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バーチャルウォーターとワイン

先日、NHKスペシャル 2030 未来への分岐点 (2)「飽食の悪夢」という番組で、日本で南アフリカのワインを購入した場合、そのワインを1本製造・輸送するのにワイン10本以上の仮想水=バーチャルウォーターが必要とのことだった。
ここ数年、南アフリカでは干ばつが続いており、スラム街の人は1日あたりバケツ2杯の水しか使えないなか、ワインメーカーの責任者らしき人が「我々の貯め池の水は、我々が使う権利がある」といったコメントしており、海外ワインを飲むことが「飽食」の1例として紹介されていた。

それ以来、ワイナリーの取組やラベルが(さらに)気になるようになった。

海外の環境配慮ワイン

先日、スーパーで偶然、コンチャイトロのスパークリングワインに「CO2」マークがあるのが気になって買ってみた。(最初の写真の左側)

■コンチャ・イ・トロ サンライズ スパークリング

生産地はチリのセントラル・ヴァレー、輸入者はメルシャン。
ホームページを検索してみると、「環境にやさしいワイン」との記載。

2007年以来、サンライズは持続可能な開発目標の一環として、製造プロセス中に発生する二酸化炭素(CO2)レベルの測定に取り組んで来ました。
そして2014年サンライズは世界初の100%カーボンニュートラルブランドとして認定されました。

また、FSC認証(責任ある森林管理マーク)や、水資源の削減(水資源の工業使用平均数値より40%削減)にも取り組んでいるとのことで、水や森林に配慮したワインのよう。
日本では、チリワインは安価なイメージが強いが、近年はイメージの改善に取り組んでいると聞く。安さだけではない、選ばれる理由の1つとして「環境にやさしいワイン」もありだと思う。

■ラブロック オレンジ ソーヴィニヨン・ブラン2019

次は、先月に購入したニュージーランドワイン。(最初の写真の右側)
ラベル横に「Bio gro認証」と「ヴィーガン」ワインのシールがあったので、改めて「Bio gro認証」を調べてみた。

・1983年から、ニュージーランドや太平洋地域で、ワインや果実、家畜や乳製品などのオーガニック認証を行っている。
・認証にあたっては、書類審査のほか、農場、梱包施設、倉庫、店舗、製造工程がオーガニック基準と要件を満たしているかどうか立ち入り検査が行われ、3年連続で審査に合格して、4年目に正式認定となる。正式認定を受けた後も、毎年厳しい査察を義務付けられ、それをクリアし続けることでBioGroマークを表示することができる。
・オーガニック認証を受けるに際し、様々なチェックポイントがあり、BioGroではトレーサビリティ、動物福祉、気候変動への配慮、生物多様性の尊重、包装、労働者への配慮、健康と福祉、広告を最重要視している。
(Bio gro認証、ポノ・カイ ニュージーランドのサイトより)

知らなかった。ただ有機栽培をしているだけじゃないんだ。
Bio gro認証サイトには、認証商品のリストがあり、「Love Block」のワインもちゃんと掲載されていた。

欧米などではオーガニック商品が当たり前になっており、取組が広がっているとのこと。
私も、10年ほど前、オーガニックワインを選ぼうとした頃があったが、独特の臭いがあったりして、結局、オーガニックワインを積極的には選ばなくなっていた。
最近は、Bioワイン、オーガニックワインなど、環境に配慮していることをうたっているワインが美味しくなってきていると思う。
「ラブロック オレンジ ソーヴィニヨン・ブラン2019」も美味しいワインだった。

日本ワインの取組

日本国内では、有機栽培・オーガニック商品の扱いが少なく、「Bioワイン」の認証もない。
認証がなくても、環境に配慮した栽培方法をとっているワイナリーはある。

・野生酵母で昔ながらの製法=モンガク谷ワイナリー(北海道)
・化学合成農薬や化学肥料、除草剤を用いない(代わりに羊を放牧)
=酒井ワイナリー(山形県)
・月齢に合わせた収穫と醸造=ドメーヌ・ヒデ(山梨県)

このような取り組みをしているワイナリーを探すには、それぞれのサイトやメディアの情報をチェックする必要がある。
ただ、ファッションとしての「サスティナブル」ではなく、環境に配慮するのは当たり前、信条としてやっているだけだから、敢えてサイトなどに詳しく書かないところもあると聞く。

先ほどのNHKスペシャルでは、このままいくと、2030年に食料危機がやってくるという。人口が増え続けるなか、環境が破壊され水が不足し、食糧がとれなくなると、各国が輸出を規制して、日本では食品が不足・高騰し満足に食事がとれなくなるという。かなり危機感をあおるメッセージ性の強い番組だった。

今後、食品ロスを少なくする、地球環境に負担が少ない食品を選ぶことは、更に心がけて行動していきたい。
少なくとも、フードマイレージという点では、ワインのなかでも「日本ワイン」を選ぶのは、若干は環境に配慮することになるのだろうが、ワイン自体はあくまでも嗜好品。10年後、ワインや日本酒などの食文化が脅かされるようなことには、ならないでほしい。

*今回のテーマは、いつもと文体を変えて書いてみました。お読みいただきありがとうございました。

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