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継がれていくモノたち

お店で使っている子たちについて書こうと思います。
どうしてお店を始めたのかは、以前記事にて書きましたが、
(記事はこちら)

機材や材料、お店で使っているものたちがどんな経緯でお店に来たのかを紹介したいと思います。
それは器だったり、壁だったり看板だったり、いろんなところにあるものたちです。

狩猟期に入り、鴨料理をだすべく試作と器を迷っていたとき、昔の職人さんが粗挽きして、ずっと乾燥させたままのものがあると伺い、譲っていただきました。
半世紀ほど手を加えられず眠っていた、器になるはずだった木材たち。
その子たちに手を加え、お店で使うことにしました。

木の質感がまたたまらんのです。

無垢材でも直接口に触れると有害なものや、木は自然のものだけど、その上に化学性の塗料が塗られているものなど、わたしたちが普段使う食器にも様々なものがあって、昔は当たり前とされた知識でも、今は知ろうとしなければ分からなくて。

だからお店でだすものは、食品はもちろんですが、器も子どもにも安心して与えられるものを。
サラダボウルだけじゃなく、フードやドリンクを提供している器たちは、九谷焼の土をブレンドした100%自然素材の器です。
質感や見た目はコンクリートのようですが、近くに住む九谷焼の生地師さんのもとでつくられています。

お店の壁半分を覆う古材は、2022年8月石川県小松市を襲った豪雨によって被害を受けた小松市中野峠にある古民家の床板を譲り受けたもの。
店内の壁だけでなく、外の看板やトイレの棚など、いろんなところに活用しています。

キッチン内の調理器具やカトラリーは、私たちの前にお店をされていた「陽だまりカフェ」さんから譲っていただいたもの。
お店を閉める前から、ちょこちょこご飯を食べにいっていて、オムライスやパスタがとっても美味しかった、、!
なんていうんでしょう、その人の味というか、ここでしか食べられない味でした。今でも食べたくなる(一日限定でもいいから、料理出してくれないかなと狙ってます笑)

窓もそう。
知人をつたって、もう捨てる窓ガラスを譲ってもらい、窓のサッシをはずしガラスだけを活用しました。
まだ使えるのに、使うところがなく捨てられてしまうもの。
ほしい人と捨てる人がまだうまいこと繋がってないんだなあと思います。
業種が違えば、見る人が違えば、廃材は廃材じゃなくなって、お宝かもしれないじゃない。

「今週の一冊」の本が置かれている額縁も、いらない額の背面の板を抜き、壁掛けにしただけ。
でもそれだけでなんだか素敵に見えるじゃないですか。

お店にあるものや使っている材料は、自分たちで作ったものはもちろん、譲ってもらった廃材だったり少し問題があって市場に出すのはちょっと、、というものをいただいたりしたものも多いのです。

使用済みの空薬莢も、そのままゴミとして捨てられるものだけど、改良してショットシェルケースに。
学校で使ったことがあるであろう、懐かしき上皿天秤は、コーヒー豆を計るのに使っています。錘も器とコーヒー豆分で調整してあります。


お店で稼働している暖房器具(エアコンは新しいけど笑)は、戦後使われていたイギリス製バーラー。ジャンク品を一度ばらして組みなおして使っています。
360度あったかいし、なんといっても可愛い。色もたまらん。
数十年前からこんな可愛いものが存在していたのかということに感動します。
(多少不便ではありますが、それもまた良い、、)

レジのように鎮座するタイプライターも、現役で使っています。
「実際に使っているところ初めてみました!」という方や
「懐かしい〜!昔使っていたの」という方も。
タイプライターが好きで、ただただ私が使いたいがために置いているだけですが、声をかけてくれる方がたくさんいて、ついつい話が弾むのもまた良いなあと。

古きよきものたちを直して、たまにリメイクして使い続けるって素敵だと思うのです。
(わたしはそこまで直せるわけじゃないけれど)


見えずらいけど、たしかにそこにはあって
ひとつひとつに至る過程と物語がある。
そんな素敵なものたちがお店にはたくさんあります。


伝えたいことを言葉にするのに時間がかかるけれど、素敵なものがたくさんあるんだよってことを知ってほしいです。

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
そんな石川県小松市にある小さなお店の紹介でした。

えみか

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