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「盆唄」

盆唄やよき頃合いに輪の中へ 

端正な母の針目よ浴衣解く 

昔は母の縫ってくれた浴衣を着て、家族そろって盆踊りに行きました。
夏が終わり浴衣をしまう時、娘に「次いつ?あした?らいしゅう?」と繰り返し聞かれ「来年ね、来年ね」と答えていたら、いつのまにか「らいねん」はずっと先のことを言うと理解してくれて、それは盆踊りと浴衣のおかげでした。
袖を通すことの少なくなった浴衣。
一枚だけ、なにか日々身近で使えるものにリフォームしようとほどきはじめましたが、その丁寧な縫い目にしばしば手が止まり、なかなか仕事が進まずにいます。
働きづめの娘時代、冬の間だけ裁縫を習いに行けた母。
精進して、お師匠さんから花嫁衣装を縫わせてもらった嬉しさを話してくれたことがありました。
針目ひとつにも、さまざまなことが思い起こされます。

桔梗・撫子・熨斗目・百合・竹・更紗模様