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音楽雑感(4)

バッハを代表として、宗教曲と世俗曲という分類をすることがあるが、これも歌詞に基づいたものであって音楽的な区別はない。
カンタータなどの定型はある。また、コラール旋律は宗教的雰囲気に結びついているが、元々は俗謡の転用だったりして、時代が経てば「昔から歌われていたから」という理屈をつけられ、音が何か表してはいない。
♯が「傷」、♭が「涙」を表すとの象徴的な解釈も、単にその記号の見た目からきているだけであり、他にも音の交差が十字架だったりというその時代の「お約束」的なことである。
バッハには、複数の短い曲をまとめたカンタータという重要な曲種があり、教会カンタータ第201番と世俗カンタータ第212番の中に、全く同じ曲が使われている。曲は同じだが、歌詞はまったく違う。つまり、いわゆる「替え歌」なのだ。
結局、宗教曲と世俗曲の違いはないのである。音楽的にはその「違い」は無意味となる。

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