つがいは諦めた

「つがいで生きる」ことを決めたシニアカップルが、3組、集まった。未だかつて心を許したパートナーに出会っていない私だが、何の違和感もなしにふたり、ふたり、ふたりの間でいろんな会話に耳を傾ける。ここ松井さんちの屋上で花火を観てから、1年たつ。今年、狛江の花火は開催なし、というので、ただの涼む会になった。
松井さんご夫婦の引っ越しの日程も決まった。この多摩川べりの頑丈なお宅、先生が少年のころ都心から疎開してきて以来のファミリーゾーンだが、高齢の夫婦が維持していくのには限界がある。お二人は元気なうちに売却を決め、こじんまりした2人だけの終の棲家を見つけたそうだ。着々と、つがいは巣作りを進めている。羨ましい限りである。
このシニアのつがいという生き方、どうにも私には腑に落ちない所もある。松井さんの二人のことではない。ホームパーティで、彼女の講演会で、お泊り旅行で、自然にあつまる人たちの中にカップルがいる。表だって紹介された分けではないが、暗黙の了解でいつも一緒に顔を出すふたりづれ。藤沢とか辻堂とかの人と言うことだったから、つい聞いてしまった。「いっしょにすんでいるの?」・・・。「いえいえ、そんな関係じゃないんです」「奥さんいますから」・・・・。私の眼には十分仲良しカップルに映っているのだが。
もうひと組も、いつもいつも一緒にいるけれど、彼女は離婚していない。摩訶不思議な2人、2人・・・。どうでもいいけれど、それ以上踏み込めない。
互いのことを丸ごと理解している特定の人がそばにいるのは、実に羨ましいとは思うけれど、そういうお相手との出会い、私にはないな。




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