もらった種のミステリー
おととしの夏頃、友人から珍しい種をもらった。フランス語のような覚えにくい名前と、ちょっと変わった地味な花をつける…などと書かれたメモと共に、小さなビニール袋に入っていたペッタンコで珍しい形の種たち。さっそく植木鉢に撒いて、水やりも欠かさず…。冬を越し春になって、やっと芽を出した3つを、サイズ大きめの植木鉢と、プランターにそれぞれ移し替え、東向きのベランダで成長を楽しみにしていた。
茎が伸び、葉っぱも大きく…、芽を出してから1年数ヶ月後、梅雨もまだなのに真夏のような日差しが続いたある日、一本の茎の間につぼみがついているのを見つけた。
でもよく見ると、それは、もらった当初の説明書きとはだいぶ違うようだ。鮮やかな紅色がこぼれ見えるつぼみは、ハイビスカスのようでもあり、タチアオイのようでもあり…。写真を撮って友人に確認してもらったが???
違う種が紛れ込んだとしか考えられない。
3本のうち、1つはつぼみをつけたまま強風で折れた。もう1本は葉っぱばかりが育ってつぼみの影はない。そして、その1本のつぼみの数は日に日に増え、先日とうとう花開いたのだ。間違いない。これはタチアオイだ。
友人の庭にはタチアオイはないという。ならば、わが家の近隣から飛んできたものなのか。それならば、友人からもらった種は、いずこへ? 何もかもがミステリーだ。
ベランダの植木鉢で成長し続けるこの花、開いては花ごとバサッと下に落ち、また次の花が咲く。何て豪華なんだろう。
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