やまがたワーママ図鑑029
いい意味で、仕事がすべてじゃなくなった。仕事と育児、楽しいことが2つに
高村陽子さん(40歳)大江町在住
職業:フリーランスの編集・ライター
お子さん:4歳男の子、2歳男の子
<これまでの経歴>
仙台市出身。都内の美大を卒業後、編集の専門学校に通いながらのアルバイトを経て、編集プロダクション、出版社、中小企業のコンサルティング会社で雑誌やWebサイトをつくる編集ライターとして勤務。結婚後、2011年の東日本大震災を機に都内のアート系一般社団法人に転職、復興支援のPJTに携わる。そのほか、さまざまなアート系PJTのコーディネーターやイベント運営、フリーペーパーの編集ライティングなどを経験。妊娠をきっかけに大江町に移住。移住後もテレワークで一般社団法人の仕事を続けていたが、2020年にフリーランスの編集・ライターとして独立
震災を機に、ふるさとのために仕事をしようと決意
-今の仕事についた経緯・山形に移住した経緯を教えてください
仙台市出身で、大学のころは帰省のたびに地元の海でサーフィンをやっていました。震災で、慣れ親しんだ浜が全部流されたり、石巻に住む祖母も津波から命からがら逃げたり、親しみのある街や昔から知っている人たちが被災しました。当時は都内のコンサルティング会社に勤めていましたが、ふるさとがそういう状況の中、利益を上げることを目的に働く自分に違和感があって。地元のために何かできることはないかと、復興支援のPJTを進めている社団法人への転職を決めました。
母の実家が大江町で、子どものころは長期休みのたびに遊びに来ていました。また長野県出身の夫が、以前から農業がやりたいと話していたこと、妊娠を機に夫婦ともに自然の中で子育てがしたいと思ったことから大江町に移住。移住後も社団法人での仕事はテレワークで続けていましたが、次男を出産後、仕事仲間からのすすめもあって独立を決意しました。
仕事を通してたくさんの人たちに出会えることが1番のやりがい
-仕事のやりがいを教えてください
前職で東日本大震災の復興支援プロジェクト(わわプロジェクト)に携わりました。「つくることが生きること」という展覧会を開催して、アーティストによる支援活動を紹介したり、サポートする活動していたのですが、それらを通じてアートの社会的役割をあらためて実感しましたね。また、被災地をつなぐことを目的にしたフリーペーパー(わわ新聞)の編集長も務め、震災後の新たな潮流を肌で感じることができました。特に、自然エネルギーの特集を組んだときは、人間の切実な思いが社会を変えていくんだと実感し、鳥肌が立ったのを覚えています。この時に築いた関係や経験が、今の自分の仕事や自信につながっています。たくさんの経験をさせてくれた当時の上司にはとても感謝しています。
みんなで何かをつくるというのが、PJTの運営や編集の仕事の楽しさですね。現在はアートPJTの運営や、冊子・Webサイトでの情報発信などにかかわっています。独立して1年、組織に属して働くスタイルとは異なる部分も大きく、まだまだこれからと思っていますが、仕事を通してたくさんの人たちに出会えることが1番のやりがいですね。県内のつながりも増えて、これから新しいこともいろいろできそうで楽しみです。
妊娠して、責任のあるポジションができないことに焦ったこともあった
-どんなワーキングママでありたいですか?
バリバリ働く母の姿を見てきたので、小さいころから漠然と「キャリアウーマンになりたい」という思いがありました。だからこそ、妊娠前は生活のすべてを仕事にかけていましたね。でもやっぱり子どもができるとそういうわけにはいかない。妊娠が分かったころ、周りが配慮してくれてこれまでのペースで動けなくなったり、責任のあるポジションができなくなったりして、すごく焦った時期もありました。
でも次男の育休を取った時、どこか吹っ切れたんですよね。悩んでてもしょうがない。そんなことより、目の前にいるかわいい子どもとの時間を大切にしたほうが有益だと気づいて。今は、仕事も家庭も楽しくやるにはどうしたらいいかを考えられるようになって、徐々にメリハリをつけられるようになりました。いい意味で、仕事がすべてじゃなくなった。楽しいことが2つになった感覚ですね。
山形でしかできない楽しいことを、たくさんやっていきたい
-これからの夢を教えてください
せっかく山形に移住してきたので、ここでしかできない楽しいことをもっとたくさんやりたいと思っています。フリーで仕事を始めてからは、ヨガやソーイングなど、ずっとやりかたかったことがマイペースに実現できています。最近は念願の家族キャンプを始めました。
仕事の面では、漠然とですがいずれは会社をつくりたいと考えています。山形と地元の仙台の仕事ももっと増やしたい。そして、目の前の仕事だけじゃなくて、60歳70歳になった時にどうしていたいかを考えて、今を“デザイン”していきたいと思っています。
-同じワーキングママのみなさんにメッセージをお願いします
私自身は、子どもが生まれたことで仕事ロスになった時期があります。もし今そうなっているママがいたら、「仕事はいつでもできるから、今を大事に楽しんで」と伝えたいですね。私の場合は、仕事に費やせる時間が限られる分、研ぎ澄まされるというか、子どもができる前より楽しくなっています。
<高村さんの1日のタイムスケジュール>
7:00 起床・朝食
8:00 保育園送り
9:00 家事
10:00 始業
16:00 終業、夕飯準備
17:30 夫が保育園に迎え
18:00 夫と子どもたち帰宅、夕飯
20:00 お風呂
22:00 寝かしつけ、仕事
0:00 就寝
文/ayuko
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