに

最後になってしまいましたが、以上が皇帝学アナリスト・"じんの"の「現在地、どこからやってきて、どこに行くか」の自己紹介でした。このnoteを手に取って頂いたご縁を本当に感謝申し上げます。

これからも"じんの"と皇帝学・5タイプ才能診断と末長くお付き合いくだされば嬉しいです。それではまたお会いするのを楽しみに。

最後までご精読、ありがとうございました。

2022.1.18   5タイプ才能診断/48時間鑑定師・じんの


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