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ペットボトル以外のお茶、最近飲みましたか?

新茶の季節がやってきました。
ペットボトルのお茶も、期間限定で新茶が出回っていますね。

ところで、みなさん、最近急須でいれたお茶、飲みましたか?

私は、パックの茶葉のほうじ茶を、その日飲む分だけやかんで作って、ポットにキープしています。年中そんな感じなんですが、この時期だけはフレッシュな新茶を、急須で淹れて飲みたくなります。

というわけで、新茶を買いに行ってきました。

一保堂さんは、京都二条寺町にある老舗のお茶やさんです。
店構えも風情がありますよね。
御所に献上したお茶が評判で、今から約160年前、時の宮家より「茶、一つを保つように」「一保堂」の屋号を賜ったそうです。

そういう経緯もあり、お茶に対する一途さは筋金入り。

「うちはペットボトルのお茶は売りまへん。」なんだそうです。(って、この店員さんが言ったわけじゃないんですけどね)

「○○衛門」とか、「○鷹」なんかも、京都のお茶やさんとベバレッジ会社とのコラボですよね。「ビッグビジネスやなあ」と思うのですが、一保堂さんはそこには手を出そうとしないんですよね。

ペットボトルだけでなく、抹茶スイーツともきっちり一線を画します。

お店には、喫茶もあるのですが、抹茶パフェだの、抹茶ロールケーキだの、女子受けしそうなものは何一つメニューにないんです。あくまでお茶と和菓子。この潔さには頭が下がります。

で、この喫茶がさらにすごい!お茶を注文すると、こんな風に

ポットと時計まで運ばれて来ます。これ、どゆことかと言うと、自分で淹れるんですよ。お店の人がそばで淹れ方をていねいに教えてくれるので、はじめてでも安心です。やっぱりちゃんと教えてもらうと、自分でもおいしく淹れられます!

この写真は、1煎目のお茶を手前の湯のみに淹れた状態。急須のふたがだらしなく開いてますが、こうすることで、茶葉が蒸れて苦みが出るのを防ぐんです。そうすると、2煎目、3煎目までおいしく飲めます。で、向こうの3つの湯のみは、湯ざまし用。4人で行ったわけじゃないんですよ。これで1人分です。

こうやって教えてもらうと、家でも自分で淹れられますよね。そういうところを目指してるのが、一保堂さんなんです。つまり、日本人がお茶を淹れる文化を保つ、ってことですよね。

隣の席に、外国人観光客がいらして、私にレクチャーしてくれた店員さんが、英語で彼らにレクチャーしていました。海外の人達に日本の文化を知ってもらえるのは、嬉しいことですね。

でも、今の日本で、どれだけの人が急須でお茶を淹れているでしょう?
そんなの面倒?時間がない?淹れ方がわからない?ペットボトルで十分?

手放してしまえば、あっという間に文化は廃れてしまいます。でも、単に「古いものを守りましょう」と言っているだけでは、結局は便利なものが生き残るだけなんですよね。

一保堂さんの心意気に触れるたびに、英語を教えている身として、日本の文化や暮らしの中に息づく日本人のアイデンティティーを大切にしなくちゃいけないなと、身の引き締まる思いがします。一見、面倒だったり、時間がかかったりする中に、大切なものがある。それに気がつくことが大事なのかな、と思っています。

ちなみに、一保堂さんでは、喫茶のほか、毎月「お茶の淹れ方教室」が開催されています。私も数年前に参加しました。お茶って、知ってるようで知らないことがいっぱいで、楽しかったですよ。なにより、びっくりするくらい美味しいですから、ホント。
 一保堂茶舗(京都の本店のほか、東京丸の内にも路面店があります。)


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