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①内科レジデンシーのプログラム選択(PGY5以下)

アメリカで医師になる理由は人それぞれですが、この記事はレジデンシー後にフェローシップに入ることを目標にしている人向けです。前回少し触れた通り、PGY5以上というだけで途端にインタビューに呼ばれなくなりますので、PGY5以下と以上で分けて記載します。

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卒後3年以下を応募条件にしているプログラムも多いです。なので比較するとPGY4-5は実際不利ですが、gapさえなければ全然マッチ可能です良いプログラムにマッチするかは別問題)。
500を超えるIMプログラムの内、PGY5以下の人は数百を超えるプログラムの応募条件を満たすので、プログラム数を絞ることになると思います(数百のプログラム全てに応募することはもちろん可能ですが、個人的にはお勧めしません)

プログラムの強さはフェローシップマッチの強さで判断

1:自分の希望科がすでに決まっているのであればその科のフェローシップに毎年マッチできているのか、アンマッチした人がいるのか
2:具体的にどこの施設にマッチしているのか
3:レジデントの中で何割がフェローシップに応募したのか(ホスピタリストになる人がメインのプログラムもあるので注意)
4:希望科を変更せざるを得なかった人がいるのか(たとえばCardiologyのマッチは無理なので、competitiveではないsubspecialtyのフェローシップに入り、その後再度希望科に入り直すパターンの人がいるのか)

まだ希望科が決まっていない場合は、competitiveといわれているフェローシップに毎年マッチしているかどうかを確認しましょう。CardiologyやPulmonary/Critical Care Medicine(PCCM)等に毎年マッチしているプログラムはまずまず良いプログラムかもしれません。が、CardsやPCCMのプログラムもピンキリなので、マッチしている人がいても一概にそのレジデンシープログラムが強いとは言えません。例えば、全く聞いた事がないCardsプログラムにマッチした人しかいない場合、強いCardsプログラムにはそのプログラムからは入る事が非常に困難、と結論付けることができます。in-houseのプログラム(自施設のフェローシップ)に入る人も結構いますが、その場合は自施設のフェローシップがどうかの確認も必要です。

AMGがいるプログラム

一般的に、評判の良い強いプログラムにはAMGが入るので、AMGがいるプログラムはIMGだけのプログラムより良いパターンが多いのは事実です。ただ、フェローシップマッチに強くないプログラムも結構あり(たとえ大学病院のプログラムだったとしても)、AMGが多いプログラムを狙うというよりは、やはりフェローシップマッチで判断した方が良いと思います。多額の借金を抱えるAMGは市中病院に残って働き続ける人も多いです。そういったプログラムにフェローシップを目指すIMGが入るのが良いかは分かりません(プログラム側も多分インタビューには呼びません)ので、注意が必要だと思います。レジデンシー中のQOLを優先したい人はAMGが多いプログラムが良いかもしれませんが、IMG friendlyではないことが多いので、アプライするとお金の無駄になる可能性は高いです。

大学病院のプログラム

評判の良いプログラムは大学病院が多いですが、大学病院もかなりピンキリで、それどこ?と感じるプログラムもあります。実際は市中病院のような立場なのにACGME上で大学病院と分類されているプログラムもありますし、盲目的に大学病院が良いと思い込むのは危険です。今回全プログラムを調べてみて、市中病院(University-affiliated programやcommunity program)も普通に良いプログラムが多いことがよく分かりました。例えばMayoやCleveland Clinicはカテゴリー的にはcommunity programですし、プログラムの分類を気にせず、フェローシップマッチの強さで判断するのがいいと思います。
また、university-affiliated program(大学関連病院)の場合、大学病院と双方向の提携があるとなお良いです。基本的に関連病院から大学病院への一方的な提携の場合がほとんどですが、稀に大学病院のレジデントも関連病院でローテートし、その関連病院のレジデントも大学病院でローテートし、といった双方向提携のことがあります。


IMGフレンドリーなプログラム

IMGを受け入れているプログラムでも、調べると実はUS-IMGだけしか呼ばないプログラムやイギリス、オーストラリアといった国からのIMGしか呼ばないプログラムもあります。US-IMGでいっぱいのプログラムは本当にnon US-IMGを呼ばないので、そういったプログラムにはアプライしなくていいと思います(申請料を低くしたい人は特に)。

日本人フレンドリーなプログラム

日本人を受け入れたことがあるプログラムかどうかの確認も必要です。そういったプログラムはやはり日本人をまた呼ぶ傾向が強いです。後日記事にしますが、私が調べる限り、日本人が良い内科プログラムに入った例は本当に少ないので、日本人コネを使って良いプログラムに入るという選択肢は現実問題ほぼゼロと言わざるを得ないです。日本人フレンドリーなプログラムを狙うのは「unmatchを避けるため」というのが個人的な意見です。

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今回色々な人とやり取りして分かったことは、コネなしのアプライだとアメリカのトップ20−30の大学病院(スタンフォード等)は絶対にIMGは呼ばないけど、Step1とCKが例えば270くらいでpublicationもゼロでなければ、コネがなくてもIMGを呼ぶ上位プログラムはあるということです。MayoはそういったIMGを呼ぶ良い例だと思います。一方、知り合いのIMGはEmoryに呼ばれていたけど、叔父が超有名大学の循環器内科医で、強いコネと強い推薦状のゴリ押しhelpがあれば通常IMGが入れないプログラムに入る事も可能かもしれません。逆に言うとこういった条件がなければ、上位プログラムにアプライするだけお金が無駄です。
ちなみに、私はstep1と2CKのスコアが良くないだけに、たとえ私がPGY5以下だったとしても上位プログラム(トップ50-75以内)から呼ばれる事はなかったと振り返ってみて思います。また、たとえpublicationが私のように多かったとしてもハーバード(BWH)等に応募する必要はゼロです。今シーズン、AMG 260/270 AOA from top 30 medical school の人がBWHからrejectされています。

Conclusion

内科レジデンシーのマッチングは毎年厳しくなっているという情報を耳にしますが、正確な表現ではないです。明確な目標があり、それに向かって計画的に準備をしていれば、PGY5以下であればunmatchの可能性はほぼゼロです。厳しくなっているのは上位プログラムにマッチすることです。応募人数が増えているので当然です。今回フェローシップマッチに強いプログラムにマッチしたので満足しているものの、自分が後悔している点を挙げるとすれば、どの程度の業績があればどのレベルのプログラムに到達可能かの下調べを数年前にできていなかったことです。Step1で240あれば良いという情報を過信していた自分がいました。「内科レジデンシーのプログラムにマッチする」という目標ではなく、「良いプログラムにマッチする」という目標を持ってがんばるのであれば、PGY5以下だったとしてもStep1で240、Step2CKで250は低いです。何を目標とするのか、誰の背中を追うのかでどのレベルのプログラムにマッチできるかが決まると言っても過言ではないです。


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