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ママWIMインタビュー vol.2 : 出原加奈(Kana Dehara McCoy)さん 「ボストンで子育てをするミュージシャンママのリアル」


ママWIMインタビュー第二弾は、アメリカ・ボストンにてピアニスト・キーボーディスト・作曲家・教育者そして一児の母として精力的に活動されている出原加奈さんのインタビューです。


経歴
4歳からクラシックピアノを始める。様々なコンペティションやコンサート、コンチェルト等の経験を積み、神戸女学院音楽部に入学。在学中にジャズに興味を持ち出し、バークリー音楽大学ワールドツアーのオーディションを受け、奨学金を獲得。
バークリーの在学中はパフォーマンスを主に作曲も学びながらあらゆるジャンルの音楽に触れる。2017年には自身のトリオでディスクユニオンからデビューアルバム”バーニング・ステップス”をリリース。


◆ミュージシャンという生き方を選んだ理由、思い、きっかけなど教えてください。

幼い時から人前で演奏することには慣れていたのですが、高校の音楽祭で初めて自分でアレンジした音楽を人前で演奏する機会があり、その時に感じた感動、興奮は今でもビビットに覚えています。
クラシックの再現に重きを置いたレッスンの中、今思えばいつも何か自分の音を遊び弾きしていました。
特にきっかけになるような事はなかったですが、ミュージシャンになりたいと言う気持ちは幼い時からずっと揺るがない思いとして自分の中に培ってきたと思います。


◆加奈さんならではの活動はありますか?続けている理由など教えてください。

活動というか習慣ですが、身体の声を聞くこと。
当たり前の事ですが、たくさん水分を取り、筋力をつける。
筋トレはもう何十年と続けています。(クオレンティーン開始すぐにネットショッピングしたものはダンベルです。) 
妊娠前まではジュースクレンズ(断食)も定期的に行っていました。呼吸法にも興味があるし、もう少し時間ができれば瞑想も再開したいなと思っています。音楽家は身体が資本ですし、心と身体をアラインさせるように心がけています。


◆1日のタイムテーブルをコロナ前後で教えてください。

夫婦共に音楽業界での仕事なのでその日によって全くスケジュールが異なるのですが、一例として。


【コロナ前〜大学で教える日】

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【コロナ後】

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◆育児と家事、仕事を両立させるための秘訣やアドバイスなどあったら教えてください。

夫とまめにコミニケーションを取ること。
前もってきちんとプランニングする事。察してほしい、空気を読んでほしいと思うのではなく、何を手伝って欲しいのかを明確にお願いする。受けられるヘルプは遠慮なく、有難く頂く。完璧を目指さず自分に優しく。
自分のやりたいものを絞り込んで狭く深くキャリアを積むこと。


◆主に育児について、パートナーや家族などのサポートはありますか?

色々手伝ってくれる夫でとても助かっています。
出産後1ヶ月は母が手伝いにきてくれたのですが、やはり4ヶ月までは夜の睡眠がどうしても細切れになってしまって体力的にしんどかったです。夜通して寝れるようになってからは寝ること以外にも目を向けれるようになりました。仕事の再開時にパートタイムでお願いしたベイビーシッターさんには週2回今でも来てもらっています。


◆ボストンで育児をしながら仕事をすることについての思いを聞かせてください。

自然に触れ合いながらも高い水準の教育が受けられるし、ニューヨーク程ではないけれど、シアターやミュージックベニューもたくさんあり、演奏の機会も多くて、ディバーシティな文化に触れる事もできるので、子育てするのにはボストンはとてもいい街だと思います。ニューヨークでの仕事も車で3時間強なので可能性ですしね。
それとこちらではほとんどのママが働いているので、仕事と育児の両立は当たり前という認識が一般にあるように思います。ボストンでの育児は日本に比べて気分的に楽かなと思います。とは言えどうしても演奏は夜になることが多いのでどうしても罪悪感はありますね。


◆産休、育休について。期間、困ったこと、工夫したことなどあったら教えてください。

フリーランスの音楽家なので補償が無いことが大変といえば大変ですね。
ですが逆に産休をフレキシブルに取れたのは良かったです。
出産2週間前まで演奏の仕事をしていましたが、キーボードを運ぶのが流石に無理でしたのでバンドメンバーにお願いしていました。
大学での教鞭は夏と秋セメスターを休ませて頂きました。外との世界へのつながりがなくなり、孤独だと感じたりすることもありましたが、毎日毎日どんどん大きくなって、新しい事ができるようになる息子をみていると、こんな時間もたぶん一瞬で終わってしまうのだろうと感じ、家族とのべったりな時間を楽しめたと思います。


◆保育園やシッター等、ボストンの保育環境事情を教えてください。

子供が4ヶ月半の時に大学での教鞭をパートタイムで再開したので、週に二回ベイビーシッターさんに来てもらっています。
アメリカは日本よりもヘルプを頼みやすいと聞いていたのですが、実際パートタイムで信頼できる方を見つけるのに意外と時間がかかりました。秋からはデイケアに通わせようと思っていたのですが、ウイルスが怖いので躊躇しています。
デイケアはフルタイムだと1ヶ月で平均15万から20万円が相場だと思います。地域にもよりますが、待機児童の話はあまりよく聞きません。人気のあるデイケア、プリスクールはすぐに埋まってしまってウエイティングリストで空きを待つことはあるみたいです。


◆ボストンの学校事情、自粛期間中のオンライン授業など、日本との違いがあれば教えてください。

まだ子供が9ヶ月なので、スクールシステムについては実はそこまでよく分かっていません。
が、聞いた話によると、州のロックダウンとともにすぐにオンラインに移行したようですね。日本の中途半端な自粛閉鎖に比べると、徹底していたし色んな決断が早かったと思います。


◆女性ミュージシャンへのメッセージをお願いします。

これは自分に言い聞かせててるんですが、人は人、自分は自分。自分の直感を信じていけば大丈夫。
特に育ってきた環境が違ったり、文化が違ったりできっと悩む事も多いと思いますが、できるだけ自分が信じてる事をぶれないように、でもいい物や新しい考え方も取り入れられるように柔軟でいたい。バランスが重要ですね。
そしてしんどい時は頼る。完璧な人なんていませんもんね。

Women in Musicのような素晴らしいグループもあるし、他に頑張っているママミュージシャンや女性アーティストを見てるととっても頼もしいしとてもいい刺激になります。私も微力ながら応援させていただけたらいいな、と思っています。

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アメリカと日本での子育て環境の違いやスタンスがわかり、とても興味深かったです。また母としてミュージシャンとして、アメリカでエネルギッシュに活動している加奈さんをみて、自分自身とても力をもらいましたし、多くのママミュージシャンに元気と勇気を与えてくれるかと思います。

加奈さん、改めましてインタビュー並びにタイムテーブルありがとうございました。

ママWIMでは、今後も色んなミュージシャンママのインタビューやタイムテーブルなどお伝えしていく予定です。お楽しみに。
そして、ママWIMではインタビューにお答えいただけるミュージシャンママを募集しています。自薦他薦問いません。以下facebookページからメッセージをお送りください。

文:船山美也子

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