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【体験する漫画】それでも町は廻っている【概要】

ここは下町・丸子商店街!
この、一見フツーの通りに存在するメイド喫茶「シーサイド」。
重厚な服が何気に似合うバアサンと女子高生探偵に憧れる天然少女・嵐山あらしやま歩鳥ほとりが繰り広げるメイドカフェじゃない、メイド喫茶コメディー。
商店街の皆さんを巻き込んで只今をもって第1巻発進!

それでも町は廻っている 第1巻 裏表紙より

「それ町」との邂逅

思春期の頃、少しいかがわしい雰囲気を漂わせている古本屋でエロ本を買おうとして店に入るも、甲斐性のない私はエロ本の棚に行くのを躊躇し、あたかも普通の本を買いに来たことを装って少年漫画の棚へ向かうのであった。
もやもやした気持ちとともに右往左往。
なんとか落ち着きたい私は本屋におすすめされていた漫画「それでも町は廻っている」をふと手に取り立ち読みを始める。

登場人物が高校生であることに親近感を得たのか、あるいはちょっとエッチなサービスショットに惹かれたのか、この漫画を読む手が止まることはなかった。
今までバトルものの漫画やゲームにばかり触れてきた私にとってこの「当たり前かもしれない日常」の物語はとてつもなく新鮮であった。
1巻を読み終えた時、エロ本を買いにきた気持ちと「それ町」の続きが気になる気持ちがせめぎ合い、勿論エロ本を買うことなく私は「それ町」を持ってレジへ向かった。

生き物のような漫画

この漫画は主人公:嵐山歩鳥の高校3年間を描く物語です。
日常系な物語でありながら、確かに時間が過ぎていき、思い出が蓄積され、そして必ず最後が訪れます。

この漫画の一番のミソは「明確な敵・目的」が存在しないことです。
分かりにくいのではなく存在しないのです。
そのため、物語全体に指向性がなく「あいつを倒したらお話が終わりだな」とか「主人公が夢を叶えたら終わりだな」という終わりがありません。
あくまで高校での3年という時間が経過する事に終わりが設定されています。(たぶん)

期待と不安、希望と現実、下心、嫉妬、優しさ、奔放さ、挑戦。
「老若男女」をすごく巧みに表現していると思います。


16巻完結となりますが、どこに話の決着があるのか読み終えるまで分かりませんでした。というか読み終えても微妙に分からないよう ”工夫” が施されています。

その工夫とは……、いえ、この「謎」には是非 実際に読んで気づいていただきたいですね。できれば推理して、答えを見つけ出してみてください!

好き嫌いが分かれるところ

作者の『石黒正数』さんは SF(すこし・ふしぎ) 愛好家である事を漫画のおまけページだったか、インタビュー記事だったかで語られていました。
本作「それ町」も漏れなく、この ”すこし・ふしぎ” な世界観となっています。「完全にリアルな世界観だからいいのに…」という感想を持つ人は少なからずいるだろうなぁと思います。

本書の読み方

できれば、一気にガーっと読むのではなくゆっくりと何回も読み直してから次の巻を読む事をオススメします。(6巻くらいまではガーっと読んだ方がいいかも)
読み直す度に新たな発見があり、この世界が好きになっていくはずです。
そして私と同じタイプの人間であれば自分の中にある「読み進めたい」気持ちと「終わりに近づいていく」気持ちが闘い始めます。
RPGのラスボスが近づくほど、ラスボスを倒しにいかずに探索に明け暮れるような心理に似ている気がします。


登場人物

主人公:嵐山あらしやま 歩鳥ほとり

本作の主人公。
嵐山家の長子・長女。
推理小説を読むだけでは飽き足らず、探偵のように謎を解きたい衝動に駆られており、日々 謎を探している。
メイド喫茶「シーサイド」でバイトをしている。

店長:磯端いそはた ウキ

メイド喫茶「シーサイド」の店長。いや、メイド長。
多分50~60歳。
孫のように可愛がって来た歩鳥が高校生になったのを機に彼女を引き込んで、自分の店を普通の喫茶店からメイド喫茶にする。

幼馴染:真田さなだ 広章えろゆき

歩鳥の幼馴染で同じ高校に通う男子。
歩鳥の事が好きで、将来のことなど妄想したりする。
めちゃくちゃピュア。ピュア(?)多分ピュアです。

友達:辰野たつの 俊子としこ

歩鳥のクラスメイト。
容姿端麗でプライド高め。運動神経もいい。
密かにメイドカフェに憧れていたりする。
勿論、シーサイドで働くことになる。


物語の最初の主要人物はこんなところです。
あんまり説明しすぎると、人物を読み解く面白さを奪ってしまうのでメチャクチャ簡単な紹介のみとなります。

こうして書いてみるとどうでしょうか、普通よりちょっと外れた どこにでもいる人物像が思い浮かぶかもしれません。
であれば、紹介としては大成功です。
もしかしたら、あなたのすぐ近くでも起こりうる物語ですから。

そんなあなたに読んでほしい

親があーだこーだうるさい?
好きなあの人に告白できない?
人からどう見られてるか気になる?
将来がどうなるか不安?何がしたいか分からない?

もう少し他人を信じてみましょう!
失敗したってあなたを応援してくれる人が必ずいますよ。
まずは私を信じて「それ町」を読んでみてはいかがですかな?



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