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CO2?CFP?GHG?

 企業内でライフサイクルアセスメント業務に従事していると、よくCO2、CFP(カーボンフットプリント)、GHGを混同して使用している他部署の社員を見かけます。そのせいで打ち合わせをしていてもなんか話がかみ合わない、と思って聞いてみるときちんと理解していない・・・なんてこともありました。そこで今回は簡単にこれらの言葉の意味と違いをまとめてみたいと思います。


CO2、CFP、GHGの違い

1.CO2

2.CFP

3.GHG


1.CO2
 CO2はCarbon dioxide、つまり二酸化炭素の化学式を表したものです。温室効果ガスの代表と言えばCO2というぐらい既に多くの人に浸透したと言っても過言ではないと思います。ただし、地球温暖化に関する話題について話をしているときは注意が必要です。私は化学を学んできた人間なので、化学式でCO2と言ったら二酸化炭素と考えますが、CO2をその他の温室効果ガスも含めたものだと捉えている人が少なからず存在していることです。これは社内でライフサイクルアセスメント業務に従事していると気づかされるのですが、CO2=温室効果ガスとかなりアバウトに考えている人が確かに存在します。温室効果ガスの約75%をCO2が占めているので、CO2=温室効果ガスと捉えていても仕方がないとは思います。しかしながら、その他の温室効果ガスも含めて評価をしなければ、正しい温室効果ガス排出量の評価はできません。


2.CFP(カーボンフットプリント)
 カーボンフットプリントは直訳すれば「炭素の足跡」になりますが、Carbon Footprint of Productsが正式名称になります。略称がCFPになります。カーボンフットプリントは、原料調達、製品製造、使用及び廃棄の製品やサービスのライフサイクル全体から排出される温室効果ガスについてCO2を基準物質として換算し、製品やサービスに分かりやすく表示する仕組みのことを指します。
 この「カーボンフットプリント」の「カーボン」という名称が曲者で、社内ではCO2のみが算定の対象だと思っている社員が未だにいるのが現状です。確かにこの名称だけ見てしまうと、誤解するのも致し方ないとも思います。このカーボンフットプリントの算定に当たってはライフサイクルアセスメントの手法が活用されることから、未だにライフサイクルアセスメント=温室効果ガスの算定と考える人が少なくないのも事実です。
 元々カーボンフットプリントの大きな目的は、温室効果ガスの「見える化」を通じ、事業者と消費者の温室効果ガスの削減を推進していくことにあります。経済産業省等が2009年から開始した「カーボンフットプリント制度試行事業」が始まりになります。本事業で用いられたマークが「CFPプログラム参加マーク」として用いられています。本マークは計りのデザインに「CO2」と書かれており、温室効果ガスの排出量が数値として表示されたマークになります。その後CFPプログラムは社団法人産業管理協会を経由し、現在では一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が「SuMPO環境ラベルプログラム」として引き継いでいます。「SuMPO環境ラベルプログラム」については別の機会に紹介したいと思います。


3.GHG
 GHGとはGreenhouse gasの略で日本語に訳せば温室効果ガスです。温室効果ガスと言って真っ先に思い浮かぶのは二酸化炭素だと思いますが、京都議定書の中では下記のガスが温室効果ガスとして定義されています。
・CO2(二酸化炭素)
・CH4(メタン)
・N2O(一酸化二窒素)
・HFCs(ハイドロフルオロカーボン類)
・PFCs(パーフルオロカーボン類)
・SF6(六フッ化硫黄)
 2013年以降は上記温室効果ガスにNF3(三ふっ化窒素)が加わり7種類になりました。 カーボンフットプリントでも算定対象は温室効果ガスであるのにも関わらず、名称のせいでGHGとは全くの別物のように考えている社員もいました。これらの語句の違いを説明するたびに、まだまだライフサイクルアセスメントは市民権を得られていないと思い知らされます。そもそもライフサイクルアセスメントで他の環境問題の環境負荷物質(オゾン層破壊、酸性化、富栄養化等)も定量的に評価できるということを知らない社員がいるのが実情ですが・・・。


 このnoteを通してライフサイクルアセスメントの普及に努められれば幸いです。


参考資料:経済産業省、「製品のカーボン・ニュートラル制度」試行事業研究会(第1回)‐配布資料、「カーボンフットプリント(CFP)の概要」
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/carbon_neutral/001_haifu.html


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