フェリエールの鏡翳

昨年発売されたsheeploreのアルバム"フェリエールの鏡翳"について今更ながら簡単なレビューを書いていこうと思う。コンセプトは"Moon Poetry"。リビドウについて表現した作品となっている。なお、このレビューは2019年に発行されたZINEに基づいて感想を書く非常に簡易的なレビューとなることをあらかじめ書いておく。

01.Entropy
月との融合を描いた曲。エレクトリックピアノで始まる、かつてのsheeploreからは考えられないサウンド。この曲と同名のカクテルがイベントでふるまわれたことがある。甘いアルコールのカクテルで、三浦氏がよく好んで飲んでいるらしいグレープフルーツジュースが使われていた。

02.scrapyard
Moon Poetryのテーマを発表してから早い段階からライブで演奏されてきた曲。VJの映像がすばらしいのでぜひライブで見ていただきたい。やってきては去るドラムの音に最後は塗りつぶされてしまう。穏やかに感じながらもどきっとする展開。

03.Ferrumer
歌がある曲なのに無機質な曲。MVからきているものもあるかもしれないが、アルミのイメージが非常に強い。鉄男という映画からインスパイアされている部分のある曲とのこと。見てみたいと思った。

04.QA

05.Ice Eyes Planet
繰り返される電子音や声のサンプリングに無機質で寂しい印象を感じながらも熱を持っている不思議な雰囲気を纏う曲。無人島にたどり着いたようだな、と思った。クッキー氏のギターソロが大変恰好いい。この曲も同名のカクテルとなったことがあり、そのイメージからなのか、砂色の印象が強い。

06.Yesode
個人的にこの曲は普段sheeploreの作る曲とテーマが違うと感じていた。自由への戦い。ライブで興奮する曲。伊澤氏のタンバリンからもベースからも目が離せない。ベースソロが大変クールな一曲。

07.Ichor
二部構成の曲。誤解を恐れずに言うと、二部へ移行する際にでんぱ組.incの"でんでんぱっしょん"を感じる。一部が終わってからのそわそわ感を残して更なる高みへ登っていくのだ。この曲を聴いてsheeploreは変化しているなと確信した。sheeploreというバンドは変化が美しい。その点を信頼している。バンドサウンドから離れても美しいものを作り続けることが出来る。

08.Lunatic
かつてe.p.で発表された曲のリテイク版。かなり雰囲気が変わっているのでLunatic e.p.に収録されている方も是非聴いていただきたい。ロマンチックなメロディに狂気的ともいえるほど深い愛についての歌詞。私はこの曲の愛のあり方に非常に共感している。理想的な愛のあり方のひとつ。

09.Shangri-la
(The Locked)Roomからの再録曲。これもe.p.とは別バージョンになっているので聴き比べると面白いかもしれない。非常に柔らかい曲。部屋を出ないで紡ぐ愛について。ライブだと歌声が聞こえないくらい楽器の音が大きいのだが、そのバランスがちょうどいい。シンセサイザーのメロディが美しい。gt./sync川井氏のお気に入りの一曲であったと記憶している。

10.遠砂

11.Slow down
sheeplore長編作品シリーズ。長い旅の物語。砂漠の中をただひたすらに歩き続けるイメージがある。シンプルな編成の上に歌が乗っているという認識でいたが、改めて聴くとたくさんの音が聞こえてきた。間奏が長く、物語の展開を感じる。歩き続けた先に「時計の止まった町」がある。

12.The City And It's Tower
(The Locked)Roomからの再録。メンバー全員が輝いて見える曲。sheeploreの曲の中では一番頭を振りやすいのではないだろうか(それがいいことなのかどうかは別として)。クッキー氏お披露目の日にこの曲を聴き、轟音のあまり吹き飛ばされそうになった。

13.Laika Sputnik
中学生のときにライカ犬のことを知って様々な感情に襲われたことを思い出す。この曲のセルフライナーノーツを読んで私のしてきたことは間違っていないのだなと確信して号泣してしまった。楽曲として力を持っていると感じている。気持ちが強すぎてなんと書いていいのか分からない。個人的なことばかりになってしまった。

14.Justitia
シンプルな曲だけれど初めて聴いたときに泣いた。己の正義を自分だけは信じて貫いてあげるということ。言葉の力が非常に強い。この曲に守られているように感じている。究極の愛の形だと思う。

改めて聴いてみると、多面的な美しさを持つ結晶のような、宝石のようなアルバムであった。これからも大切に聴いていきたいし、さらに理解を深めていきたい。
以上。

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