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米国循環器内科フェローシップの1年目を終えて

忙しかった循環器内科Fellowshipの1年目が無事終わり、2024年7月から2年目に突入しました。以下この1年で感じたことのまとめです。


・自分を取り巻く環境は大事で、循環器領域で著名なアテンディング、エリートコースを歩む同僚達とGeneral Cardiology Fellowとして同じ土俵で働くことの重要性を実感しています。特に同僚は私より若いですが彼らの働き方から学ぶことも多く、日々刺激を受けています。一方で優秀な人達と働くが故のプレッシャーも強く感じます。「こういう面では彼らには及ばないかも」と感じる時も正直あります。

日本で専門医だった自分にとって、アメリカでの循環器フェローシップは知識的にも技術的にも有利な面が多く、日本で学んだことがアメリカで通用することをよく認識できました(個人的には自分が日本で学んだことが通用するか少し心配していました)。その一方、アメリカでより学べる分野もあるので(心移植やCardio-Oncology等)、レジデンシー開始前に「循環器のトレーニングはhigh volumeの施設に行って色々経験するのが絶対に良い」とアドバイス下さったメンターの先生の言う通り、全ての領域でhigh volumeであるCedarsに来て良かったなと思っています。今後自分はインターベンションに戻りますが、General Fellowとして学んでいることはすごく有用だなと感じています。

・良くも悪くも循環器は細分化が進んでいます。Cardio-oncologyといった不可欠な分野が注目され、大きくなったのは良い例ですが、Advanced Fellowshipを組み合わせることで自分の専門性を強調したいがために生まれてきた領域もあります。特に東海岸でその傾向が強く、General Cardiologyをした後にInterventional とAdvanced heart failureのAdvanced Fellowshipを両方したり、Advanced heart failureとCritical careを組み合わせたりして自分を差別化しようとする動きがあります。追加トレーニングをする利点ももちろんあると思いますが、実際のところはそのようにしないと就職先が見つからないのでやらざるを得ない、というトレンドができてしまったと聞きます。場所と領域によっては飽和状態なので大変です。
まとめると、Advanced Fellowshipは
①専門医になるために行う通常のパターン(例えば冠動脈インターベンションだけする)
②職探しに困らないように、あえて1つ目のAdvanced Fellowshipが終わった後に追加のAdvanced Fellowshipをしないパターン(たとえばストラクチャーは働く場所が限られていてストラクチャーもしたいと言うと受け入れてくれない施設もあるので、冠動脈インターベンションだけしてストラクチャーをしないパターン)
③職を見つけるために更にAdvanced Fellowshipを追加するパターン
(上記のAdvanced heart failure + Critical care等)
④General Cardiology Fellowにマッチできなかったので競争率の高くないAdvanced Fellowshipに入るパターン(例えば内科レジデンシー→循環器フェローシップアンマッチ→Women's Heart Fellowshipに入る→循環器フェローシップに再アプライ)
⑤内科レジデンシーに入るためにAdvanced Fellowshipからまず始めるパターン
の5つがあるように思います。

・Advanced fellowshipだけにやって来た人達は1年も経てば他の場所に旅立つと認識されているのと、彼らが仕事をする場が限られているのもあって、必然とGeneral Fellowと異なる扱いを受け、ややお客様感がある印象を受けます。よりクローズドな世界なので自施設出身のGeneral Cardiology Fellowを優先して受け入れたり、自施設でリサーチフェローした人も臨床フェロー候補に入れたりする傾向も強いと聞きます。自国で専門医があるIMGにとってはAdvanced fellowshipをするのはアメリカの臨床に入り込む良い機会で、Advanced fellowshipから始めて自分の専門領域でコネを徐々に築き、そのままどこか別の施設でアテンディングになるという道も全然ありだと思います(やはり一般内科と循環器を両方やり直すのは時間がかかります、、、)

指導医としてどの施設で働くことができるか、は本当に別次元の問題で、たとえエリートコースを歩む同期でも思い通りにいかず、苦労するのだなと思いました。別施設で働くアテンディング(界隈で有名な人を除く)やAdvanced Fellowshipで1年間だけ来た人を雇う理由はほぼないので(例外もありますが)、もし働きたい場所の目処がついている場合は(特にそこが有名なアカデミックな施設の場合は)Advanced fellowとして入るのではなくGeneral Cardiology Fellowとして数年しっかりと働いて信頼、実績、コネクションを築くのがその施設に残るチャンスを上げるのに重要だと思います。が、有名施設だとそれでも残れるチャンスは低いと思います、タイミングも重要なので。アカデミアは厳しい世界です。

働く施設や立地には拘った方がいいです。生活の質にも影響します。特に家族がいる場合はそうです。私の場合は自分のためにも家族のためにも可能ならニューヨークではなくカリフォルニアのメジャーな都市に戻りたいと思っていたので、多くの時間と犠牲を払いましたがフェローシップ先と住む場所に拘ってよかったと感じています(アテンディングとしてどこで働くか決まっていないだけに、不安は消えませんが、、、)

Swan先生とGanz先生がCedars Sinaiで開発したSwan-Ganzカテーテルが病院に飾られています。

Conclusion

自分がずっと目標としていた施設で循環器フェローとして働いていることのありがたみを感じる毎日です。レジデンシーマッチもレジデンシー自体も通過点であったように、フェローシップもあくまで通過点なので、フェローシップ後のキャリアが満足の行くものになるよう、優秀な同僚達に負けじと今後もがんばって行きたいと思います。

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