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ニンジャスレイヤーをAoMシリーズから読む/S4_11「ヴェルヴェット・ソニック」(後)

こんばんは、AoMシリーズから出戻りしました望月もなかです。 ヴェルヴェット・ソニック感想のラストです!

もう少し早く書き上げる予定だったのですが勢いでポッキーの日(11/11)のニンジャ二次創作など書いてしまいズレ込みました。これはこれで楽しかったです。

フジキドさんのポッキーゲームでニンジャが死にます。

前回の感想はこちら。

【前提】望月のニンジャスレイヤー知識

・書籍第一部を3巻まで(中断)
 →6年経過(ほとんど内容を忘れる)
 →『スズメバチの黄色』読了
 →AoMシーズン1〜3読了+後、PLUS加入
 →AoMシーズン4実況+旧三部物理書籍8巻(今ここ)

◇◇◇

今回のエピソードはこちらです。

シーズン4:「ヴェルヴェット・ソニック」(後)

マスラダ・カイの記憶を食い破り、自我の侵食を始めた狩人サロウ……だがあと少しというところで振り払われ、ナンシーの妨害を許してしまう。黄金立方体の輝きに照らされた01の地平に、伝説のハッカーが立ちはだかる。

 ♯8

忍殺世界の電子描写、独特で好きです。

地平線は平らではなく、沖から眺める遠い都市のビル群めいた凸凹のシルエットが見える。それらはたとえばKOLやヨロシサンのサーバーであったり、詳細不明の不気味な闇カネモチの個人資産台帳の類。近づけば脳を焼かれる質量のしるしだ。

データ質量がビルの高さや形に例えられ、ひとつの街のように描かれるところが特に好き。イマジネーションが素晴らしい!

(やけに鮮明なカジノ風景&板についたコスプレですが、ひょっとしてナンシーさん、フジキドさんと二人でカジノ潜入&いかさまルーレット勝負したことあったりします?)(ありそう)

「オイッ!」ターン!01分解しかかったカジノホールの大扉が開け放たれた。勇ましく両手で扉を開き、エントリーしてきたのは、蝶ネクタイと燕尾服、そして「オーディン」と書かれた黒い眼帯で着飾った、くたびれた男だった。

あああああああああああああああ!!

ナンシーさんのピンチに駆けつけるタキさん!!!

「つんのめる」あたりぜんぜん余裕なさそうで、実際ビビりまくっていて、実力が全然足りていないこともすべて承知の上で、だけどここで介入しなければ絶対にマズイ、というただその事実だけを元に乗りこんでくるところが……それでこそ。それでこそですよ。この情けなさと勇気のミックス具合こそがタキさんです! 好きだ……!

豆粒チャイナコトブキちゃんも、チャイナ姿で現れたことに一切の脈絡がないあたりがそれでこそコトブキちゃん!って感じですごくよかったです!

しかしエピローグまで読んだ後改めて読み返すと、ルーレット周辺のタキさんは明らかに時間稼ぎしてますね。チップを置く場所をうだうだ迷ったり、それを指摘されると挑発したり、あることないこと喚き立てたり。【マスター・オブ・パペッツ】のザック少年誘拐事件でコトブキちゃんがタキさんの次の一手が成るまでにひたすら時間稼ぎをしていた息ぴったり作戦行動の逆バージョンじゃん!ふふ。

タキさん何を待っていたんでしょうね。コトブキちゃんの銀のデバイス接続を待っていたのかマスラダの復帰&追尾開始を待っていたのかまではわかりませんが、どちらにしても興奮します。

◇◇

 ♯9

気がつくと、サロウは銀の砂浜にいた。波打ち際で振り向けば、奇妙な男が微笑している……。

シルバーキー氏まで参戦するとは!
総力戦でワクワクします!!

「最ッ高だな! あンたを喰らっちまえば、肉体無しでうまくやる方法も学べるッて事だろ?」

ところがどっこい、肉体無しでうまくやるには「カツ・ワンソーの影」(または同列の存在)の寵愛が必要になるんですよねー!

要はサツガイに愛されないと/力を貸してもらわないといけないのだけれど、そもそも狩人サロウは「サツガイに出会えなかった」ことで発生したともいえるわけで。

歯を食いしばって父を助けるために頑張るゾーイちゃん~! 涙目になっているのが愛おしすぎる。父娘がお互いを慈しみ合っており素晴らしいです。最高。幸せでいてほしい……

サロウさんが明らかにシルバーキー氏を上回っていたのは、オモイ・ニンジャのバフがあったからってことなんでしょうか。マスラダくんが平気な顔して挑発してカラテでぶん殴りまくっているので麻痺していたのですが、つくづくリアルニンジャってとんでもないんですね。

天に伸びる謎めいた蔦めいて、サロウの存在はシルバーキーの世界から引き上げられはじめた。放射状の風が庵の残骸と銀の砂浜を散らし、身構えるシルバーキーとゾーイの衣をはためかせた。

文章が上手すぎる。


◇◇

 ♯10&エピローグ

シルバーキー&ゾーイの連携プレイに敗北し、主のオモイ・ニンジャに見捨てられたサロウであったが……。

(0101オモイ・ニンジャが狩人だ何だッてお膳立てして、俺がそれに乗っかった……頑張っただろ。あんなイカレた狩人連中と、俺はパーティープレイして、ユウジョウして。俺がいなきゃ狩りの呪いもかからなかった01001)

いや〜パーティプレイはしてたかもしれませんが、ユウジョウはどうかなぁ!?

「あンたの一部だと?」『ハン?』「それ、逆でもいいのかな」

さすがだ!! サロウさんしぶとい!!
赤ん坊になったり眼鏡かけたりハイスクールの友人したりリアルニンジャ風(?)になったりサロウさんコトブキちゃんばりの七変化してくれるので楽しい。コトブキちゃんとコスプレ対決して負けて(こんなのおかしいだろ)っていつもみたいにぼやいてほしい。

二歩……二歩、目、が、踏み、出せない。「……なンだよ」サロウは左踵を振り返った。浜辺に打ち上げられた存在が足首を掴んでいた。

い、いるーーーーーーーーーーー!www

砂浜ビターン!ビターン!からのノータイムボコボコがあまりにも爽快でマスラダくんらしくてめちゃくちゃ楽しかったです。最高。頭の中を読み取ってくる奴には最初から本を開かせなけりゃいいんだよ!!

実際サロウさん、この一晩でマスラダ・コトブキ・ナンシー・タキ・シルバーキー(+ゾーイ)と豪華な連戦を繰り広げてましたけど、一番ダメージ喰らってたのがコトブキちゃんのハイハイハイハイ連打でしたもんね。タキのドロップキックもわりと真正面からまともに食らってましたし、脳筋物理ラッシュが弱点だったんですね。

マスラダくんと連携プレイしているナラクちゃんも、いまだかつてないほど楽しそうで微笑ましい。孫と遊べてよかったねおじいちゃん。クソミソにオモイちゃんをこき下ろしているところご機嫌でかわいかったです。最初は黙って聞いていたのに己に説教の矛先が向いた瞬間「黙れ」するマスラダくんもかわいいね。相性がいいな……。

「世話になった」ニンジャスレイヤーはシルバーキーにオジギをした。

おじぎ

マスラダ・カイ……お、おまえ……そんなことができるんなら一度くらいフジキドさんにもやってあげたらよかったでしょ!!!!! 世話になったじゃん! あのおじさん素直で単純だからびっくりするほど軟化しますよ若者の礼儀を尽くしたオジギひとつで!一見して邪悪そうなヨタモノがご老体に席を譲ってるのを見て、背後で吊革を握ったまま(ウム)ってひとり頷いてそうなタイプ元サラリマンですし。

あとタキさんにはそのようなお礼を一度でも言ったんですかマスラダくん? 金をせびって怒られたあとの「実際、助かった」はノーカウントですからね? わかってる? 聞いてる? 聞いてますかマスラダくん!?

ゾーイが進み出て、ニンジャスレイヤーの手を握った。「またね」
「また、そのうちにな」ニンジャスレイヤーは答え、ゾーイの肩を叩いた。

カワイイーーー!!お友達!!!

また銀の浜辺で一緒に釣りして、あの時一緒に聞けなかったシトカのラジオを洞窟の中で聞いてほしい!! 銀の浜辺ってIRC使えるんでしたっけ? シトカに行かないまでもインターネットして文通くらいしてほしいですよ。

奇しくもサロウさんの強烈な自我のおかげでオモイ・ニンジャを滅ぼせてしまったニンジャスレイヤー。いくら強大で手の届かない存在に見えても、リアルニンジャは決して滅ぼせない相手ではないということがわかりました。

はてさて、次以降の借りはどうなってしまうのか。
厄介なファン、シナリィさんによる推しスシはまたもマスラダくんに届けられるのか。

それはそうと頑張りすぎて寝落ちしたザック少年に自分のTシャツかけてあげるタキさんに軽率にダメージを食らってしまったんですけどタキさんはホントそういうところがありますよね!!!!!
ナンシーさんが真摯にお礼を言ってくれたのもすごく嬉しかったですし、シーズン3のときと違ってタキが謙遜したりせずにその言葉を彼なりに受け止めてくれたのにもグッときました。健康にいい。マスラダも一度でいいからタキの献身に心の底からお礼を言え。黙っていれば気持ちが伝わるわけじゃないんだぞ。いやタキさんはコミュニケーション能力が高いので伝わっているのかもしれませんがそういう問題ではない。わかるか。

エピローグ、ノイズのないマスラダの真実の記憶、とても美しかったです。

やってもいいのだ。おれも。

この瞬間の想いが、マスラダくんの魂を形づくっているんだなぁ。

だから彼は、コトブキちゃんにも「ウキヨだから○○するべきじゃない」とは言わないし、ネザーキョウのストリートでザック少年が夢を語っても否定しなかったし、やりたいようにやらせていたんでしょうね。

やってもいいのだ、どんなところで生まれても、どんな暮らしをしていても。それはアユミを失い、オリガミ・アーティストへの扉が閉ざされたと思い込んでいるマスラダ本人にも言えることだと私は思います。志半ばで進むことなく放置された彼の道は、今でもまだ、マスラダ・カイの訪れを待っているんじゃないかな~なんて思うのです。


おまけ・手書きノートログ

例によって記事に書ききれなかった細々感想あれこれと、

画像1

こんな感じのノート隅のらくがきがちょこちょこあります。
補足代わりにどうぞ。

ではでは、今回はこの辺で。
また次エピソードの感想でお会いいたしましょう!

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次の感想はこちら。


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