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「エネルギー貯蔵庫」は意外な場所に!

ただのアブラの固まりに思える脂肪。

お腹まわり、二の腕あたりの脂肪が気になる方は結構多い。
そのもとは「脂肪」。
でも、実は「脂肪細胞」と呼ばれる生きた細胞が無数に集まったもの。

この脂肪細胞は、「エネルギー貯蔵庫」とも呼ばれ、食事からとった糖やアブラを中性脂肪として蓄える「油滴」と呼ばれる貯蔵袋を持っている。

そして、この脂肪細胞には驚くべき機能をいくつも持っている。
その一つはメッセンジャー。

脂肪細胞は全身に向けて….
さまざまな“メッセージ”を伝える物質=「メッセージ物質」を放出していることが分かっている。
しかもそのメッセージは、脳の働きにまで影響を与えていることがわかってきた。

例えば、健康な人の体内では、脂肪細胞に中性脂肪が蓄えられるにつれて、
「レプチン」と呼ばれるメッセージ物質が放出される。
この物質は、いわば「エネルギーは十分たまっているよ!」という、脂肪細胞からのメッセージを伝える働きをします。
放出されたレプチンは、血液の流れに乗って、脳の中心部にある視床下部というところに到達し、そこの神経細胞の表面に並んだアンテナのような“受容体”と呼ばれる装置で受け取られる。
すると、脳は「もう食べなくていい」と判断し、食欲を抑える指令を伝えるのです。こうして、レプチンの働きによって、私たちの食欲は適切にコントロールされている。

ところが、体に脂肪細胞がない「脂肪萎縮症の人」は、脂肪細胞が出すレプチンがない。そのため、たとえ身体を維持するのに十分なエネルギーをとっていても、脳が「エネルギーは十分」と認識できず、食欲が止まらなってしまう。

一方、筋肉の細胞も、さまざまな「メッセージ物質」を放出していることが分かってきている。
最初に発見されたのは、「ミオスタチン」というメッセージ物質。
筋肉は、必要以上に増えすぎると、体のエネルギーを浪費してしまいます。
そこで筋肉には、周囲の筋肉の細胞に向けてミオスタチンを放出し、「成長するな」というメッセージを伝える仕組みがあります。
いくらトレーニングをしても際限なく筋肉が増えたりしないのは、ミオスタチンの作用によるものだったのです。

身体の中の細胞の働きには、まだまだわかっていないことが多い。
だけど、必要に応じて、それぞれがメッセージを送ったり、受け取ったりしながら、僕らの身体を支えてくれる。

今度は僕らが、自分の細胞の一つひとつの声に耳を傾ける番だ!


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