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音楽雑感(11)

「冗談音楽」と呼ばれる類のものがある。
古くはモーツァルトの「音楽の冗談」。
近代では、スパイクジョーンズなど、本来の楽器ではないもので演奏して笑いを誘う。
ホフナング音楽祭では指揮者とピアノ独奏者がけんかしてオーケストラとピアノが違う協奏曲を演奏し始めたり、ゴムホースをホルン奏者が吹いたり・・・
最近のお笑い芸人たちの「リズムネタ」というのは、単に歌詞が可笑しいだけだったりして音楽的にはおもしろくない。
音楽としておもしろいと思うのは、P.D.Q.バッハのいくつかの作品。「小管弦楽のためのクオドリベット」「アイネクライネニヒトムジーク」「未開始交響曲」など。対位法の極値ともいえる。古今のいろいろな曲が混ざりあって重なり合う。ベートーベンの交響曲、第1番の一部から始まって第9番までの部分が重なっているところへ、ベートーベンの第10番と言われるブラームスの第1番が乗っかったりする。録音には次々に起きる大笑いの声が入っている。いろいろな音楽を知っている音楽評論家など音楽に詳しい人を集めて演奏をきかせたらしい。
P.D.Q.バッハは音楽的にはおもしろいが、パロデイの部類だろう。本来の進行を知っていてそれを外されることによる意外性が面白い。
しかし・・・
調性もなく、つまり音が外れて可笑しいということはなく、初めて聞いた曲で、つまり本来の進行という予想された曲の進み具合も知らず、それなのに面白くて笑える曲というのはない。
人間の感情の中で、悲しい、嬉しい、楽しい・・・という感情と可笑しい、笑うというのはどうも別物らしい。

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