絵描きの端くれ
熱海や小田原、相模原、秦野など、馴染みの土地で土砂崩れや冠水被害が起こっている。中央高速も通行止め。夕べも今朝も、災害級の土砂降りだというのに、息子から、いつもの美容室に予約入れたから昼頃寄るね、と連絡があった。
車移動にしても、何もこんな嵐の日に髪を切りに来なくたって・・・、と思っていたら、4日に授賞式があるから、と言うではないか。今年の二科展でやっと特選をもらえたのだと。
5年間連続入選はしていたけれど、なかなか賞には手が届かなかった。本人は「無冠の帝王でいく」とおちゃらけていたが、どんな賞でもほしかったはず。美術に疎い私は、入選して作品が展示されるだけでも「すごい!」と親馬鹿だったのだが、そうか、賞と名がついたら賞状なりを受け取るセレモニーがちゃんとあるのだと、今更ながら思った。
髪がきれいになった彼、わが家の残り物をきれいにたいらげながら、「スーツ着なくちゃいけないかな」「太ったから、きちきちなんだよなあ」。あれこれ好き勝手言いながら、結局自分の作品をプリントしたTシャツに夏のジャケットでいい、というところに落ち着く。
高校3年生の時に自画像を描いた作品が、何かの美術展ではじめて新人奨励賞をもらって、神奈川県庁のどこかの部屋にでかでかと飾られたのを目にした私の母と私は、本人よりもはしゃいでいたのを思い出す。
紆余曲折がありながらの絵描きの端くれ人生、50を前にして、昨年からドイツや台湾で少しずつ作品が売れ出している。好きなことを継続するって大事だ。
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