俺はなぜ、ステージに立ちたかったのか?①

俺はなぜこの話を書きたいのだろうか?
→時が経ったからだと思う。今書かないと、そのうち忘れそうだ。
これは、今月で使用期限の切れる割引券を見つけて、早く使わなきゃもったいないと思うのに似ている…わけでもないか。

俺は20才くらいの頃から、月に一度ほどライブハウスに通うようになった。
で、いつもライブを見た帰り道、爆発しそうになった。
「俺は客じゃない!本当はステージに立っている側の人間なんだ!チクショー!チクショー!」
ライブ帰り、一人運転する車の中で叫びまくっていた。

じゃ、ライブすりゃいいじゃん。→できんかった。
俺は音楽の専門学校のヴォーカル科に通い、何度かバンドを組んだ。しかし、練習しているうちにバンドは瓦解し、ライブまで行けない。俺が出たのは、生徒なら出られる専門学校のライブだけだった。

じゃ、ライブに出てどうだったのか?→お地蔵さんになった。
おかしい。俺はいつもライブを見に行った帰り道、学校の帰り道、ステージ上でトークでお客さんを沸かせまくっている自分を想像していた。想像の俺は、大槻ケンヂさんだった。
筋肉少女帯のCDを聞いて、筋少のライブビデオを見て、オーケンの本を読んで、オーケンのライブを見に行った。その頃、筋少は活動を休止していたから。
それなのに、ステージ上の俺は固まって動けなかった。ステージに上がりさえすれば、自動で天から言葉が降ってきて、俺のマシンガントークが炸裂すると思っていた。
実際は、一言も喋れなかった。

だから、ステージから気持ちが離れた。何とかライブをしようとバンドを組んでもうまくいかんし、もしライブまで行けても、またお地蔵さんになるだけさ。
自分への失望。



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