■逆さまの世界 2024/8/23

「とある時空の物語」より

■逆さまの世界 2024/8/23
遥か彼方の星に、かつて「黄金の都」と呼ばれる場所が存在しました。
その名の通り、黄金の都は金色に輝き、豪華絢爛な建物が立ち並んでいました。
しかし、その輝きは都の一部にしか届いていませんでした。

都の中心部には「黄金の塔」と呼ばれる巨大な建造物がそびえ立っていました。
その最上階には世界の富の半分以上を独占する「黄金の一族」が住んでいました。
彼らは贅沢の限りを尽くし、毎日が宴会のような生活を送っていました。

黄金の一族は自分たちの生活が永遠に続くと信じていました。彼らは金で覆われたベッドで眠り、ダイヤモンドの食器で食事をし、プラチナで作られた風呂に浸かり、想像を絶する贅沢な日々を過ごし傲慢に振る舞っていました。

一方、都の外れには「影の谷」と呼ばれる場所がありました。
そこには黄金の一族の富によって搾取された人々が暮らしていました。
彼らは日々の糧にも事欠く生活を強いられていました。

しかし、この世界のバランスは、いつまでも続くものではありませんでした。

ある日、突然、世界が揺れ動きました。
まるで巨大な手が星全体をひっくり返したかのように世界の上下が逆転したのです。

黄金の塔は、まるでピラミッドが逆さまになったかのように頂点を地面に突き刺すように倒れました。
黄金の一族は塔の最下層に閉じ込められてしまいました。

世界が逆転したことで黄金の一族は突如として世界の全てを背負う立場になりました。
彼らは、かつての影の谷の住人たちのために働き奉仕することを余儀なくされたのです。

まるで神話に登場する巨人アトラスのように、彼らは世界の重みを永遠に背負い続けることになりました。
かつての贅沢な生活は夢のようで、今や彼らの日々は重労働の奉仕で満ちています。

黄金の一族は自分たちの行いのツケを支払う時が来たことを悟りました。
彼らは富の偏在がいかに危険で不安定なものであるかを、終わることのない永遠の労苦によって身をもって学んだのです。

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