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「春暁」

春暁や始発の笛の彼方より 

寒気の緩んだ朝、日の出をカメラに納めようと暗いうちに外に出てみた。
誰もいない、車も通らない静けさの中、昼間は聞こえない列車の警笛が届いて、今日という日が動き出した。
例えば朝日に、例えばこの澄んだ大気に、例えば列車を動かす人々に、支えられて私の今日がある。
出口の見えなくなっている厳しい世界の、隅の隅の片隅でそんな気持ちに満たされた。



2024・2・27