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世の中の有象無象は、終電間際の電車に集まる

世の中の有象無象は、終電間際の電車に集まるのだと思う。

ケース1、ここが世界の中心、「人目」というワードがすっぽり抜け落ちたカップル。「それ以上は近づけないんじゃないかな?」と思うほど、隣に座っているお互いをぎゅうぎゅうと抱き締めまくる2人。彼のほうは隙あらば、耳にちゅっ。ほっぺにちゅっ。首筋にちゅっ。「もう~」とまんざらでもない彼女が横を向いたら鼻にちゅっ。私が乗っていた段階では接吻はさすがになかったけど、それはたぶんタイミングのせいだったと思う。そして私はいつだかダウンタウンの松本人志が言っていた言葉を思い出す。「いいか、街中でいちゃつくカップルは、お互いのことを思いやっていない。そんなことをして相手が周りからどう見られるかをわかってないんだ」。……ないんだ。

ケース2、それは明らかになんとか商法の詐欺だと思うから気をつけてほしいけど、気づいているの? 気づいていないの? な年配男性2人組の会話。なんかずーっと明らかにマルチ的な何かに誘われているような話しぶりの一人。特別話術があるわけでもなくて、「そこまであからさまで大丈夫ソ?」と思うけれど、もう一人もなんだか絶妙に躱し続けている。よくわかっているのか、わかっていないのか、曖昧な感じでのらりくらり。のれんに腕押しってたぶんこういうことを言うのかもしれないなと思う。逆にすごい2人組。噛み合ってる?

ケース3、逆にその態勢だから本が読めるの? 両肩が酔っ払いの居眠りに占拠されていながら読書をする人。なんで? なんでいいの? ガンダム? というか、逆にくうくうと寝ている両肩の2人を完全に無視して、次の駅でどーんとこの人が降りたらどうなるんだろうと思わされる。めっちゃ気になる。ああ、次が自分の最寄り駅なのが悔しい。ああ、着いちゃう。全然降りる気配がない。そうして行ってしまった電車。どうなるんだろう。両肩のお2人は全然起きる気配がなかったけれど、どうしたんだろう...…。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。