見出し画像

リリコン初体験その2・ちょっとだけ音づくり

前回から続く)・・・というわけで音程キープの難しさに悩みつつもLyricon Driver + SEMの魅力にハマリ始めたところで、次はSEMの音色づくりをしてみようというお話。

 SEMの音づくり≒アナログシンセの音づくりと言って間違ってはいないと思います。アナログシンセの音づくりとSEMそのものの説明は他のサイトに譲りますがウインドシンセサイザーとしての音づくりは鍵盤型シンセサイザーとは違うところがあるとは思っていまして、鍵盤で弾くアナログシンセサイザーの場合の音づくりは思い切りざっくり言えば、

 ①VCOで波形(元音色)を決めて
 ②VCFでフィルターとレゾナンスで音色の明るさ等を決めて、
 ③LFOやエンベローブ(ENV)を使って音色に経時変化をつけたりさらに音色を変えたりしたりして、
 ④VCAで音量を決めて出力。

というのが基本かと思いますが、ウインドシンセサイザーの場合は③のLFO、ENVの役割を
  ウインド=息=ブレスセンサーの出力、と
  ベンド=リリコンの場合はリップベンドセンサーの出力、
が担う、というのが基本であろうかと思っております。
例えばLFOで周期的にフィルターを開閉して音色を変えるかわりに息の強弱でフィルターを開閉して音色を変えてビブラートをかける、ENVのADSRも全て息でコントロールして表現する、と。LFOの深さ・周期、ADSRのパラメータ全てを、演奏者が息とリップでコントロールして、フレーズのひとつひとつの音に異なるパラメータで表現して演奏できる、というところがウインドシンセの醍醐味かなと思うわけです(息とともに人ができないようなコントロールをLFOやENVで併用して独自の音色表現をすることはもちろんアリと思ってますが)。

これを前提にすれば最初の一歩としては前回記事のように
  wind2(息) → VCA CNTL
  wind1 (息)→ VCF EXTMOD IN
  bend down(ノート+リップベンド) → VCO1のCV1 IN
でLyricon DriverとSEMを接続して、VCO1でSAW波なりPULSE波なりを出し、ブレスでフィルターの開閉と音量をコントロールするように設定するだけで、あとは演奏者が一音一音その曲とフレーズに適した息・リップで音色に変化をつければ、充分変化と抑揚に富んだ演奏ができるわけです。個人的にはSEMは単純なSAW波そのもの音色が良くフィルター開閉時の音色変化やレゾナンスの聴き具合も何というか本当に心地よいので、この1VCO、100% SAW波、ちょっとだけレゾナンスをかけつつ、ブレスでフィルター開閉というセッティングが最も気持ちよくどんな曲にもマッチする最高の音色だと思うのですが(前回の記事の演奏の音色)、それはそれとしてもう少し、息で音色に変化がつくセッティングも試して見ようということで、ウインドシンセでは良く使われる手法、オシレーターシンクで息でクヮクヮ言わせてみよう、の設定であります。
 設定としては次の写真の通り。

画像2

 青い▲をつけたところが要設定なところ(なおLFOとENVはどこにもつながっていないので無効状態)
パラメーターとして書き出すと(数値はおおよそ)
VCO1= 30%Pulse(PW55%), MOD(Bend Up to PW70%)
VCO2 = 100%Pulse(PW45%), MOD(Breath to Freq100%), SYNC=ON
VCF = LP, Freq(0%), MOD(Breath to MOD, 90%), Resonance(35%)

 一番音色変化に効くところはVCO2の設定で、VCO2のFREQを息で変える=息最弱〜最強で6度くらい音程が上がるようにしつつ、SYNC=ONにすると、VCO2のFREQが変わるはずなのにVCOの音程に強制的に合わせられるというこから息を入れると「クヮ—」と音色が変わるようになります。この、息でVCO2の音程を変えつつVCO1にSYNCさせる「オシレーターシンク」はウインドシンセの設定では良く使う方法かなと思います。有名なマイケルブレッカーの"IN A SENTIMENTAL MOOD"の演奏もこのオシレーターシンクの音色ですね。

 それから前述の写真のSEMの設定では、追加的にVCO1の設定として、ベンドをかけるとPWが変わって音色も少しかわるようにも設定して、控えめにVCO2に重ねてます(メインはVCO2)。ベンドでビブラートをかけてリバーブを通すと、単に音程を変えてビブラートをかけたときよりも良い感じになります。
 VCFはレゾナンスを少し上げて、フィルターはブレスでゼロから開ききらないあたりになるように設定。この設定でリバーブを少しかけたのがこちらの演奏。クヮーーという音色変化で、もの悲しさを表現したいなと思いましたが、どうでしょう???

 あと、ところどころサックスのグロウル奏法を使ってます。軽く唸っているだけなんですが感度良く反応してます。この設定の効果でもありますね。

 息でフィルター開閉以外の音色変化もさせながら演奏できるというお話でございました。

リリコンのお話、さらに次回に続く・・・


【補足】
先の設定の写真でLyriconのwind1の出力先が2つあるのですがたまたま持っていたBelkinのヘッドホンスプリッターで2つに分岐して使用しました。特に問題無いみたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?