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行楽日和が、ベットを組み立てる私たちに降りかかる

このGW中、実家でのんべんだらりと過ごしている。

一人暮らしの家から読みたかった積読本を何冊か持ってきていて、日がな一日、本を読んで時間を潰す。

最高に穏やかで、窓から吹抜ける風が気持ちいい。

カーテンがふわっと何かを包むように舞い上がる。その瞬間私は、「平和」を見たような気持ちになる。

夏が近い。窓を開けていても、もう寒さは感じない。


そんな今日、私にとある使命が課せられた。

「暇そうだから、妹のベットを組み立てるのを手伝ってあげてよ〜」

司令官はお母さん。

私としては「めんどくさっ」を堪えただけでも、とてもえらいと思う。まあ、顔には出てた気がするけど、それは許してもらえる範囲だ。

本を閉じて、妹の部屋に向かう。部屋からはすでにがたがたと音が鳴っている。

今のベットの軋みがひどいから、新しいベットにするとのこと。部屋には、これからベットになるであろう部品が入った段ボールがある。

「これ、ほんとうにベットになる?」というばらばら加減。

想像以上に少なくて、どれもとても薄かった。いや、ひとつひとつのサイズは大きいんだけど、これらがベッドになるのがイメージできなかった。

「派遣されてきました〜」と妹に声をかける。

「あ〜よかった! 助けてほしいと思ってたんだよね〜」

一緒にがたがたと、部品たちを段ボールとビニール袋から出す。ネジが数種類と、大きい部品と小さい部品。

「いざ」

妹と2人でアルファベットがふられているネジと部品を組み合わせていく。

「これがこっちで、あれがそっち?」

「うんうん、いい感じ……な気がする」

大きな部品は、それを移動させるだけで体力を大幅に使う。

「ちょっと待って、ネジこれじゃない」

「えぇ! 説明書にこう書いてあるから間違ってないって」

「もっとよく形見てよ! こっちじゃなくてこっち」

あわや、バチバチっと火花が散りそうな瞬間が何度かあったけど、1時間後、ベットは無事に完成した。

「おぉ〜ベッドになったね」

「いや〜達成感!」いぇーいとハイタッチをする。

そのとき。

部屋の窓からまた、夏の風が吹き抜けた。

「夏だね」「夏だな」

ベットを組み立てたからか、達成感からか、体が暑かった。連日、行楽日和が続いているとアナウンサーが言っていた。

外には出てない。行楽もしてないけど、夏はすぐそこまで来たことが家の中でもわかった。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。