俺はなぜ、ステージに立ちたかったのか?②

時は経ち、30才くらいの頃、俺はダンサーになりステージに立つようになった。人生は何が起こるのかわからない。現実はいつも想像の斜め上からやってくる。気を付けろ!

俺は友達が入っているダンスグループのイベントを、ちょくちょく見に行っていた。そしたらある日、友達に言われた。
「そんなにダンスが好きなら出てみる?リーダーを紹介しようか?」
しばらくして俺はそのグループに入り、ステージに立つようになった。

さて、ステージに立つようになった俺は、何を思ったのか?

俺はダンスグループに入る前、上京して声優の養成所に通っていた。ある日先生が、こんなことを言った。
「ギャラ以上のことをしなければ、二度とその現場には呼んでもらえない」
その言葉は、俺の耳にこびりついた。
バイトをしている時、いつもその言葉がフラッシュバックした。せっかく雇ってもらもらっているのだから、給料以上の働きをしたいものだ。
しかし、俺はバイトをやりたくて東京に来たわけではない。今は下積みで、仕方なくバイトをしているだけなんだ。イヤイヤバイトをしていたのでやる気が出ず、毎日が辛かった。

俺は養成所に2年通ったが、事務所に所属できなかった。このまま3年4年と養成所に通うのは嫌だった。自分で何とかできないだろうかと、養成所を辞めて舞台に出たが、どうもならんかった。
友達に声を掛けられたのは、そんな時だった。

そして、ダンサーとしてステージに立つようになって、心掛けたことはいつも同じだった。
「チケット代以上のパフォーマンスをしたい」
そしたら、俺は気付いた。これは、俺のやりたいことじゃないぞ!
たとえば雑誌なんかで、おいしそうなラーメン屋を見つけて、実際に行って食べてみたら、何か思ってたんと違うな。人生はいつもそうだ。やってみないとわからないんだ。






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