やまがたワーママ図鑑024
農業や自然を守る役割を担いながら、自分の人生を楽しんでいきたい
井上夏さん(39歳)鶴岡市在住
職業:井上農場/経理・販売・ポン菓子部長
お子さん:高校3年女の子、中学2年男の子、小学4年女の子
<これまでの経歴>
酒田市出身。高校卒業後、美容師になるために東京の美容院に就職するも2カ月で退職。1年間仙台でアルバイトをした後、三川町のイオンモール三川のオープンに伴い、パン屋さんに正社員として就職。2年後に結婚し、夫の実家である井上農場に就農。現在は経理と販売を担当している
好きになった人が、たまたま農家だった
—今のお仕事に就いたきっかけを教えてください
かっこいい言葉で言うと、「好きになった人がたまたま農家だったから」です(笑)。私の実家は寿司屋で、私自身ももともとは美容師になりたいと思っていたり、夫と結婚した当時もパン屋で勤めていて、農業の「の」の字も分からない状況でしたけど、好きになった夫と一緒にいたかったのが就農を決めた1番の理由ですね。周りには、「農業は大変だけど本当に大丈夫?」と心配してくれる人もいましたが、義父さんと義母さんがハウスで仲良く楽しそうに作業をしているのを見て、ここのうちなら大丈夫と思ったのも大きかったです。
井上農場はお米(つや姫・雪若丸・コシヒカリ・ひとめぼれ・はえぬき・酒米)と、16棟のハウスで夏はトマト、冬は小松菜を育てています。結婚当時から夫からも義父母からも「農作業をやれ」と強制されたことはなく、1人目を産んでからは、育児と家事に専念させてくれました。
そして長女は保育園に行くようになったころ、商業高校出身ということもあって、経理や販売を引き継ぎました。その後、2人目3人目を妊娠・出産して、お腹が大きくても、育児をしながらでもできることとして経理と販売を担うようになりました。
—仕事のやりがいを教えてください
もともと人と接するのが好きなので、地元の商談会に行ったりSNSで販売したり、という販売の仕事が自分に合っていると感じます。井上農場の公式サイトでの販売のほかに、インスタグラムを活用して自分でネットショップもやっていて、直接お客さまとやりとりをして、お客さまに合わせた商品を販売して喜んでもらえるのがうれしいですね。
実はこのインスタでの販売はきっかけがあって。あこがれの美容家の伊藤みゆきさんという方のインスタで、ほうれん草でしゃぶしゃぶをするという投稿を見たんですが、思い切って「しゃぶしゃぶをするならうちの小松菜でやってください!」とメッセージを送ったんです。そうしたら、「ぜひ送って!みんなにも紹介する!」と返事がきて。その後、みゆきさんからの後押しもあって個人のネットショップを始めることになったんです。
井上農場はお米農家ですが、たとえばパンづくりをしているお客さま向けに農家の友人から全粒粉の小麦を仕入れて売ったり、主婦のみなさんが喜びそうな彩り野菜や、あると便利なキャベツや玉ねぎなど地元の野菜をチョイスした野菜セットを販売したり、「この方はこれが好きだから」とお客さまに合わせて考えるのが好きだし、とても楽しいです。これをきっかけに、うちのお米を頼んでもらうことにつながればいいなと思います。
将来子どもたちがやりたいと思える職業に「農業」が入ってほしい
—これからの夢を教えてください
将来、子どもたちがやりたいと思える職業に「農業」が入ってほしいと思っています。そして、農業をやりたいという人がもっと増えるといいなと思っています。そのためにも井上農場は、学生の研修なども積極的に受け入れていて。私自身も、実際に作物を作る部分ではなく、商品開発や販売を担っているので、農業のおもしろさって作るのはもちろん、作ったものを売ったり、新しい商品を考えたり、お客さまに届けるところもあるんだよ、という楽しさや魅力を伝えていきたいと思っています。
井上農場は2022年7月の法人設立に向けて準備中です。これからも農業、地域の土地、自然を守っていきたいと思いますし、そういう役割を担いながら自分の人生を楽しんでいきたいです。
何歳になっても、「ママきれいだね、かわいいね」と言われたい
—仕事と育児の両立で大事にしていることはありますか?
育児も日々勉強ですね。子どもたちの帰宅時間と配送業務が重なったりして、子どもを見てあげなきゃと思いながら仕事をしなければならない時もありますが、そういう時はお義父さんお義母さんに甘えるところは甘えて、子どもたちの話を聞く時間をつくることは心がけています。
—どんなワーキングママでありたいですか?
何歳になっても、「ママきれいだね。ママかわいいね」と言われたい。いつまでもきれいでいたいし、働いていて忙しくても、自分に手をかけていきたいと思っています。また仕事ではインスタでライブ配信をしたり、日々お客さんとやり取りしていて、あまりにも私が楽しそうなので「なんでママそんなに楽しそうなの」と子どもたちからやきもち焼かれるくらい(笑)。こうやって楽しんでいる姿はずっと見せていきたいですね。
—では最後に、同じワーキングママのみなさんにメッセージをお願いします
育児と仕事の両立は大変ですよね。でもやっぱり子どもは宝物だし、子どもたちの笑顔が1番パワーになる。うちは子どもたちも大きくなってきて育児の面では、だいぶ楽にはなってきました。最近は私の仕事の話を聞いてくれたり、ぎっくり腰になった時なんかは次女がお世話してくれたり(笑)。
それから、お母さんたちも体を動かしたり友だちと飲みに行ったり、ストレスを発散して、毎日がんばっている分マッサージをしたり自分にも手をかけながら、笑って過ごしてほしいなと思います。
<井上さんの1日のタイムスケジュール>
6:00 起床
7:00 朝食
7:30 子どもたちを送り出す
8:30 始業
17:00 終業
18:00 夕食
22:00 就寝
文/kae
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