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シンガポールから東京へ

長年住んでいたシンガポールから日本に帰国しました。シンガポールに住み始めたのは1997年。2007年に香港に転勤し、2011年に東京、そして2016年に再びシンガポールに戻る。シンガポールには合計で16年弱住んでいたことになります。コロナ禍になってから一度だけ帰国したのですが、今回は一年ぶりの渡航となりました。

オミクロン株の感染拡大を防ぐため、水際対策が強化されたさ中でした。一時、日本に到着するすべての国際線に関しての予約受付が停止されたりしましたが、すぐに撤回されるということもありました。

2021年12月2日の夜のシンガポール発羽田行きのANA便に搭乗。チェックインには、72時間以内のPCR検査の陰性証明が必要だったので、11月30日の午後2時半に検査を受け、翌日中に陰性証明の書類を入手していました。

シンガポールではかなり前から3回目の接種が始まっていて、私も10月に3回目の接種を受けていました。3回目までのワクチン接種証明書も出力して持っていましたが、今回の渡航ではこれが必要となることはありませんでした。

飛行機に乗るまでは、特に変わったことはありませんでしたが、チャンギ空港内の免税店やお店がかなり開いているのを見て、オミクロン株の脅威はあるものの、コロナ収束に向けての動きを感じたものでした。

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ANA便に乗る時に、搭乗者全員に30周年の記念品が配られました。シンガポール羽田就航30周年なのか、正確にはよくわからなかったのですが、偶然この記念日に飛行機に乗れたことが嬉しく思えました。

機内で、通常の税関の書類以外に、誓約書などいくつかの書類が配られました。書類は典型的な法律文書の書き方で、読んで意味を理解するだけで頭が痛くなりそうでした。

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しかもレイアウトが美しくない。内容がわかりにくい上に、読みにくい。機内では読みたくない種類の文書でした。

誓約書は、いきなり注意義務を怠った場合の警告が列挙してあります。どんなことを守らないといけないのかわからないうちに、これから言うことを守らなかった場合は、処罰を受ける可能性があるということがいくつか書かれています。何か脅迫されているような嫌な気分になりました。

表現が難しくわかりにくい上に、一行の行幅が長すぎる。行間が詰まっていて、読み手に優しくないレイアウトです。さらに無駄にアンダーラインを使っていたりして、さらに読みにくい。急に小さな文字で書いてある箇所があり、老眼の人はルーペを使わずには読めないだろうと思える箇所もあります。

さらに、名前や、パスポート番号、メールアドレスなどを書き入れる欄が小さすぎて、記入するのにとても苦労します。お役所の書類は、こういう書き手の立場を無視したものが多くて、悲しくなります。日本の工芸技術や、建築美術はこんなにも美しいのに、どうして公式文書では様式美や機能美が無視されるのかと泣きたくなりました。

誓約書は詳細を確認したい方は、オンラインでこちらで閲覧できます。
https://www.mhlw.go.jp/content/000836303.pdf

こういうのこそ、デジタル化してペーパーレス化してほしいものです。それ以前に、文章は簡潔に、わかりやすく、読みやすく改善してほしいですね。

これら書類に加えて、日本入国前に、「新型コロナウィルス感染症対策質問票回答受付」という厚生労働省のサイトで、質問に答えておく必要もあります。
https://arqs-qa.followup.mhlw.go.jp/#/
到着日、便名、座席番号、氏名、国籍、性別、生年月日、日本の住所、過去14日間の滞在地域(国)、過去14日間の発熱や咳の状況、体調の異常の有無、到着後14日間の待機場所、公共交通機関以外の移動方法を確保しているかどうか、メールアドレス、電話番号などこれらすべてを入力を完了すると、QRコードが発行されます。これのスクリーンショットを撮ってスマホ内に保存しておく必要があります。

空港到着後のわりと最初のチェックポイントで、このQRコードの提示を求められますが、これを行なっていなかった人たちは、その場で、このサイトにアクセスし、回答を入力しなければならないのですが、結構時間がかかり面倒です。

後で考えてみたら、このオンラインで入力した情報があれば、書類で同じような情報を書き込む必要もないのではないかと思いました。誓約書などに書き込む項目は、このオンラインで入力する項目とほとんどだぶっています。この情報を活用したら、もっとスムーズに入国者の管理ができるはずです。

到着前にやっておいたほうがよいのは、MySOS(入国者健康居所確認アプリ)というアプリと、接触確認アプリ(COCOA))の二つのダウンロードです。到着後にやってもよいのですが、ダウンロードしてパスポート番号、生年月日などを入力しておくと到着してからが楽です。これらは、14日の隔離中の管理で使用されるものですが、これがきちんとスマホに入っているかどうか、すぐに使える状態になっているかどうかをチェックされます。(COCOAのほうはよくわかりませんが、MySOSは14日間の隔離期間、ほぼ毎日お世話になるアプリとなります。

到着した羽田は雲ひとつない晴天で、昇ったばかりの朝日が眩しく、これから始まる日本での新たな生活を歓迎してくれているかのように思えました。前日までいたシンガポールの風景を思い出して感傷に浸っている間もなく、日本の現実が私たちを待ち構えていました。

所々に立っている係員の案内に従って、乗客は進んでいきます。いくつもの関門をクリアーしていかないといけません。書類がそろっているかをチェックする関門、QRコードがダウンロードできているかをチェックする関門、アプリがダウンロードできているかどうかをチェックする関門、などいくつかの関門がありました。

それぞれの関門で十数人のスタッフが待機していて、滞りなく乗客をさばいていこうとしている感じです。先月、「イカゲーム」を見たのですが、この入国のプロセスは、命を失う恐れはないものの、ゲームで次々とステージをクリアーしていくような感じがしました。「イカゲーム」では、次のゲームに向かうのに階段を登るシーンがありますが、次のチェックポイントに向かう自分を、その階段を登っているシーンに当てはめたりしていました。

クライマックスは唾液での感染検査です。小さな漏斗と、唾液を溜める容器を渡されて、選挙の投票所の記入ブースのようなブースで、唾液を出さなければいけないのですが、それぞれのブースの壁面に、レモンや梅干しの写真が貼ってありました。この作業は、まさに「イカゲーム」的な雰囲気でした。

この唾液が検査に回され、検査で陰性者だった場合、待合スペースの電光掲示板に番号が掲示されることになります。自分の番号を確認して、カウンターに向かい、ここですべての関門をクリアーしたことになります。やっと入国審査です。

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入国審査や税関審査は従来通りのもので、そこを出ると、普通の日常の羽田空港でした。公共交通機関は使ってはいけないということで、ハイヤーを手配していたのですが、そこから先の行動は誰もチェックしていなかったので、ちょっと拍子抜けした感じでした。

入国審査までのあの異常なまでの水際対策は、税関を通過した後は全くなくなってしまっている。どうせなら、本当に公共交通機関を使わないかどうか最後までチェックしてほしいものだと思ったりしました。

その後、自宅で14日間になったら、MySOSのアプリで、1日に何度か現在地確認のボタンを押したり、ビデオ通話で自分の顔と背景を撮影しなければならなくなりました。AIが管理しているらしいですが、結構これは厳しいですね。

自分が隔離場所と指定した場所にいなかったり、アプリに反応しなかった場合、どのようなことになるのかわかりませんが、一回だけ対応できませんでした。アプリからの連絡がいつ来るかわからないですし、現地確認の音は聞き逃しそうな小さな音だし、すぐに出ないと受付てもらえないので、これは結構大変です。これも「イカゲーム」のゲームの一つのような気がしてしまいます。命を失うことはないですが、負けたくはないので、アプリからの指示を聞き逃さないようにしたいと思います。

ということで、まだ日本での生活は始まっているのかいないのかよくわからない状況です。ちょっと前までいたシンガポールの記憶がまだ鮮明に残っていますが、これからの新たな生活、頑張っていきたいと思います。

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