見出し画像

雛祭りde句⓸

久女で

ようらく揺れて雛顔暗し蔵座敷 杉田久女
(ようらくゆれて ひなかおくらし くらざしき)

杉田久女にも雛祭りの句の多さが感じられる。ようらく(瓔珞)と云うのはジャラジャラしたロングネックレスみたいな飾りでしょうね。天蓋(てんがい)の周囲に沢山ぶら下ってる感じ。奥座敷は気軽に誰でも入れる部屋と違って大事なお客様だけが通されるお座敷を想像したら大体合ってると思う。そこは大切な部屋だから光も入らない構造が多いかな。

そんな部屋だから代々伝わってきた大切な雛人形も置ける。蝋燭か・カンテラか・あるいは明りを弱めた電灯が点っている。何かの拍子で瓔珞(ようらく)が揺れて、そのせいで雛人形の顔が陰になって陰鬱に見えたって云ってるのだろうな。明るい光がいっぱい入る家に住みたいという久女の想いが感じられる。社交好きな久女は賑やかな空気を好んだかな。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?