ワインへの憧憬

入社以来、自宅で酒を飲むことは殆ど無かったが、元々ワインに対しては洒落たものというイメージを抱いていた。元々絵画(特にシュルレアリスム)や宝石など美しいものが好きで、ワインも当時は良く分からなかい代物だったが、自分の中ではこれらと同列に位置していた。

具体的にワインに憧れを抱いた最初の記憶は、アニメ「ルパン三世」の1コマである。ルパンがアジトでビスケットを肴に赤ワインを飲むシーン、高校時代のことだったと思うが、ワインという未知の飲み物にいやがうえにも期待が高まったことをよく覚えている。

ただし、その後ワインに対する評価はサークル時代に飲んだワインを元に間違った方向に修正された。白ワインに関しては、1、2度ドイツの甘口ワインを飲む機会があり、美味しいものもあると訂正されていたが、赤ワインは見た目は美しいが渋いだけのものとなっていた。

今にして思うと、サークル時代の記憶と共に、赤ワインに対する耐性が無かったことも赤ワインが不味いと感じた理由であると思っている。ここでいう耐性とは赤ワインの苦み、渋みに対するものである。

2018年私はニュージーランドでワイン醸造を学んでいたが、同期の半分はワインをあまり知らないでプログラムに参加した人たちだった。特に女子生徒だが、中には最後まで赤ワインの渋みに慣れることがなかった人もいたくらいだ。赤ワインは何を飲んでも渋いと言っていた。ワインを本格的に学んだ生徒でもそうなのだから、一般の人が赤ワインに慣れるのはそれなりに時間が掛かることなのかもしれない。

しかし、私の場合は思いがけず”救いの手”が差し伸べられたことで、赤ワインの壁を乗り越えることができた。

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