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冬用の毛布に「ありがとう、お疲れ様」

晴れていた。朝、目を覚ましたときに晴れているだけで「うわ~! やった~!」と思えるなんて、セロトニンに従順だなと思った。と同時に、原始人もこんなふうに思っていたのかな、なんて思う。晴れているから、今日は狩りに出よう。晴れているから、洗濯をしようかな(原始時代には “ 洗濯 ” なんて単語ないと思うけど)。晴れているから、外に出ようかな。晴れているから、作業をしようかな。そんなふうに思うのは、私の先祖の先祖のそのまた先祖から受け継がれてきた、人間の遺伝子の一つなのだと思う。

そういえば人間の身体には、いくつか、かつて人間ではなかったときの生物の名残があると聞いたことがある。

例えば、目頭の粘膜の内側にあるポチっとした穴。あれは、魚類だったときの名残だと、いつかの理科のテストで見たことがある。魚類のときに目の下にあった鼻が、進化の過程でグググッと目に近づいて今、それになっているそう。そして、鳥肌、さぶいぼも、進化の過程での名残だ。体温が低下すると、体毛が逆立って毛根が盛り上がるそう。それは体毛があった時代の防衛本能だ。

極めつけは、ビタミンDの生成には紫外線、つまり太陽光が必要らしくて、それを聞いたときは「人間って植物じゃん!」と思った。太陽光を浴びないとビタミンDは生成されなくて、ビタミンDが不足すると血中のカルシウム濃度が低くなって骨粗鬆症や骨折のリスクが高まるという。


晴れていた。それを「あ~! よかった!」と思えるとき、自分が人間であることを感じる。目で見た明るさ、肌で感じた温かさ、気分の高まり。なんでもできそうな午前中。はたはたとはためくバスタオル。思わずアップテンポな曲が聞きたくなる耳。もうノースリーブを着ている幼稚園ぐらいの女の子。半袖短パンで走る人。晴れている。晴れているって、どうしてこんなにも開放的なんだろうか。

私は今日、冬用の毛布に「ありがとう、お疲れ様」と言って仕舞った。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。