AIに「ねんどろいど」を指定することで誰でもキャラデザができるようになる手順
今、世間を賑わせている画像AIの無限の可能性に期待して最高にかわいいキャラクターを作ろう!と意気込む人も多そうですが、これがなかなか難しい。
AIでも人力でも頭でぼやっとしたイメージする→実際に描いて確かめる→直したりリテイクする、というトライ・アンド・エラーの根本的な流れは変わらないからですね。
AIを使えば人力を超えるスピードで試行回数を増やせるのは間違い無いのですが以下のような問題や短所が挙げられます。
これらの原因が重なって天井のないAIガチャにハマって時間を消費しつづけるのでは本末転倒です。
そこで今回はAIが得意な「ねんどろいど」を出力することでこれらの問題を解決しつつキャラデザを楽しもう!というのが目的です。
○なぜ「ねんどろいど」
StableDiffusionを含めた多くのAIがねんどろいどの画像生成が非常に上手く、体の構造が破綻しない画像を出す確率が体感9割以上の打率をもつからです。
しかもただ上手いだけではなく、プロンプトで指示した内容を織り込んだデフォルメがうまい、単色の背景が出力されるので加工しやすい、追加や修正によるimg2imgできれいに仕上がる、などなどいいことづくめです。上記の問題をすべて解決しています。最高。
それでは実際に作りながらキャラデザに挑戦します。
○用意するもの
○実際の作成手順
まずは作りたいキャラデザを頭でイメージします。AIでは「馬に乗った宇宙飛行士」を出力するのが慣例なので今回は「宇宙服を着た馬耳をした女の子」をキャラデザしていきます。
オレンジのポニーテールをつけてスペースシャトルの燃料っぽくしてみたい。頭にヘルメットを被せるか、もしくは白い髪の毛に前髪だけ黒くしてヘルメットっぽくしてみようかなど想像します。
その時点での私の脳内のイメージはせいぜいこれくらいです。
十分に妄想したら以下のプロンプトを使いtxt2imgで全身映っている画像が出るまで出力する。
An anime Nendoroid of 〇〇, figurine, detailed product photo
〇〇に大まかな要素を入れて入力します。
パラメーターはDenoising Strength 7.5 Classifier Free Guidance Scale 5
初期値のこのまま今後一切弄らずに作れます。
出力されたもののうち全身映っていることと体のパーツが破綻していなければ正直なんでもいいです。頭や脚が収まっていないものは修正の手間が多いので今回使いません。
(dalle2 の"Outpainting"が使えるならそれを使うのはありかも)
デザインがいいな、と思う画像が出たら後のimg2imgの工程で書き足すときに参考にします。
今回はこちらを使います。
次に全身収まっている画像をimg2imgで使うためペイントソフトで書き足します。
普通のブラシで雑にかいても大丈夫です。イラストとして書き込むとAIに変な解釈をされる可能性があるのでベタ塗りでOK。
逆に消したい部分は背景色をスポイトで取って塗りつぶします。
マウスだと手が震えて描けない、という場合はほとんどのペイントソフトではShiftキーを押しながらクリックすると直線が引けます。
これを繰り返して星座を結ぶように線を引いて囲み、最後にバケツを使えばきれいに塗れます。
前髪を黒く、ポニーテールを追加しました。
目を紫にしました。宇宙っぽい気がするので。
耳を馬っぽくしつつスペース確保のために画像を下にずらして空いた部分を背景色と同じ色で塗ります。
書き足した画像をimg2imgで出力します。プロンプトも書き足した内容に合わせて追記します。書き足した部分だけをマスクで修正対象にすると更に打率があがります。
口元が見えないとかっこいいかな?と思ってヘルメットをおおいます。あわせてプロンプトも追記します。修正部分以外を変えないようにマスクしてimg2imgします。
できました。ねんどろいどは目や口をきれいに描画するぶん、それらを隠すデザインはガチャでちょっと出にくい気がします。
ヘルメットの後頭部がぼやっとしてますがまたヘルメットの色をスポイト書き足し、そこだけマスクしてimg2imgする。
なぞのプラスチック片も背景色と同じ色で塗りつぶすそこだけマスクしてimg2imgする。プロンプトは同じものでOKです。
フォトショップいらずですね!
完成しました!!
名前を「シバハアオカッタ」ちゃん、としておきましょう。
宇宙服を着た男性、200kg相当を背負いながら40,300 km/hで走ります。
ほかのパターンも試したので見てみましょう。
いろんなパターンを作って比較検討しやすいのがこの手順のいいところですね。無関係に剣を持たせたり、ソーラーパネルを取り付けたりもできます。
またやっぱり違うパターンが欲しいけどアイディアが出ないというときは元画像とプロンプトを変えずにimg2imgすることでSeed値固定レベルで同じじゃない、似てるけどなんか違うヤツを量産できます。
ここで改めてねんどろいどを指定することによるメリットをまとめます。
なによりガチャが少なくてすむのは嬉しいし、「AIがあるのに俺もフォトショップの勉強しなきゃダメじゃん!」とならないのがいいですね。
さて注意点ですが問題は精度が高すぎる。高すぎて、特に金銭が発生するような場面で直接使うのはトラブルになりかねないことです。
フェイクやデマで使うなんてもってのほかです。
なのでもし使うとすれば以下のような感じですかね。
といった具合になると思います。うーん……
あるいはねんどろいどから別の作風に変えれば。他の作家やプロダクトに踏み込まない呪文があればいいわけだが、ちょっとすぐには思いつきません。
○NovelAIでイラスト化する
2022/09/05執筆現在、AIの分野はとてもホットなので日夜開発が進んでます。つまり、こんなことしてる間に誰かがクリーンでスマートなワークフローを考えている気がするので知ってたら教えてください。
2022/10/07 追記
この記事を書いた後でイラスト系で非常に強力なNovelAIが現れたのでそちらのimg2imgを使ってみました。
出来上がったねんどろいど画像を加工して頭身をあげます。
つかったpromptを利用しつつimg2imgすると
うん!完璧だな!img2imgで一発でコレを引きました。でもNovelAIはそもそもイラストに強い。これをtxt2imgで出したら……
ねんどろいどを経由する必要性がないんだよな。つまりこの記事は1月足らずで微妙なノウハウになったのだ。ガハハ。まあ想定の範囲内です。
総括
とはいえねんどろいど出力による打率と加工のしやすさやはり頭一つ抜けています。複雑なimg2img用の画像が用意したいとかNovelAIで出力しずらいパーツが使われているとか、NovelAIの費用を抑えたいとか、AIガチャにかかわるさまざまな問題の対策の一つとしてこのワークフローは役立つと思います。
ちなみにNovelAIにねんどろいどを指定すると「ねんどろいどをイラスト化」したような結果になります。これはこれでカワイイ。
サポートは執筆時のコーヒー代にいたします。