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創世記1章2節b 原語解説

וחשך על־פּני תהום

やみが大いなる水の上にあり、(新改訳)

and darkness was over the surface of the deep, (NAS)

וְ (ヴェ) そして

ח֖שֶׁךְ(ホシェフ) やみ

עַל־(アル―) ~の上に

פְּנֵ֣י(ベネー) 面

תְה֑וֹם(テホム)​ 大いなる水

神が地球を形造る前の状態を描写している一節です。非常にシンプルな文ではありますが、光が創造される前の神秘的な状況が見事に表現されています。

ו(ヴェ)

もう何度も出てきたお馴染みの接続詞です。「and」や「そして」に対応します。

חשך(ホシェフ)

「暗闇」という意味の単語です。


על־ (アール)

英語の前置詞onに対応する語です。日本語では、「~の上に」などと訳されています。

פּני(ベネー)

この単語の語根のפּיה(バナー)は、「顔」という意味です。英語のfaceに対応します。「面」や「表面」と訳すこともできます。

תהום(テホム)

語根のהוםの名詞派生語には、「海」という意味があります。新共同訳では、「深淵」と訳されていますが、新改訳では「大水」と訳されています。「深淵」というと、実際に何を指しているのかわかりにくいですが、太初の大いなる水の塊のようなものを表していると思われます。

感想

תהום(テホム)は、あらゆる生命の根源的な水の塊のようなものでしょうか。実際に見ることはできないので、どんなものであるのか想像力を働かせるほかありませんが、母親の胎内は、この原初的な水の塊にどこか似たようなところがあると思いました。

このתהום(テホム)の表面を大いなる闇が覆っている。光が創造される前の静かな鼓動を感じさせる一節です。

音声

参考元

・青木偉作著「はじめての聖書ヘブライ語」(国際語学社)
・デレク・キドナー著「ティンデル聖書註解 創世記」(いのちのことば社)
・The Complete Tanakh (Tanach) - Hebrew Bible
https://www.chabad.org/library/bible_cdo/aid/63255/jewish/The-Bible-with-Rashi.htm




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