科捜研の「まりこさん」は実在しない

昨晩の、NHKスペシャル「法医学者たちの告白」がとても面白くて興味深かかった。ミステリー好きの私が読む小説やドラマで描かれている法医学の世界と、現実とは想像以上のギャップがある。あの「京都府警の科捜研」が実際のありようだと思ったら大間違いなのだ。「まりこさん」は実在しない。警察、検察、ひいては司法の内部体質は想像以上に古くさいのだ。恫喝して、筋書き通りに自白させ、決めつける、科学捜査が進まないから、えん罪もなくならない…。
まさに今、鹿児島や大阪の県警の隠蔽された膿が、掘り出されようとしているが、これもやっぱりうやむやにされてしまうのだろうか。
司法解剖の件数がいっこうに増えないのは、予算がつかないからだ。法医学の第一人者といわれて孤軍奮闘する千葉大医学部の教授の姿に、涙が出た。あまりにも理不尽なことだらけで、眠れない、睡眠障害に陥っているとか。危ういではないか。
期待され信頼される優秀な医師は、日本のシステムの中でつぶされそうになり、絶望してハワイに逃げた。そしてハワイの法医学の最前線で大活躍しているのだと。
医学に限った話ではない。どの分野でも、すぐれた人材はほとんどみんな外に出ていく。残るのは、自分では考えないイエスマンばかり。そして日本は地盤沈下していく。ずっと言われ続けているのに、1㎜も前に進まないのはなぜだ。
人生の終盤になって、危うい日本の状態にもの申している自分も恥ずかしいが…。やりきれない。

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