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明日は雨だから落ち込んでもいいよ

霞んだ月が、ぼやあっと浮かんでいる。

それはほんとうに霞んでいるの? 心の中で私に聞く。

うん、ほんとうに霞んでる。ちゃんと現実世界の月が霞んでる。薄雲がかかってるから、霞んでるよ。

そう自問自答して、とてとて帰り道を歩く。

数年前から、落ち込んでる理由をこうして外に作る日がある。今日は月が霞んでいるから。昨日は天気が下り坂だったから。一昨日はゴミを出す前に収集車がいっちゃったから。

変かもしれないけど、でも。

そうでもしないと自分の中に、鋭く尖った目が向いてしまうのだ。あれができてないのは、自分のせいじゃん。それが間に合ってないのは、あんたのせいじゃん。これに手をつけられてないのは、お前のせいだ。

私はむかしからこうで、反省が反省の域を超えて過剰な自省攻撃に変わってしまう。ヨーグルトの蓋をぺろぺろ舐めるのと同じ悪い癖だ。

私が私を、そんなふうに傷つけたくない。

だから、落ち込んでる理由を外に見つけ出そうとするのは、私からしたら大人の階段をトンと一歩登ったということ。

もちろんちゃんと反省はするけれど、過剰に自分を責めない。自分に自分を傷つけさせないための作戦だ。そう考えると大人になってる。えらい。

ぼやあ、と霞んだ月を見上げていたら、ポツと雨がほっぺたに落ちてきた。

冷たい。明日は1日雨もよう。ほら言い訳がまたできた。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。