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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/S4_7「マスター・オブ・パペッツ」 (中)

こんばんは、AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。 

一気に暑くなりましたね!住まいが東北の海側なので比較的楽な環境ですが、それでも昼間はエアコンを弱くつけたりします。野菜がおいしくなってきました。トマトと卵の素麺が最強!

前回の感想はこちら。

【前提】望月のニンジャスレイヤー知識

・書籍第一部を3巻まで(中断)
 →6年経過(ほとんど内容を忘れる)
 →『スズメバチの黄色』読了
 →AoMシーズン1〜3読了+後、PLUS加入
 →AoMシーズン4実況+旧三部物理書籍2巻(今ここ)

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

シーズン4:「マスター・オブ・パペッツ」(中)

カタナ・オブ・リバプール社の美少年狩人マークスリー。彼は偵察に訪れたピザタキで、あろうことかコトブキに一目惚れしてしまう。ニンジャスレイヤーが睨みをきかせる店内で、誘われるがままにピザをほおばり、メロンソーダを飲み、宴会の雰囲気に呑まれ……ハッと目覚めれば……朝……!

 ♯4

マークスリーちゃん……。

キタノの薄汚れたストリートでは、よく肥ったバイオドブネズミが投棄ゴミに群がり、それらを狙うバイオスズメが電線に群がって、チュンチュンと鳴き声を発していた。

一瞬読み流しかけて踏みとどまった。スズメはネズミを狙わないよ!? 

ニンジャスレイヤーはカウンター席で腕組みして座り、マークスリーを見ていた。

寝ないで見張りしていたと思われるマスラダにウフフフフ…と変な笑いが出てしまいました。寝ている間にすべてを失ったりするだなんて、万が一にもそんなことが起きたら自分で自分が許せないですもんねマスラダは……でも、だからってコトブキやタキやザックに「アイツを追い出せ」と命令したりはしないところが、己の意志を他人に決めつけられるのが大嫌いなマスラダ・カイの真骨頂って感じで良いです。(なおこんな冷静?な感想を書いている一方で、ええいカッコつけるな! 無様に酔っぱらったところを見せんかい! という気持ちもすごくあります)

「ピザタキは無視して構いません。低俗で、恥ずべき、卑しきネオサイタマ市民の吹き溜まりに過ぎない」『それはまあ畢竟ピザ屋に過ぎぬからな! クキキ!』ギャラルホルンが笑った。

嘘だッ!!(背景に雛見沢村)

ギャラルホルンもといケイトーさん、マスラダくんのローカルコトダマ空間でピザタキ見てるじゃないですかー!

「どうにかせよ! ここはオヌシのローカルコトダマだ! オヌシが制するのだ!」「黙れ!」マスラダは吼えた。「当たり前だ!」彼はボーを掴み、引き離そうとする。クローザーが笑みを更に深める。ピザタキの店内で二者はせめぎ合う! (S2第6話【カウンシル・フジミ】♯7より)
※クローザー=ケイトーの偽名のひとつ

マスラダくんにとってかけがえのない大切な場所(=弱点)だって知ってるくせに何が「畢竟ピザ屋に過ぎぬ」だよ……わかってるくせにコイツコイツ……!

絶対何か企んでますよね。バトラーさんの「既に布陣は敷いてある」というセリフも意味深です。マーくんの勝利と同時にロンドンに攻め入る布陣を……という意味ならいいのですが、マークスリーが「己自身に克ち、CEO陛下に愛を捧げる」ための試練として、決闘中にピザタキを襲い、マークスリーの行動を審査する……みたいなことやりそうなので怖いんですよね…。

◇◇

 ♯5

朝の公園でカラテ鍛錬に勤しむコトブキ。彼女の前に、意を決した表情で現れたのは、狩人マークスリーであった。

彼女には自我があり、ニンジャスレイヤーの言葉通りに動くオイランドロイドではないのだ。襲いくる狩人、そしてカリュドーンの儀式に対し、まだ彼女自身が見定めきれていない事が沢山あるのだった。

コトブキちゃんも色々考えているんだなあ。

こんな印象。

マスラダはとにかく「ナメた真似をされたから殺す」モード(ヤクザか?)なわけですが、コトブキちゃん自身はそこまでマスラダと己を同一視していないんですね……ふむ。

思い返せば、シーズン1の復讐鬼だった頃のマスラダにも似たようなことを言ってました。

「わたしがどうするかの話であって、貴方(マスラダ)の意見や道徳の善悪と関係無い」。なるほどです。

コトブキちゃんはあくまで自分の気持ちで考えたい。彼女にとっての道徳に照らし合わせ、納得して、マスラダくんの手助けをしたい。そういうことなのかな。

(ニンジャスレイヤー=サンはいつもボロボロになっている。私にも覚悟がある。むしろ、この身体は修理すれば治るのだ!

そういう問題じゃありません!! コラッ!!!

マスラダもタキさんも人形だから修理すればいいじゃんなんて言ったことも思ったこともないはずですよ! コトブキちゃんだって、いくら治るといってもマスラダがボロボロになったら悲しいでしょ! 自分を大切にして!

マーくんの情熱的な告白……人工物ふたりの間に渡されようとする唯一の天然オーガニック薔薇……文脈がすごい。

でも(その愛って本当に自発的なものなの?)という疑いが、このあたりからぐんぐん強まってきました。わけもわからず惹かれていくにもほどがある。まあコトブキちゃんは気高く強く可愛いので、一目惚れしても不自然ではありませんが!

でも、ケイトーは、シトカでもネザーキョウでも、常にマスラダと行動を共にしている「オレンジ髪のウキヨ」をばっちり見ているんですよね。ローカルコトダマ空間がピザタキ店内だということも知っている。そして、今でもニンジャスレイヤーに害意を抱いているっぽい。

最初から仕組まれた偽りの恋ってことはないでしょうか。マークツーを「愛を知らない」設定で作ったカタナ社の技術なら、「騎士の理想の姫像」をあらかじめ感情回路にインプットしておくことくらいできそうじゃありません? ケイトーさんそういう悪趣味な作劇好きそうだから、ありえそうで怖いんですよね。初恋を自らの手で殺させてから、カタナ社に忠誠を誓わせるとかさぁ……嫌な想像なので当たらなくていいです。

「せ……説明できれば、どんなにいいでしょう……!」コトブキは拳をわなわなと震わせた。「わたしは、こういう気持ちを説明するのは、とても苦手です。時間と努力が必要です」

コトブキちゃんが怒る姿、とてもよかったです。どうしてこんなにも怒っているのか。実況していてもいろんな解釈がありましたが……ふむ。

「許せない悪」だと感じたわけではないし、「拒絶」ともまた違う。マークスリーは己に好意を抱いている。なのに己の内面(自由意志とか愛とか)を一方的に決めつけられて侮辱されたことに対する怒りなのかな。……と、私は感じました。屈辱感にも似た思い。

コトブキちゃんが、このやるせない感情をどんな言葉で伝えるべきなのかわからず震えてしまう事実そのものが、これまでコトブキがタキ&マスラダによって大切にされてきた証左なんだと思うとグッときます。彼女は、優しさや愛を盾に、自由意志を一方的に踏みつけられたことがなかった。だからこそ、コトブキは初めての感情に震え、戸惑ったのかもしれない。そう思うのです。

でもしかたないんですよ……。

マークスリーは、これまで敬愛するCEOからは「己の意志(こうしたい)より、課された使命(こうあるべき)を優先しなさい」という、命令型コミュニケーションしか受け取ってこなかったと思われます。だから、彼が間違ってしまうのは無理もないんです。愛するコトブキちゃんに「あなたはこうあるべきです」と自由意志を無視して訴えてしまったのは、マークスリー自身がこれまで受けてきた愛の形がそうだったからなのだと思います。

そして、彼が「悪いところを教えてください。話を聞きます」といくら訴えたところで、マークスリーの知っている「話を聞く」=「話をひととおり聞いたあと、上から目線で有用性を評価する」行為に過ぎないわけで。だから話したところで平行線に終わってしまう可能性が高いと思います。

もちろん、たった一日の交流で、ピザタキの面々と不器用ながらも笑いあって盃を交わし合えたマークスリーですから、時間を掛けて多くの人と触れ合い、いろんなものを見て学んでいけば、コトブキが怒った理由もいずれは理解できると思います。
ただ、その時間がないんですよね。

そう、時間がないのがすべての問題をややこしくしている……!

だいいち「愛を盾に、相手の気持ちを一方的に決めつけて、結果的に侮辱する」という行為は、コトブキちゃんがネザーキョウでマスラダ相手に一度やらかしたことでもあるんですよ。マスラダは実際ナラクの力を失い弱っていましたし、重傷を負っていましたし、コトブキちゃんが心配のあまり過保護になってしまうのは無理もありませんでした。「ずっとここで」という願いは、コトブキちゃんの愛であり優しさでしょう。けれど、今回マークスリーがコトブキちゃんへぶつけた言葉と似ていたのも確かです。

己の真心から「あなたにふさわしい居場所」を一方的に定めて、未来を滔々と語る行為です。

あのやらかしによって二人の仲が破綻しなかったのは、ひとえにマスラダとコトブキがともに死線を潜り、積み重ねてきた時間のなせるわざです。何より、マスラダがコトブキちゃんという仲間を深く信頼していたからです。そこまで言うからにはコトブキなりの考えがあるのだろう、だがおれにはやりたいことがあるのだ、そう思ったからこそ、マスラダはコトブキに改めて話をしたのでしょう。コトブキがマスラダの話に耳を傾け、反省するだけの時間もありました。

でもマーくんには、この先残された時間もないし、これまでに積み重ねてきた過去もないんですよね~!あー!! そしてコトブキちゃんの気持ちも「わかりました」とか言ってますが全然わかっていない! もうだめだ!!

「バカハドッチダー!」コトブキがマークスリーに殴りかかる! マークスリーはコトブキの右拳を払い逸らす。「バカハドッチダー!」マークスリーはコトブキの左拳を払い逸らす!

ここまでコトブキちゃんを怒り狂わせた少年、未だかつていないですぞよ。逆に可能性の芽が残ったのでは?

ところでこの「バカハドッチダー」、最上級の罵倒だと小耳に挟んではいるのですが、私の観測範囲(3件)だと痴話げんか場面(女性側が男の失態を責める場面)でしか使われていないのでなんか……ホントに?って首を傾げています。

1【プレリュード・オブ・カリュドーン♯2

このあと別れた。

2【ア・デッカーガン・イズ・マイ・パスポート♯5

このあと殴ったことを謝る⇒フラグらしい雰囲気に

3【パンキチ・ハイウェイ・バーンナウト

「私のだッ!」(略)彼はモナコのスシ・パックを食べてしまったのだ。モナコは襟首をつかんで、ナボリを立ち上がらせ、慈悲深きブッダでさえも目を背けるほどの口汚い罵声を浴びせた。「バカハドッチダー!」
 さらにモナコの膝蹴りが、狼狽するナボリの鳩尾をえぐる! 「バカハドッチダー!」「オゴーッ!」

同棲彼女にボコられる。
お互い好きだし別れない。

朝パフェ良いな~!食べたい!

朝パフェスレイトも可愛かったです。


◇◇

 ♯6

愛の告白は不発に終わった。失意のマークスリーは手紙をしたためる。コトブキはピザタキに届いた手紙を読み、立ち上がり、着替える。マスラダは淡々とイクサに備える。日は暮れ、儀式の鐘が鳴った。

マークスリーはコトブキを見、優雅にアイサツした。「来てくださると思っていました。コトブキ=サン。我が決意をしたためし手紙、読んでいただけたのですね」

あんな事があったのに、その日のうちに手紙を送れるマークスリーちゃんメンタルが強すぎでは!?

「勝ってわたしをモノにするみたいな事を言ってましたが、フザケルナと言わせてもらいます。カリュドーンの儀式とわたしの意思決定には合理的関連性が存在しません。わたしをナメないように! 以上です」

ド正論~~~ッ!!

ぐうの音も出ないほど正論で笑ってしまいました。ほんとだよ!コトブキちゃん最高!

そしてやり取りが終わるのを待っててくれたマスラダくんも優しいね…コトブキちゃんの話には(賛同するかはともかく)ちゃんと耳を傾けてから動く男……コトブキちゃんの自由意志を尊重している……。

ところで、「マークスリーがコトブキをピザタキから遠ざけるために手紙を出した」可能性もあるかもしれないな、と考えています。考えすぎかもしれませんが。

ピザタキが潰されるのを知ったうえで、コトブキだけを確実に逃がすために立会人要請して呼びだしたマークスリー……ありえそうで怖いですね。気のせいであってほしい。そうなると完全にコトブキちゃんとの関係継続の芽は消えてしまうと思う……。

サロウは興味深げに瞬きした。「きっと、あの子なりに譲れないものがあるんじゃないかな。このイクサを自分自身のものとして受け止める為に……フフッ」

サロウさん、こっそりマーくんのニューロン覗き見してたりしないよね!?

謎のリザーバーさんは初登場キャラの模様。第三の目。誰だろう。「第三の目」というフレーズで思い出すのはブラスハートさんなんですが、また意味合いが違うのかな。

突然の美少年学園回想に(?????)となりましたが、すべて捏造された記憶だったりはしませんよね?(地獄を幻視するのをやめろ)

このエピソード、シリアスになりそうな設定を大量に並べたうえでヒョットコ仮面踊りを見せられているような謎のドライブ感があります……私は何を見せられているんだ? おかげで通常なら死亡フラグしかないはずのマークスリーちゃんの未来も見えにくくなっています。

なんにしても、このまま決闘だけで終わる気がしません。決闘のさなかにピザタキが襲われそうな予感がひしひしと……まあ個人的には「モウダメダー!」って叫ぶタキの前に酔いを醒ましたレッドハッグ姐さんが「まずいビールの礼だよ」みたいに現れて超かっこよく戦ってくれるシーンとか、ピザタキの危機に焦って跳び戻るマスラダの必死な姿が見たいので、むしろ積極的に襲われてほしいと思っています(じゃあくな欲望)。ピザタキのピンチに焦るマスラダ・カイからしか得られない、尊く素晴らしいものがある。


では今回はこの辺で。
そろそろエピソードも折り返しでしょうか。また次回の感想でお会いいたしましょう!

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次の感想はこちら。


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