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鼻の下と唇の上、人中のあたりって地味にニキビができやすいですよね

朝。私のルーティーンはだいたい20分で終了する。

そのスタートは、まずベットから這い出るところからだ。布団を、ずるずると布団から出た形のままにして、とにかく立ち上がる。
大切なのは、ベットから巣立つことだ。ベットから離れることだ。

その温もりと、優しさと、柔らかさがあったとしても、手放さなければならない。
実家のお母さんのようであったとしても、手放さなければ、自分の人生は始まらないし、一日だって始まらない。

つらい。何かを手放すということはつらい。ましてやベットを出るという行為は温もりを失うことだ。
毎日、そうまでしないと私の一日は始まらないというのがつらい。頑張れ、私。出ろ、ベットを出ろ。

どうにか這い出たら、次に顔を洗う。朝から洗顔するのはとてもめんどくさいので、私は水洗派だ。

そもそも洗顔の工程の多さに毎回びっくりする。
夜、時間があるはずのときも「工程が多いなあ」と思うぐらいだ。

泡はふんわり、もっちりとしたのが肌にいいと聞くし、そのほうがいいと個人的にも信じているから泡は洗顔ネットで作るようにしている。

となるとまずは、洗顔ネットを水で濡らし、そこに1㎝ほど洗顔料をにゅるりと出す。

このときの洗顔料の無防備な感じがたまらない。
お前は今からその姿かたちをもわもわに変えられてしまうんだよ、と私は話しかける。

いや、実際には話しかけてない。頭の中で声を出す感じだ。みんなもよくあるアレだ。

泡になった洗顔料と、チューブから出したままの洗顔料はほんとうに同じ体積なんだろうか、と私はいつも考えてしまう。
ほんとうに洗顔料の状態と、泡になったときと同じ消費量なんだろうか? 泡になると増えた感覚でお得だなと思う、

そう思ってしまうから、「1㎝ほど」なんて書いたけど、実際はその半分、5㎜くらいしか出していない。
しょうもない見栄をはった……。

5㎜の洗顔料と、1㎝の洗顔料でできる泡は、どちらでも同じくらいいい感じの泡ができる。もっちりふわふわ。

顔を洗うときに気を付けるのは、Tゾーン、Uゾーンの部分だ。

これはスキンケアをするインスタグラマーが「これは間違い! こうやって洗っていませんか!?」とか、「必見! 正しい洗顔の仕方3選」とかで、必ずといっていいほど紹介している。

Tゾーンとは、おでこと鼻筋のこと。ここはニキビが出現しやすい、ポケモンGOでいうなら駅や商業施設などのスポットのような場所だ。

Uゾーンとは、あご周辺、顔の輪郭の部分のこと。ここもニキビが出現しやすいスポットだ。

ってそれ、もうほとんど全部じゃん。

私はそう思うけど、それがニキビだし、顔だからしょうがない。洗う。
ここを洗うことでニキビができにくくなった、という効果を感じたことはないけれど、インスタグラマーになれる美容オタク美人さんがいうのだからきっと間違いないと信じてる。

ニキビ出現スポットを指でくるくるとマッサージする。
時間にして約3分。その後、じゃばーと一気に泡を流す。

いつか見たヒルナンデス! で美容家のIKKOさんは、洗顔を20分かけてすると言っていた。美容家になるまでの道のりは、今の自分より6倍も遠いものなのだと思った。

IKKOさんは時間に追われることはないのだろうか。羨ましい。だけど、IKKOさんになりたいと思わないのはどうしてだろう。

洗顔に話を戻すと、大体の説明はここで終わる。
だかしかし。省かれてしまいがちだと思うから、私はあえてここに書く。
洗顔の一番最後の仕事は、洗顔ネットをきちんと洗うことだ。

親指と人差し指で作ったOKポーズの輪を通された洗顔ネットが、なけなしの泡を貼り付けたまま、まだ放置されている。頑張った我が子をあやすような手つきで洗い、干す。

ここまでが洗顔の流れだ。

冒頭の話からだいぶ逸れてしまったが、この流れを朝の中でやるのは、相当”丁寧な暮らし”を心がけないと無理だと私は思う。

私は、”丁寧な暮らし”よりも”ある程度自分が満足する暮らし”を追い求めがちだ。いつもある程度。ある程度で満足している。ただ、人一倍、丁寧な暮らしには憧れはある。むちゃくちゃある。ある、がまだできていない。


顔の水洗いを終えたら、次はいい感じのスキンケア用品をぱしゃぱしゃと顔にはたく。いい感じ、というか正直に言うとハトムギ化粧水だ。安くて、でかい。カルピスみたいな液体がどえらい大きいボトルに入っている。これで600円。すごい商品が世の中に流通している……。

そして、今日。見つけてしまったのだ。

私がほんとうに書きたかったのは、朝のルーティーンでもなく、洗顔の工程のことでもない。

鼻の下、唇の上にできたニキビができていた。ぽっちり、とそこに座っていた。

あー、どうしてだろう。こんなに小さな小さな存在が、私の今日一日をだめに演出してくる。朝からこの小さな小さな存在にダメージをくらわされる。

一日を終えた今もまだいる。なんなら、このnoteを書くときにちょっと触ってしまっている。触るとよくないって聞くのに、どうしても、「そこにまだいる」というのを確かめたくて触ってしまう。なんなら摘まんだりもしちゃってる。つらい。


きっと昨日の夜中に、アクネ菌が大会合を開いたんだろうな。

「ここに、いい小部屋がありますよ! ここから拠点を広げましょう!」
「この方、Tゾーンや、Uゾーンはかなり頑丈に洗ってますから、ここが狙い目かもしれないですね」
「今が絶好の機会です!」「今行かなくてどうするんですか!?」

「この方、ニキビを抑えるためのパックや薬を今ちょうど切らしてるんですよ!」

今だ、今だ、という声が耳鳴りのように聞こえてきそう。

頼む、明日には治っていてくれ。パックもしてないし、薬も切らしている。
何一つ対抗策を打ててはいない。けれど、頼む、睡眠だけでなんとか治ってくれ。

そう思いながらこのニキビと一緒に寝たいと思う。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。