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今の時代「部長」は何をすべきなのか?

 「部長層の結果ってなんでこんなに高いんですかね?」。ある企業の人事担当者の方が、自社の組織サーベイの部長層の結果みて質問してきました。組織サーベイでは必ず階層別の傾向を分析します。この企業に限らず多くの会社で部長層は相対的に肯定的な回答割合が高い傾向にあります。特に、業務負荷やストレス状態、ワークライフバランス等、他の職層に比べポジティブに感じているようです。当然、どの企業も、というわけではありませんが、部長層の仕事に対するいくらかの「余裕」を感じるところではあります。さらに言えば一つ下の課長層とのギャップがとても大きくなっているケースもあり、その場合、課長層の負荷が課題になっていると予測されます。

 なぜそうなるのか?
以前ある部長に職務についてインタビューしたことがあります。この方はこんな風に言っていました。「現場のマネジメントはすべて課長に任せています。課長ともなればうちの社員として出来上がった人材ですからね」と。少し前までは、こういった考えでも良かったかもしれません。しかし、昨今の課長業務は、一人では抱えきれないほど負荷の大きいものになってきています。様々な雇用形態、多様な価値観を持った部下を効果的にマネジメントしなくてはならない上、コンプライアンスやパワハラ、サステナビリティなど、様々なテーマが上から与えられます。責任を持つべき管理項目がとても多くなってきているのです。

 部課長の仕事は、大きく二つの側面で切り分けることができます。一つは業務的側面。戦略策定や目標達成、日々の業務の問題解決等が挙げられます。もう一つは人的側面です。部下の育成、モチベーション管理、さらには組織全体の風土改善等。多くの課長は、当然として、両方を意識しながらマネジメントをしているでしょう。しかし、部長になると「出来上がった人材」である課長を部下に持つという認識がありますので、人的側面の仕事を省いてしまう、そのために課長に比べると仕事に一定の余裕が生まれくるのかもしれません。冒頭の人事担当者の方の質問の答えはこの辺りにあるでしょう。

 複雑化し難易度が上がってきている課長業務。これまでとは違い、部長は、課長への業務サポートや能力開発など、部長としての人的側面の仕事をより積極的に進めていく必要があると感じます。課長を「任せて安心の一人前の社員」としてではなく「支援すべきキーパーソン」としてみていくことが求められてくるのではないでしょうか。そして「部課長の効果的連携」が組織の業績や成長を左右する重要な要素の一つとなると考えます。