綺麗な花には棘がある。綺麗なバスボムには掃除がある。
綺麗な花には棘がある。幾千万前からいわれているそれ。でも実はこれ、正確な言い回しではないそう。さっきちょっと調べてみたら、「薔薇に棘あり」「美しい花には棘がある」というのが正確みたい。
先週末、浴槽にお湯を溜めて、湯舟に浸かった。ちょっと前に天狼院書店のライター講座で浴槽に浸かることについて記事を書いた。
私が湯舟に浸かるのは、ほんとうにリラックスしたいと思ったそのとき。貴重なバスタイムは、本を用意したり、飲み物を用意したり、3時間は浸かれるように準備に余念がない。
先週末やってきたその時間に、去年の誕生日にもらったLUSHのバスボムを召還した。もらったとき「中に花びらが入ってるからすごく綺麗なんだよ!」と言われて、楽しみにしていた。めっちゃくちゃ疲れて、もうこのバスボムでしか癒されない! と判断した特別なときのために使う。そう思っても、去年の6月からずーっと保管しておいた。
その特別なときがやってきたのだ。
バスボムを包んでいる、ウサギのシルエットが書かれた紙をぱりぱりと剥がす。中からどどーんと美味しそうな、淡いピンクがでてきた。大きさはこぶしぐらいある。まるまると太ってて可愛い。表面はざらざらしていて、中にあるだろう花びらの端っこがちょっとだけ飛び出している。
満を持して登場したんだ、君は。あついお湯の上にセッティング。どぽん、と落とす。
しゅわわわわ~と音を鳴らして、小さな泡と、ピンクと紫のマーブル模様が浴槽に広がる。
お~! 思わず声が漏れる。
ところが、だ。中から花びらが出てきて、お湯に浮かぶ。ちらちらちらちらと、思ったより倍の量が出てきた。ピンクの花、紫の花。はなびら、蕾。
なんかさ、なんかさ、バスボムじゃ絶対無理なんだけど! でも、オーガニックなLUSHで、バスボム1つのお値段も結構するし、花が出てくるなんて言われたら、こんなのを想像するじゃないですか!
いやまあ、これは美化想像しすぎだったとしても、これぐらいは想像するじゃないですか。
でも、実際はこれだったんですよ(写真撮り忘れてしまったのでなんとかイメージに近いものを探した)。
……なんだろう……このちょっとした虚無感。LUSHはなっっんにも悪くないだけど、なんだろう……菌類の培養感……。
き、キタナイ……。
リラックスするためのお風呂だったのに、頭をよぎったのは掃除どうするの? だった。すぐさま「LUDH バスボム 掃除」で検索する。
ある! やっぱりみんな心配しているんだ、と妙に安心してしまった。一番いいのは、排水口ネットやストッキングにいれてから浴槽にいれるという方法らしい。そうすると花びらがばらばらにならないからいいという。
リラックスするための浴槽に、排水口ネットをいれる……。なんだか世知辛いな……。しかも、浴槽に入れてしまう前にそれを読みたかった。すでに私の浴槽は花びらがちらちらちらちら浮いている。
入れてしまったものはしょうがない。そう思って浴槽タイムに浸かるのだった。
「薔薇に棘あり」「美しい花には棘がある」。LUSHのバスボムには掃除がある。掃除を楽にする方法もある。綺麗なものには、やっぱり汚い側面もあるのだなと思った。
ところで、「薔薇に棘あり」「美しい花には棘がある」の意味は、「美しい薔薇の花にとげがあるように、美しいものは人を傷つける一面がある」だそう。
美しい人に限ったことじゃないよ! と思った。聖人君子だろうと、神様だろうと、前任だろうと、人である限り、人を傷つける一面があるだろう。綺麗なものには汚い側面がある。その二面性があるからこそ、綺麗に見えるんじゃないだろうか。
”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。